仲直りと少しの裏切り
昨日はレビューありがとうございます。
有栖先輩との関係が自然と消滅してから2ヶ月が経った。
あれから小鳥ヶ丘先輩からの連絡はない。
校内で顔を合わせても会釈すらしない。
一時期はやっていた下校ですらわざとタイミングをお互いずらす。
そんなギクシャクした関係が続いていた。
「颯斗、有栖さんと何かあったのか?」
そんなことが2ヶ月も続けば親友からの勘ぐりもくるわけで。
まさか俺と有栖先輩がお前の浮気を疑ってた、なんて素直に言うわけにはいかない。
「別に。元々俺と有栖先輩は仲がいいわけじゃないからな」
「そうか? なんか最近颯斗、溜息が多いからちょっと心配なんだよ」
「悪い。そんな自覚はなかったんだけど不快にさせたなら謝るよ」
「そう言うことが言いたいわけじゃなくてだ。颯斗、一回有栖先輩と話してこい。絶対2人なんかあっただろ」
大智は本当にこう言うところは気が回る。
だからこそ親友なのだが。
その時、何故か脳裏に有栖先輩のワンピース姿がよぎったが気のせいということにした。
だって俺はもうあの件からは手を引いたんだ。
◆◆◆
ずっと断る俺に大智が有栖先輩を教室に呼び出すという強硬策に出た。
こうなってしまっては多少なりとも話すしかない。
俺と有栖先輩は屋上へと向かった。
「その、颯斗君、久しぶりね」
「なんで小鳥ヶ丘先輩が気まずそうにしてるんですか。悪いのは俺ですよ」
「いや冷静にあの後、考えたのよ。そうしたら私、随分と自分勝手なことしてるなって思って……」
「そうですかね? 俺は少なくとも迷惑には感じてませんでしたよ」
「でも、仮にも異性と出掛けてるのに別の人の話ばっかりするとか流石にマナー違反だと思うの」
「いやいや、小鳥ヶ丘先輩は大智が好きなんだから仕方ないです。俺は所詮その辺のモブ……ですから」
自分で言っていて悲しくなる。
ただ有栖先輩からすると俺はただの大智の友達でしかない。それも事実だ。
「颯斗君は私の中ではモブなんかじゃないよ」
「お世辞でもそう言ってもらえると嬉しいです。じゃあ色々とお話ししましたし、これで」
もう特に大智が絡まなければ関わることはないだろうけど。
そんな言葉を胸の中にしまいながら、俺は屋上から立ち去ろうとした。
「待って!」
「なんでしょうか?」
「もう一度……そう、もう一度だけ私とデートしてくれない?」
俺は目が点になる。
何故有栖先輩はこんな提案をしているのだろうか?
前のデートで負目があるから?
そんなことでデートに誘うような人か?
「それは何故でしょう」
「その、前回のデートの負目っていうのもあるんだけどね。私、颯斗君のことをきちんと見ないとと思って」
それはつまり有栖先輩の中での俺がモブではなくなるということ。
でもそれと同時に大智に対する引け目も感じる。
大智が浮気をしているかしていないかは俺自身はわからない。
悩みに悩んで俺が出した回答は初めから決まっていたかのように、すんなり出てきた。
「……一度だけなら」
「やった。じゃあ今日からまた小鳥ヶ丘先輩は禁止ね。ちゃんと有栖って呼ぶこと。後、私がきちんと見るんだから颯斗君もよそよそしいな禁止ね!」
「わかりました」
こうして俺はまた有栖先輩とデートへと行くことになった。
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