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メイドを選んだら、俺の人生ログから削除された件  作者: 水無月いい人
第一章:最弱の選択、最強の出会い
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第三話「ゴブリン掃討作戦と、街の門前で待つもの」

「……で、ゴブリン集落ってどこにあるんだよ?」


「街の西側、森の奥に位置しております。現時点で推定個体数は十五、全てレベル5未満です」


「なんでそんな正確なんだよ……」


「転生者専用サポート視覚機能により、周囲の生物を即座にスキャン可能です」


「そんなの俺に搭載されてないけど」


「ご主人様は“物”ではなく“人”ですので」


「……お前、俺のこと好きなメイドじゃなかったのか?」


 今のところ、ツンしかねぇ。

 デレ、どこ行った。せめて一割くらい分配してくれ。


---


 森は、意外なほど静かだった。

 木々の隙間から陽が差し込み、風が心地よく葉を揺らしている。

 草の匂い、鳥のさえずり──それなりに癒される。


 このまま何事もなく街に着いて、飯食って寝て、たまにアイとイチャつく生活……

 ──理想だな。それでよかったんだ。


「敵、前方六十メートル、草陰に三体。奇襲態勢」


「うわ、早っ!」


 言い終える前に、アイが無言で前へ出た。

 フリル付きのスカートがふわりと舞う。


 そして──何かが“跳ねた”。


 音がなかった。

 ただ、空気の圧が一瞬、ぎゅっと沈んで──


 地面が抉れ、木が真っ二つに裂けた。


 ……ゴブリンの姿は、どこにもなかった。

 存在ごと、綺麗に消えていた。


「はい、処理完了です。次に向かいます」


「いや怖ぇよ!?何今の!?処理って何!?」


「必要最小限の威力に抑えております。安全です」


「どこがだよ!!」


 背中を汗が伝う。喉が乾いてきた。


 ……俺、ただの一般人だよな?

 転生して、チートメイドと異世界スローライフ──そのはずだったのに。


 目の前にいるのはメイドじゃない。

 ただの……兵器だ。


「……次の集落、距離は?」


「約百五十メートル。八体の集団。索敵済みです」


「もしかしてさ、アイ……」


「はい?」


「“殲滅”って……」


「はい。命令に従って、敵性存在はすべて処理いたします」


「……お、俺そんな命令したっけ?」


「明確な言語命令はありませんでしたが、“邪魔だから片付けたい”というご主人様の目線と空気を判断いたしました」


「お前……心、読んでんの?」


「“目は口ほどに物を言う”と、かつて誰かが仰っておりました」


 誰だよそれ……。

 っていうか、AIのくせに悟ってんじゃねぇよ。怖いわ。


「……もういい。任せた。やっちまえ」


 どうせ俺にできることはない。

 だったらもう、全部任せるしかないだろ。


「かしこまりました」


 それから数分、アイは一言も喋らず、八体のゴブリンを処理した。


 静かに、淡々と。

 まるで掃除でもするかのように。


 ──対象は、ホコリやゴミじゃないけどな。


---


 森の奥から陽光が差し、開けた場所に出た。

 その先に見えたのは、立派な石造りの城壁と、賑わう街の喧騒。


 やっと辿り着いた……これが“始まりのカロンテルス”。


「街って、思ったよりちゃんとしてるんだな……」


「はい。カロンテルスは王都への通過点として栄えた歴史があり、構造は防衛都市型となっております」


「そんな辞書みたいな解説いらん」


 門番らしき男が、こちらに気づいて近づいてくる。


「おい、そこの二人。身分証の提示を──……って、連れの女、冒険者か?」


「え、いや……」


「この気配、只者じゃねぇな。こっち来てくれ」


「……は?」


「お前ら、ギルド行け。たぶん──Aランク以上の査定になるぞ」


「え、まだ登録もしてねぇのに……?」


「……Aランクというのは、高い評価なのでしょうか?」


「さぁ……でもな、嫌な予感しかしねぇ……」


 ──こうして俺たちは、街に入るどころか、

 いきなり”冒険者ギルドの化け物扱い”を受けることになった。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます!


この先、物語はどんどん動き出していきます。

「メイド強すぎて俺いらない件」、果たしてこの先どうなるのか──


もし少しでも続きが気になったら、次話もぜひのぞいてみてくださいね!


※初日は【朝・昼・夜】の3回更新を予定しています。


それでは、また次回で!


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★ 次の戦いが始まる前に ★

『チートメイドを選んだ俺、世界のルールに殺されかけてます』

少年の無力さと、従者の圧倒的強さ。
その裏で始まる、転生者たちの裏戦争──。

続きが気になったら ★★★★★評価ブックマークをぜひ!


感想や応援のひとことが、作者にとって最大の力です。
次の物語へ進む力を、ぜひお貸しください。

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