関係の解消?
「颯斗、昨日の休日何してたんだよ。俺ちょっと用事を思い出して連絡したのに全然返事返ってこないし」
「それはごめん。ちょっと昨日は忙しくてさ」
「バイト終わりに有栖先輩に連絡しても返事来ないし……」
もしかして休日の用事ってバイトのことだったのか?
でもそれだったら素直にそういえばいいのになんで用事なんて言い方をしたんだろうか。
「大智、俺今から変なこと言うけど間違ってたら流してくれ」
「おう? 颯斗がそんなこと言うの珍しいな」
「お前、浮気とかしてないよな?」
昨日の有栖先輩の件もあり、俺は一度直接聞くことにした。
大智の回答がどうあれ俺からは《《有栖先輩には伝えない》》。
ちょっとした意地悪のようなものだ。
「……ははは! 颯斗、面白いこと言うな! 俺が浮気してそれを隠せる器に見えるか?」
「いや、とてもそうは見えないな」
「だろ? 俺にはそんな器用なことできないよ」
少し違和感を感じる回答だった。
だが本人が否定している以上、これ以上の追求は無意味だろう。
俺は違和感を必死に胸の中にしまい込む。
◆◆◆
『颯斗君、なんで今日は作戦会議に来てくれなかったの? 私、昨日何か悪いことしちゃったかな』
有栖先輩からこんなメッセージが来るのは朝から3回目だ。
今は昼休みだから授業時間の小休憩の度に送ってきている。
この人も存外、暇なのかもしれない。
俺はそんな呑気なことを考えながら、大智に向けて有栖先輩に休日何してたか言ったほうがいいぞとメッセージを送る。
これで晴れて俺と有栖先輩が作戦会議をする必要はなくなったと言える。
「随分とあっけなかったなぁ」
つい数日前まで、時間をかけて色々とやっていくものだと思っていた。
だけど、有栖先輩が楽しそうに大智の話をする度に俺の心に嫌な黒い感情が溜まる。
今回、直接大智に聞いたのは俺が少しでも早く楽になりたかったんだろう。
ただの逃げだ。
「やっと見つけた! 颯斗君なんで連絡返してくれないの?」
「あり、いや、小鳥ヶ丘先輩どうしたんですか?」
「大智君から休日はバイトをしてたっていう話は聞いたよ。だけど、それで容疑が晴れたわけじゃない。それは賢い颯斗君なら理解してるよね?」
「どうでしょう? 本人がバイトをしてたって言うならそうなんじゃないですか?」
「あのさ、さっきからそのよそよそしさと態度はなんなの?」
なんなのと言われても困る。
俺は元々興味のない人に対してはこういう態度だし、赤の他人である《《小鳥ヶ丘先輩》》に対してこう言う態度をとっても不思議ではない、はずだ。
「大智の容疑が晴れたことで俺と小鳥ヶ丘先輩は晴れて無関係ですよ」
「だからまだ容疑は……」
「本人が否定しているならそれでいいじゃないですか」
有栖先輩の言葉に被せるようにして俺は再度念押しする。
これ以上追及しても誰もいい気分にはならないし、得はしない。
「……颯斗君の気持ちはわかった。ここからは私1人でやるよ」
そういい有栖先輩は俺の元から去っていった。
多分これでよかったんだと思う。
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