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メイドを選んだら、俺の人生ログから削除された件  作者: 水無月いい人
第一章:最弱の選択、最強の出会い
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第二話「最強メイドは、初日から魔王級です」

振り回される一般人。

「……で、だ」


「はい?」


「俺が言った“岩を叩き割る”って命令な。普通はこう──バキィ!とかガラガラッて砕けるだろ?」


「はい。そうなると想定される処理内容でございます」


「でもお前、あれ……“消した”よな?石粉も残ってなかったぞ。概念ごとどこ行ったん?」


「適切な出力で処理しました。過剰であれば、今後は抑制モードに移行いたします」


「そういう問題じゃねぇんだよ……」


 俺の目の前には、涼しい顔のメイド──アイが立っていた。

 スカートで岩を粉砕するどころか、完全に“消去”するメイドってなんだよ。


「……なぁアイ。お前、戦闘力いくつくらいあるんだ?」


「戦闘力という明確な指標は存在しませんが、換算するなら“魔王級対応”と判定されました」


「え、魔王って……あの、ラスボスのやつ?」


「はい。初期設定で上限突破済みでございます」


 ……やらかした。

 俺はたしかに“チートメイドが欲しい”って願ったけど、いきなり魔王クラスのチート兵器が出てくるとは聞いてない。


「てかお前、俺が“ちょっと砕け”って言ったら、地面が浮いたぞ……?」


「振動の余波です。物理法則の干渉は予測の範囲内ですので、安心してください」


「どこがだよ……」


 無表情でそんなこと言うな。怖ぇわ。


「ご主人様。ひとつ、提案がございます」


「ん、なに?」


「現状、ご主人様の所持金はゼロ。衣食住の確保に課題があります」


「……まぁ、そうだけどさ」


「よって、経済活動への参加を提案いたします。具体的には──冒険者登録」


「げっ、働くの……?」


「収益があれば、寝床と食料と風呂を得ることができます」


 くっそ現実的だ……!


 異世界に来たらさ、もっとこう、勝手に金持ちだったり、王女に拾われたり、ダンジョンの財宝で人生イージーモードになったり……あるだろ普通、そういう展開が!


「だいたい冒険者って危険な仕事だろ?俺が行ったら死ぬじゃん!」


「ご安心ください。戦闘はすべて、私が担当いたします」


「お前ほんと便利だな!?」


「ありがとうございます。ご主人様の褒め言葉、記録いたしました」


「褒めたつもりはねぇよ!」


 けどまぁ、アイが全部戦ってくれるなら……

 俺は横で飯食って、夜はマッサージされて、たまにギルドで報酬を受け取って──


「完璧じゃね?」


「ただし、ご主人様の存在意義を示す必要があるため、登録時には“主人自ら申請を行う”義務があります」


「……めんどくせぇ」


 俺は思わず頭を抱えた。


 異世界に来てまで働かされるとか、なんのバグだよこの仕様……。

 でも、金がないと生きていけないのは、リアルでも異世界でも変わらないらしい。


「……分かった。行こう、街に」


「かしこまりました」


 こうして、俺と最強メイドのアイは、始まりのカロンテルスを目指して歩き出した。


 ちなみに移動は徒歩。

 チートメイドは空も飛べるらしいが、俺が乗るには“騎乗装備”が必要らしい。どんな制限だよ。


「──ところで、ご主人様」


「なんだよ」


「街に入る際、身分証明が必要になります。登録に必要な資料を揃えるため、まずは近くのゴブリン集落を殲滅し――」


「……おい」


「はい?」


「お前、今さらっと“殲滅”って言ったよな?」


「命令と認識いたしました」


「違ぇよ!俺は“行こう”とは言ったけど、殲滅しろなんて言ってねぇ!」


「ご安心ください。殲滅対象はあくまでレベル5未満のゴブリンのみ。生態系に支障は出ません」


「そうじゃねぇ!てかこの世界、レベルとかあんの?」


「ありません。冗談です」


 ……いや、冗談なのかよ。


 ていうか、ここって始まりのカロンテルスだよな?

 なんでスタート地点からして街に入れてねぇんだよ。


 バグだらけじゃねぇか、この世界……。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます!


次回はついに戦闘?


物語は少しずつ加速していく予定ですので、

次回も読んでいただけたら嬉しいです。


ブクマ・評価・感想など、モチベの燃料にさせていただきます!


更新初日は、朝・昼・夜の3回投稿を予定しています。それでは、また次回にて!

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★ 次の戦いが始まる前に ★

『チートメイドを選んだ俺、世界のルールに殺されかけてます』

少年の無力さと、従者の圧倒的強さ。
その裏で始まる、転生者たちの裏戦争──。

続きが気になったら ★★★★★評価ブックマークをぜひ!


感想や応援のひとことが、作者にとって最大の力です。
次の物語へ進む力を、ぜひお貸しください。

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