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暮れた世界で

作者: 八百坂藍

時刻、22時。

外へ出る準備を済ませて男は外に出る。

1番近いバス停でバスに乗り、15分。

バスに降り、歩いて少し引き返す。

明かりから、暗がりのほうへ。

目的は、こちらにある。




夜の散歩だ。

飲み歩きとか買い物が目的ではない。

じゃあどこへ行くのか。

あんまり人におすすめできるようなことではないのだが、私の目的は河原である。

どこの河原かは自分で見つけて欲しい。

ヒントだけ言っておくと、どこかの県庁所在地の市だ。

サッカーが出来るほど広大な河原だ。

河川敷って言うんだっけ、こういうところは。

昼はサッカーする子供や散歩する人でそこそこの賑わいを見せていた。

しかし、今は夜。

道路と川の間に、坂と広い原っぱがあるので道路脇の電灯は川の近くにいる自分までも照らさない。

こんな夜中にこんなところを歩いているのも自分ぐらいだ。

人は、いない。

でも、感じているのは静けさではない。

感じるのは木とか草を撫でる風の音、川の音。虫や少しだけどこかにいるのかな、蛙や動物の鳴き声、足音。そして自分から出ている音。

と、暗闇だ。

まだ自分の上半身はギリギリ視認できるが、足は多分ここ、ぐらいにしか見えない。

まぁ段差もない場所なので特に困ることなど無いが。

を、南下していく。




風が、植物を撫でるように、体の横を抜けていく。

何もいないのに何かあるように感じる近くの暗闇。

別世界の様に遠くで光る坂の上の道路。

水が流体なせいだろうか、川はところどころ反射して、流れがわかるようになっている。

足は、原っぱを踏みしめる音をずっと立てている。

綺麗だ。

この空間を歩いていくのが楽しいのだ。

まぁ、最大の楽しみはここからなのだが。



1.2時間ぐらいが経っただろうか。

何しろ時計を見る気にならないので体感である。

原っぱは、終わり。

次に待っているのは街灯もない公園だ。

公園といっても、遊具のある地面が砂のあの一般的な公園は一部で、あとは通路の端に木々が生い茂る散歩用コースの様な公園だ。

道路ではないからだろう。

何故かここには、街頭がない。

原っぱにいた時より木、虫、暗闇、風全てが近くに感じる。

それだけでも楽しいのだが、最後の楽しみはトンネルだ。

この公園、真ん中に道路が貫通しているのだが、下にトンネルがあるお陰で足を止めることなく通れるのだ。

そして唯一、ライトがある。

だが、何か出そう、な感覚があるのだ。

人によっては逆に絶叫ものだろう。

トンネルの中に入ると、さっきギリギリ見えていた暗闇はもう完全に黒になる。

ちょっとの恐怖を無視し、先の見えない暗がりへ。

そして公園のコースを歩き切り。超えた先は住宅街、ここまで来ると道路なので普通に街灯がある。

楽しい散歩はこれで終わり。

このまま住宅街を抜けると数点お店があるのでコーヒー店でコーヒーだけ買い、帰路に着く。

これが、この男のリフレッシュの仕方だった。

まぁ、2.3時間の散歩だったので後は家で爆睡なのでどちらで回復してるのかは定かでないが、ね。

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