第九話「登校初日、学園に潜む転生者の気配」
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「ご主人様、今日もご無事で何よりです」
「いや、物騒すぎんだろその挨拶!」
登校初日から襲撃事件に巻き込まれた俺たちは、当然のように学園内で話題の中心になっていた。
──とはいえ、注目されてるのは俺じゃない。
完璧超人のアンドロイドメイド《アイ》、その異質すぎる存在感だ。
「なぁ、あの子……ほんとにメイドなのかな……?」
「なんで学園にメイド連れてくるんだよ……」
「付き添いの男、何者だ……?」
どこを歩いても視線の嵐。
まるで透明人間が急に実体化したかのように、皆の目が突き刺さる。
胃が重い。心もズシンと沈む。
俺の繊細なメンタルには刺激が強すぎる……。
……とはいえ、昨日の騒ぎを受けて、学園内の警備体制は目に見えて強化されていた。
教職員の巡回も増えていて、さすがに学園も危機感を持ったらしい。
「学園側に情報が漏れている可能性もあります。警戒は継続しましょう」
「あいあいさー……。いやほんと、俺のスローライフってどこ行っちまったんだ」
──そんなことを考えていた、その時だった。
廊下の突き当たり。
わずかに立ち止まったその瞬間、背中に“視線”を感じた。
息を呑む。
ぞくりとするような、針の先端で触れられるような感覚。
いやな予感しかしない。
──最近、自分の“直感”が妙に冴えてきている気がする。
もしかすると、昨日の一件で何かスイッチが入ったのかもしれない。
「……なぁ、アイ。今、どっかから“試すような視線”感じなかったか?」
「感じました。視線の主は、二学年上の生徒。魔法適正B、剣術C──ですが、魔力量が極端に突出しています」
「それ……普通の学生じゃなくね?」
「ご主人様と同じ“転生者”の可能性が高いです」
「おいおいおい……またかよ……」
俺も確かに転生者ではあるが、中身はただの一般人だ。
戦闘能力なんてゼロ。目立っていいことなんか一つもない。
──狙われているとしたら、おそらくアイの方だろう。
《転生者狩り》。
もし、昨日の襲撃者がその一人だったとしたら──
この学園も、もはや安全地帯とは言えない。
誰が、どこで、何を狙ってくるかも分からない。
そして俺は、ただの“付き添い”。
表向きはモブキャラ。でも、裏では確実に巻き込まれている。
「……アイ。俺って今、どんな風に見られてると思う?」
「“付き添いの変質者”です」
「だろうな!!」
そりゃそうだ。
パツパツの学園服を着て、無表情のメイドと一緒に歩いてる時点でおかしい。
でも──だからこそいい。
俺が注目されることで、アイや他の生徒たちへの矛先が逸れるなら、それでいい。
犠牲になるつもりはないけど、囮くらいにはなれる。
それでも──俺が狙われるのだけは、絶対に避けたい。
……この世界で、確実に何かが動いている。
昨日の襲撃は偶然なんかじゃない。
“魔王討伐”という目標をめぐって、異世界に放り込まれた俺たち《異物》が──
静かに、殺し合いを始めようとしているのかもしれない。
気づかれないように。
誰にも悟られないように。
表の学園生活の裏で、確実に歯車が回り始めている。
「……アイ。引き続き、監視は続けてくれ」
「もちろんです、ご主人様」
「あと護衛もな……!」
──スローライフ、どこ行った。
俺の、のんびり異世界ライフは今日も迷子中です。
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