Pt.2 主人公であるエリオット達はウォーターヒルについた!そこでは懐かしいが、おかしくもある光景が広がっている。我らは物語の始まりを知る。
いよいよパート2!!少しというか、めっちゃ短いけど、少しずつだ!みんなでエリオットの過去に戻ってみよう!過去のストーリーが動き出す時が来た!!:D
少しすると、緑色の大きな錆びた看板が見えてきた。「ウォーターヒルへようこそ!」看板を支えている木の柱は傾いている。
エリオットは何となく覚えていた。この看板を最後に見た日、悲しくて、悔しくて彼は泣いていた。(柱もまだ、傾いていなかった)俺はあの時…10歳だったっけ……?あの日は一生忘れられない………。
「ねえ!みんな右を見て!!」とエミリーの少し興奮したような声でエリオットは現実に押し戻されるようにして引き戻された。
みんなは、いっせいに右側を向いた。そこにあったのはウォーターヒルのブルードットという湖だ。
この町のたった一つの観光地とも言える。朝の太陽に照らされて美しく輝いていて、木が綺麗に映っている。近くから見たら結構大きい。素晴らしい光景だ。しかし、エリオットは左側のどこか遠くを見つめていた。
右側の美しい湖には興味がないようだ。エリオットの目には遠くにある小さな湖が映っていた。木が生い茂っているせいで見つかりにくい上に、影がかかっていて輝いてはいなかった。湖の近くには薄気味悪い建物がある。
あれが……この町の評判が悪い理由だ。また、ブルードットとは違って誰も泳いでもいなかった。変な噂があったからかもしれない。そのおかげであの湖はエリオットとジョンだけのものであったからいいけど。
寂しくブランコに座る6歳のエリオットに声をかけたのはジョンであった。他の少年たちよりも背が高く、痩せていて髪は彼の父に似て黒だった。
いつも父親の車の修理に手を貸していたから、彼の履いていたジーンズはよく汚れていた。
エリオットよりも6年も年上なのに、彼らは結構仲良くなった。最初の頃はブランコの近くでおしゃべりをしていたもののいつの間にか、一緒にいろんなところに出かけるようになった。ジョンは人が多いところを避けて、遊ぶ場所を選んだ。何故かこの町の大人たちはジョンに誰にも見せないような冷たい視線を向けるから。
例えばあの小さい湖とか。今もかなりよく覚えている。その日は今日のように暑苦しい日だった。
いつものようにブランコの下で話していた「僕の誕生日にはママがアップルパイを焼いてくれるんだ!ジョンも来てよ!」「それはいいね……」ジョンは一瞬悲しそうな顔をした後、エリオットに聞いた「エリオット、君って泳げるんかい?」突然の質問に戸惑ったものの、泳げないことを笑われるのでないかと思ったエリオットは「もちろん!」と答えてしまった。
最初はどこへ連れて行ってもらえるのかは予想もつかなかったが、そこには…見たこともない湖が広がっていた。ジョンは真っ先に飛び込んでエリオットを呼んだ「こいよー!気持ちいよ!」まだおチビでそこまで賢くなかったエリオットも彼に続いて飛び込んでしまった。
確かに水は冷んやりしていて気持ちよかった…最初の時は……どうしよう!?底に足がつかない!沈んでゆく!!エリオットはたちまち溺れ始めた…必死に上に上がろうとしても、できない…水面は太陽の光で金色に輝いていた。ブクブクとシャボン玉のような物が上に上がる。
水の中から見る水面ってこんなにうつくしいんだぁ…これが死というものなのかな…?だんだん…苦しくなってゆく……そして急に掴まれて上に引っ張られた。目の中の世界が明るくなる。
「エリオット!!このバカ!バカ!バカ!…ああ、よかった…よかった…」それはジョンであった。
普通は優しくて落ち着いているジョンはとても怒っていた。なぜかエリオットにではなく自分にだが…しかも彼は驚いたことに泣いていた。普通は泣かないのに。
もう少し遅かったらエリオットは今頃、この車に乗っていなかったであろう。
あんなこともあってエリオットはジョンに無理やり泳ぎを教わることになった。足がつかない底や水が恐ろしくて、嫌だったけどエリオットはもうこんなことでジョンを泣かせたくなかった。だから、頑張った。
今思えば何となく怖かったけど、あたたかい思い出だ。
看板や湖を通り過ぎた後は、町に入った。やはり小さな町だ。
しかも、エリオットがここを出てから一つも変わっていないなんて、なんかすごい。
ミス・ウィルソンの小さなお店だってまだ建っていた(水色だったペンキはほとんどが剥がれていて、看板はもう薄れて読めないけど)。エリオットはそこで1回、ジョンにアイスクリームを奢ってもらったことがある。
ジョンが朝早く起きてお隣さんの芝生を切ったおかげだ(エリオット小さいという理由で、ジョンはなぜかは知らないけど…お小遣いを貰うことはなかった)。
次に通り過ぎたのは古い映画館であった。まだ働いているということがエリオットを驚かせた(映画館の建物は赤色だったペンキがとても薄いピンク色になっていて、もちろん剥がれてきていた)。
状態は良くないものの、ここにある全ての物がエリオットを懐かしい気持ちにさせた。
しかし、変わっていたのは建物の古びた様子だけではなかった。それは、あちこちの建物に貼られた色とりどりの紙。夏休みなのに外で遊んでいる子供が少ないということだ。
前は自転車やボールを蹴る音などがうるさいほど、子供達はよく外に出て遊んでいた。町の雰囲気がガラッと変わってしまったような…変な感じだ……暑いからなのかな?……。
次に通った建物は学校であった。ウォーターヒルは小さな町だから小学校と中学校は一緒の建物にあった。
昔は明るかった黄色のペンキは薄黄色になっていて剥がれ始めていた。校庭は一度も整頓された事がないのはすぐに分かる。校長室の窓は割れたまんまだ。なんとなく、懐かしい。
7歳のとき、エリオットはこの小学校に入学した。ちょうどその年にトーマスというエリオットと同い年の子が校長室の窓を野球ボールで割ってしまった。
あの頃はワクワクしていて、胸を躍らせながら学校に足を踏み入れた。
ジョンと学校でも遊べると思っていたからだ。ジョンは何度か“リュウネン?”のようなことをしていて、ワクワクしていたものの、学校でジョンはあまり授業には出ていなかった。
お父さんの手伝いをしているらしい。こういうこともあって、学校ではジョンについての嫌な噂が流れていた「頭が悪すぎて勉強ができないらしいよ…」「あいつとは、関わらない方がいいよね…」しかも、ジョンはエリオットを学校で避けていた。それは、幼いエリオットの心を傷つけた。
湖に遊びに行く途中、ジョンに聞いたことがある。「ねえ、ジョン?なんで僕を学校で避けるの?」ジョンは「君を巻き込みたくないだけ」と優しく微笑みながら答えていた。
その言葉の意味はよくわからなかったけど、ジョンは学校の後はいつも遊んでくれていたし、エリオットは彼を責めることはなかった。
ある日学校にきた時、エリオットは自分に無数の嫌な視線が向いていることに気づいた。
とても、冷たい視線…。「あの子、あのバカなジョンと仲良くしてるらしいよ…」「マジかよ、こいつも留年するんじゃないの?可哀想」などの声も聞こえてきた。エリオットは思わず俯いてしまった。何でこういうことを言うの?僕は彼らに何かをしたのかな……?
するとジョンが学校に入ってきた。普段は穏やかな顔をしているジョンだが、彼はそいつらに鋭い視線を投げつけるとこう言った「…こいつなんか用?」その声は低く静かだったが、逆にそれが怖かったのか周囲の子たちは何も言い返せず、そそくさとその場を離れていった。
ジョンは何も言わずにエリオットのそばに立っていた。悲しそうな顔だった…。その日を境に、ジョンはエリオットと学校でも関わるようになった。
エリオットは心の底から嬉しくて、学校の窓から見える空はいつもより青く、太陽はより輝いて見えた。
しかし、エリオットがジョンと学校でも関わるようになってしまったせいでエリオットも裏で悪口を言われるようになってしまった。
「あいつまた、ジョンと仲良くしてるよ」「おかしいやつ」その言葉は心に針のように刺さったけど、ジョンが父の手伝いを抜け出してまでも学校に来ていつもエリオットを守ってくれた。
そのおかげもあって、エリオットは心の傷を癒すことができた。彼らの絆はいつの間にか友達以上になっていた。きっと何も知らない人が彼らを見たら、彼らが兄弟であると答えたのだろう。それほどに、ふたりは自然で、強く結ばれていた。
今後の物語もできるだけ定期的に投稿する予定です!まだ初心者で読みにくかったりすのかもしれませんが、楽しんで頂ければ嬉しいです!;D