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初めてのお出かけ

今日も2回更新します

 次の日も俺は有栖先輩と作戦会議と称して密会していた。


「颯斗君、今週の休日は空いてる?」

「はい。空いてますが」

「実はこの休日、大智君をデートに誘ってみたんだけど用事があるらしくて」

「用事ですか……」

「かなり怪しいから尾行してみようと思うんだけどどうかな?」


 大智は普段、そこそこ物静かなやつだ。

 教室では俺以外とつるむことはほとんどない。

 そんなやつが用事があると言って、有栖先輩とのデートを断るのは確かに不自然だ。


「それでなんで尾行に俺を誘うんですか?」

「そんなの勿論、こんなの頼めるの颯斗君しかいないからだよ」

「有栖先輩、もしかして友達いなかったりします?」

「そんなことない! 私はちょっと孤高なだけで……!」


 悲報であるが学園のアイドルはボッチなのかもしれない。

 そういう意味では大智とは似たもの同士で凄くお似合いなのにな。



 ◆◆◆


 昨日は待ち合わせの時間と場所を決め、そのまま解散となった。

 有栖先輩のボッチ疑惑は結局晴れないままだ。

 そんなことは置いておいて今、俺は大きな問題に直面していた。


「どうしよう。早く来すぎた」


 考えてもみて欲しい。

 憧れだった先輩と尾行という任務があるとはいえ、一緒に出かけられるのだ。

 普通に待ち合わせ10分前や直前に着けという方が無理だと思う。

 ということで俺は1時間強の時間をファーストフード店で過ごすことになった。


「ごめん! 待ったかな?」


 待ち合わせの場所に現れた有栖先輩は学園のアイドルの名前に相応しく、純白のワンピースに大きめの麦わら帽子という男心を擽る素晴らしい格好だった。


「い、いえ、今きたところです。ところで先輩その格好は」

「ならよかった。これ? 浮気相手との初デートだしちょっとおめかししちゃった。どう? 似合ってる?」


 そう言い、可愛げにはにかみ、くるっと一周回ってみせる有栖先輩に俺はもうノックアウトされそうだった。

 思わず撫でたり抱きしめたくなるような衝動をグッと堪える。


「おーい、颯斗君?」

「あ、いえ、とてもお似合いです。それこそ横を歩くのを緊張するぐらいには」

「それは良かった! で、私とても重大な問題に気づいてしまったんだけど……」

「奇遇ですね。俺もですよ」


 大智が何処にいるのかわからないという問題だ。

 極力、大智にはバレないようにする為に大智の家から離れた位置に集合したのが仇となった。


「ねぇ、颯斗君」

「なんでしょうか?」

「提案なんだけどこのまま今日は私とデートしない?」

「俺はいいですけど、大智の件はいいんですか?」

「いいも悪いも行き先がわからないんじゃどうしようもないよ。それなら大智君もお楽しみだって想定で、私も楽しんじゃおうかなと思って……ダメかな?」


 好きな人、それにとびっきりの美人というおまけが付与された人から上目遣いで頼まれたら、誰だって抗うことはできないだろう。


「わかりましたよ……」

「やった! 映画でもいく!?」


 子供のようにはしゃぐ有栖先輩はなんだかいつもより子供らしく可愛らしかった。


 ◆◆◆


「えーと有栖先輩、ここですか?」


 結局、映画は時間が合わずちょっとした買い物をすることになった。

 そして俺が今困惑している理由は有栖先輩が俺を連れてきた店がランジェリーショップだったから。


「そうよ。大智君の好みでも教えてもらおうかなと思って」


 やっぱり大智のためか……。

 それはそうだよな。デートをしているとはいえ、仮の関係でしかない。

 有栖先輩の気持ちはまだ大智にあるんだ。

 俺は湧き上がってくる感情を抑えながら必死に笑顔を作る。


「いいですよ。大智は……」


◆◆◆


 今日はただただ有栖先輩が大智のことを好きなんだと嫌でもわかってしまう1日だった。

 有栖先輩の気持ちは俺と浮気をしようと、口では言いながら、まだずっと大智にあるんだと思うと自然と熱も少し失せる。

 なんで有栖先輩はあいつを選んだのか。

 だってそうだろう。あいつは有栖先輩を放っておきながら浮気をしているやつかもしれないのに。

 俺はもやもやしながらその日を終えた。

このお話が面白かった方はブックマーク又は広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★に面白くなかった方は☆☆☆☆☆を★☆☆☆☆にしていただけると嬉しいです!


最後になりますがこの作品を読んでくださっている皆様に最大限の感謝を!

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