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メイドを選んだら、俺の人生ログから削除された件  作者: 水無月いい人
第二章:初任務が王立学園で俺と同じ転生者が現れるとか聞いてないんだが

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第十話「選ばれし者たちの序章──狩る者か、狩られる者か」

 ──放課後。


 事件の余韻も冷めやらぬ中、俺たちは予定を切り上げて早めに帰宅することになった。


「本日は無事に登校・帰宅が達成されました。進行度、2日目です」


「RPGかよ……」


 いつも通りのツッコミも、どこか空しく響く。


 “今日も無事に終わった”ってだけで、称賛される毎日。

 ──これ、ほんとに学園生活なのか?


 だが、緊張は緩まなかった。


「……アイ。さっきすれ違った奴、見覚えあるか?」


「学園の記録と照合中……該当データなし。外部からの潜入者と判断されます」


「いやもう……物騒すぎるだろ、この学校」


 ほんの一瞬の交差だったが、直感が告げていた。


 あの目は、知ってる。

 生き残るために“誰か”を殺してきた目だ。


 ──まさか、また転生者か?


「アイ。仮にこの世界に俺以外の転生者が多数いるとして──

 どれくらいの確率で鉢合わせると思う?」


「ご主人様が目立った行動を控えていれば、遭遇率は低いはずです。ですが──

 昨日の戦闘で、既に存在を“匂わせて”しまっています」


「……やっぱ、バレてんのか」


 弓兵を倒したことで、何かが変わった。


 ──引き金を、引いてしまったんだ。


 さようなら、俺のスローライフ。

 こんにちは、転生者デスゲーム。


「なぁ、アイ」


「はい」


「もしさ……俺と同じようにイカれた力を持ってて。

 それで“魔王を倒せば世界を掌握できる”ってルールを知ってる奴がいたら──」


「……」


「そいつが“全部独り占めしたい”って思ったら、どうなると思う?」


「単純です。ご主人様を“消す”でしょう」


「おいおいおい、怖いことをサラッと言うなよ!」


「事実です。ご主人様のような《上位存在》は、いずれ障害になりますから」


「いやいや、俺はただの一般人! 連れてるメイドが規格外なだけだからな!」


 

 ──つまり。


 もう“動いてる”やつがいる。


 この世界における“魔王”という存在。

 そして、転生者にしか知られない“真の報酬”。


 それを知るのは、“選ばれし異物”だけ。


 ──つまり、そいつらは既に戦いを始めている。


 静かに、着実に、ライバルを“間引く”ことで。


 中には協力しようとする奴もいるかもしれないが──

 理想論じゃ、生き残れない。


「……転生者狩り、か」


「ええ。奇しくも、前時代の記録にそれを示す記述がありました」


「前時代……?」


「詳細は不明ですが、過去にも“似た存在”が複数現れ、同士討ちに発展したようです」


「どこから引っ張ってきたんだその記録……」


 でも、それが事実なら──俺以外の転生者がいる可能性は、限りなく高い。


「これは私の推測ですが──」


「うむ。発言を許す」


「ありがとうございます。……そもそも、この世界の魔王という存在は、住民には認識されておりません」


「は? それどういう──」


「正確には、“魔王が本当に存在するかどうかさえ分かっていない”ということです。そして本題ですが──」


 アイはわずかに間を置き、低い声で告げた。


「魔王は、転生者の可能性があります」


 

 ──なるほど。


 世界に“異物”が紛れ込むたびに、調整が行われる。

 その過程で、誰かが消え──誰かが世界を手にする。


 そして今、俺もまた“次の舞台”に立たされている。


 魔王の座を賭けた、争奪戦の中心に。


「……分かった。だったら俺は、先に動く」


「ご主人様?」


「狩られる前に、狩る側に回る」


「……命令として、受け取っても?」


「ああ。状況を把握し、敵性を確認したら──優先的に対処してくれ。

 俺を守れ、アイ」


「……承知しました」


 

 ──こうして。


 俺は静かに、この世界の“ゲーム”へと、本格参戦することになった。


 平穏な日々は、もうどこにもない。


 俺の異世界ライフは、もうスローじゃいられない。

最後までお読みいただきありがとうございます!


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次回もぜひお楽しみに!

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★ 次の戦いが始まる前に ★

『チートメイドを選んだ俺、世界のルールに殺されかけてます』

少年の無力さと、従者の圧倒的強さ。
その裏で始まる、転生者たちの裏戦争──。

続きが気になったら ★★★★★評価ブックマークをぜひ!


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次の物語へ進む力を、ぜひお貸しください。

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