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プロローグ

初投稿なので拙い文章ではありますが、お楽しみいただけたらと思います。

                                  竹乃

プロローグ



人が生きる理由とは何か?それはきっと幸福の為だろう。


そしてそれは僕自身の人生観でもある。


単に幸福と言っても色々ある。金だの女だの権力だの。


そんな適当な幸福を追い求めるのが人生だ。


みんな幸福を求めて生きていくんだろう。


これから『彼ら』は幸福を求める。


―そして『僕も』、幸福を求め続ける。





2018年 4月


季節は春、静追しずおい高校屋上。


少しの肌寒さを残した春の風を一身に浴び、青空の下で眠る。

うーん、最高だ。ぜひともこのまま心地良く俺を夢へと・・・


と、この男子生徒が思った矢先。



「ガチャァン!」

「『藤永総平ふじながそうへい』!!」



勢いよく屋上出入り口のドアが開き、聞き慣れた女の声が入ってくる。



「・・・うるさいな。何だよ志癒、急にフルネームで。」



そして歩み寄ってくる。



「高3になって1回目の授業、サボっちゃダメでしょ!」



間髪入れずに母親のように叱るのは『華宮志癒かみやしゆ』だ。



「どうせ誰にもバレてないし平気平気。それに最初なんてどうせクラス替え後の

軽い自己紹介とかだったんだろ?」



総平は気だるそうに答え、再び目を瞑る。



「なにまた寝ようとしてんの。っていうかやっぱりまたアレ使ったんだ・・・」



瞬間、志癒の目線は総平から飛行機雲へ移る。



「・・・青空に伸びる飛行機雲、やっぱり綺麗だなぁ・・・」


「はっ!?」



人が変わったように勢いよく視線を後ろへ向けると、そこにはさっきまで寝ていたはずの

総平が後ろに立っていた。



「もう下校時刻過ぎたんだろう?俺は先に帰るぞ」


「また使って!もう・・・」



志癒は慣れた反応をしているが総平には超能力がある。これがまさにそうだ。

自分へ向けられる認識を別のものへ移す力『シフト』。これで授業も志癒も欺いたのだ。

名前が安直なのは本人たちがわかりやすいから。



「そういや『臨』はどうした?もう先帰ったのか?」


「わかんない。多分いつも通り玄関で待ってるんじゃない?」


「そっか。とりあえず俺行くわ」


「あっ待って!ほかの友達と帰る約束してるから玄関までは一緒に行こうよ!」


「はいはい・・・」



二人は幼稚園からの幼馴染でこうして肩を並べて歩く姿は珍しいことではなかった。

総平へ刺さる男の視線はかなり痛い。だからウザくなったら『シフト』している。




静追高校玄関



―多くの生徒たちが下校している。初々しく制服を着て歩く者も多い。


そんな中に紛れて、玄関脇に、男は立っていた。



「おう悪いな待たせて、上で寝てたわ」


「・・・」


「・・・おい?」



総平が小突こうとしたその肘はなんと、男の体をすり抜けた。その直後。



「ゥワッッッ!!!」



突如後ろから、立っていたはずの男が(今も前に立っているが)耳元で叫んだ。


しかし、この光景もいつものことだ。



「うるっせえな!さっさと帰るぞ!」


「ちぇっつまんねーの。もうちょい面白い反応しろよなあ」


「お前の『力』は知ってんだからすぐわかんだよアホ」


「ひどォィん」「気持ち悪い!」



いつもと変わりない会話を交わしながら歩く。



「おーーい!!そうへーい!りんりーーん!じゃあねーー!!」



少し遠くから聞こえたのは志癒の声だ。クラスの女子と歩きながら総平たちへ手を振っている。



「「うぃーーーす」」



二人して志癒へ目を流し肩辺りで手を振る。



「高3になっても大勢の前で『りんりん』はなぁ・・・」


「そうか?いいと思うぞ、パンダみたいで」


「だからだよ!お前もアホか!」



憤慨する騒がしい男、『倫道臨りんどうりん』。ついたあだ名がりんりん。

本人は恥ずかしいのか少し顔を赤らめている。



「こんのっ!」



意気込みながら臨はいつの間にか手にしていた小石を思いっきり総平めがけて変なフォームで投げつけた。

だが総平を顔色を変えず歩き続ける。


なぜならその小石は絶対当たらないことを知っているからだ。



「だから俺はお前の『ドール』を知ってるっつの・・・」


「本物投げたら一大事だろ!?」


「そうっすねぇー」



なんでも物をひとつ作る、だが触れない。臨はこの『ドール』と呼ばれる力で

総平と授業をサボったり遊んだりしている。


そんな帰路に着く彼らを校舎上階から眺めていたスーツ姿の男。

そして男は窓に向かい呟いた。



「あいつらまさか、『識者』なのか・・・!?」



彼らを『識者しきしゃ』と、そう呼んだ。













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