有栖先輩と
「颯斗君、今度ショッピングモールができるみたいなんだけど冷やかしにいかない?」
秋ももう終わろうとしていたそんな時期に有栖先輩からそんなお誘いを受ける。
「別にいいですけど、咲はどうする?」
「咲も行きたいな……」
「3人で行けばいいよ。颯斗君も咲ちゃんも普段全然買い物になんて行かないんだし」
「んー、有栖ちゃんちょっといい?」
「うん? いいけど」
有栖先輩と咲が部屋を出ていく。
女の子同士でしか話せないこともあるだろうしな。
ただ買い物と言われても難しい。
俺は普段から本当に物を買わない。
本を少し買うぐらいだ。
でも女の子と同棲してるからには服ぐらいは買ってもいいかもしれないと最近は思い始めている。
「颯斗先輩、交互にデート形式で出掛けるという感じでもいいですか?」
「別に俺はいいけど……」
「じゃあ決まりだね。咲ちゃんも颯斗君もちゃんと準備しとくんだよ!」
デートか。
随分と久しぶりな気がする。
勿論、前回有栖先輩と出かけた時は有栖先輩側はデートだなんて微塵も思ってなかったかもしれないが。
今回は少しでも意識してくれてると嬉しい限りだ。
◆◆◆
「それで何処から行こうか?」
「有栖先輩は見たいところないんですか?」
男としてこういう女の人に聞くというのは良くないのはわかってはいる。
だけど俺としては有栖先輩の意見を尊重したい気持ちもあって。
なかなか難しい話だ。
「じゃあ冬服でも見に行こうかな」
「おっいいですね。俺も少し服を増やそうかなと思ってたところなんですよ」
「颯斗君、服少ないもんね。節約するのも大切だけどもうちょっと増やしてもいいと思ってたよ」
◆◆◆
「どうかな?」
俺は今、有栖先輩の服をまた選ばされている。
有栖先輩ほどのプロポーションならどんな服を着ても似合うのは当たり前なのだが、その中でも1番似合う物を選ばないといけない。
「個人的にはこの白いロングダウンコートを組み合わせたやつがいいと思うんですよね」
「颯斗君、前から思ってたけど本当に白好きだね。そんなに私、白色似合うかな?」
「有栖先輩の黒髪ロングは綺麗ですからね。それに合うのが白なだけですよ」
「綺麗だなんて。颯斗君、私以外にそんな褒め方したらダメだからね?」
「え? はい」
何か女性に対して失礼になる褒め方だったのだろうか?
人生で女性経験が無さすぎて全くわからない。
◆◆◆
「このパフェ中々、美味しいね」
買い物を終えた俺と有栖先輩は喫茶店に来ていた。
有栖先輩は笑顔でパフェをほおばっている。
そんな有栖先輩を観察するのが最近、俺の楽しみの一つになっていた。
「それは良かったです」
「颯斗君も食べてみる?」
そうしてまたスプーンが差し出される。
これはまた食べないと有栖先輩の機嫌が悪くなってしまう。
正直この行為は野外でやるにはかなり恥ずかしい。
だが男には引けない時がある。
俺は差し出されたスプーンを口に含む。
「お、美味しいですね」
「でしょ? このイチゴも酸味とアイスのハーモニーがたまらないよ」
有栖先輩は俺の羞恥心なんてどこ吹く風だ。
こういうところも含めてこの人には敵わない。
そんなことを思った半日だった。
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