第一話「銀髪美少女チートメイド、爆誕」
メイド×一般人の物語ここに開幕──。
「──初めまして、ご主人様。本日よりお仕えさせていただきますメイドです」
丁寧にお辞儀をするその姿は、どう見ても人間だった。
しかも銀髪。しかも美少女。
……いやいや、これ本当にアンドロイドか?完成度が人外すぎる。
って、俺は何を真顔で見惚れてんだ。
「……お前、名前ないのか?」
「設定されておりません。ご主人様の判断にお任せいたします」
俺の言葉を待つその目は、何かを期待しているようにも見えて──
「……じゃあ、お前の名前は《アイ》だ。俺が呼びたいって思った名前だからな」
AIのアイ。
……ちょっと安直すぎたかもしれない。
「承知しました、ご主人様。──本日より、私は《アイ》です。ご主人様のお名前を聞いてもよろしいでしょうか」
「……熊谷 男子。……男子の読みは、アダム」
「男子と書いてアダム。とても、印象的なお名前ですね」
「うるせぇ、慣れてんだよその反応には……」
中学の出席確認でフルネーム呼ばれるたびに、教室が一瞬静まり返った。
もう慣れたよ。ええ。
「で、早速だが……触ってもいいか?」
「どうぞ」
即答かよ。
しかも「どこを?」とか聞いてこない。
いや、メイドだし、俺の“物”扱いなのはわかるけど……法律とか倫理とか、ここには存在しないらしい。
──俺の好きにしていいってことか。
「っだあああああ……っ」
「手を押さえてどうされましたか?どこか痛みましたか?」
「い、いや……なんでもない。大丈夫」
だめだ……童貞がいきなり美少女の胸に触れるとか、心の準備が追いつかない。
でも質感は気になる。
硬いのか、柔らかいのか。いや、アンドロイドならその辺の技術も気になるだろ、うん、科学的な意味で。
「……よし。触る」
「はい」
俺はアイの胸に、恐る恐る触れた。
「………………柔らけぇ……」
「ご主人様はもしや、えっちな方ですか?」
「いや違う!これはあくまで完成度の確認で!決してやましい意図では──!」
捲し立てる俺を、アイがじっと見つめる。
……その目が、すうっと細まった。
「……了解しました。では、早速ご命令を」
……切り替え早っ。いや、俺がしょうもないだけか。
「じゃあ……とりあえず、目の前のあの岩。全力で叩き割ってみてくれ」
「かしこまりました」
アイは無表情のまま、スカート姿のまま、静かに岩の前へ歩いていく。
そして。
次の瞬間──
風が、鳴った。
いや、違う。
空気そのものが“避けた”ような、耳の奥が歪むような音が響いた。
音も衝撃もなかった。
ただ、そこにあったはずの岩が──跡形もなく、消えていた。
「…………おい、あれ岩だったよな……?」
「はい。ご命令通り、叩き割っておきました」
いやいやいやいやいやいや。
どう聞いても“爆砕”じゃなくて“抹消”だったんだけど?
「……なんで風が逆流してんだ?」
「空間を撫でた際に起きた微弱な振動が、気圧に干渉したのかもしれません」
「お前……ほんとに……俺のメイドだよな?」
「はい。ご主人様の、忠実なメイドでございます」
──俺は、想像以上にやばいモノを願ってしまったのかもしれない。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
物語は少しずつ加速していく予定ですので、
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更新初日は、朝・昼・夜の3回投稿を予定しています。それでは、また次回にて!




