9.新たなもふもふが……!
ブックマーク1400越えしました!ありがとうございます!!
ベッドで横になったまま取得したスキルと称号をチェックしよう。
先ずはスキルからだね。
《無謀》1回の戦闘時に即死攻撃を1度だけ耐えられるようになる。
このスキルはパッシブスキルだ。素直にスキルの名前だけで考えると内容と噛み合ってない気がするけど、効果が非常に有りがたいので素直に喜ぶ。これでオオタテグモからの攻撃に一回は耐えられる事が確定した。正直なところ直ぐに他の前肢で攻撃をされそうな気がしているけど考えてはいけない。
続いて称号。
《称号:挫けぬ者》 レベル差が有る敵に挑み続け、1ダメージも与えられずに死ぬこと200回。根気と勇気を称える証。1回の戦闘時に瀕死状態になった場合、1度だけHP回復20%付与。
うわぁ、称号が強い……!!これは良い称号だね。
ゲーム内の時間としてはもうすぐ夜だ。まあ何度か突撃している時にも日を跨いではいたので初めてでも無いし余り深く考えなくても良いかも知れない、どちらにせよまだオオタテグモとしかエンカウントしてない事実。同じ蜘蛛なのか違う蜘蛛なのかは不明だけど空腹ゲージを100%してから向かう事にしよう。
いい加減自分自身のレベル上げもしたい……が、敵を倒せないせいかスキルしか上がらない悲しさよ。お陰でステータスが伸びない。悲しい。そうこう考えながらも月明かりに照らされる道を進む。もう道は覚えた、距離も無いしね。木々がざわめく音に混じり梟のような鳴き声も聞こえるけれど姿は見えない、いずれエンカウントするのだろうか。
……と、オオタテグモの出現ポイントに来た。早速、腰のベルトからダガーを引き抜き右手で逆手に持つ。ついでに左手にはHP回復のポーションを持つ、ポーションの利点は飲まなくても身体に掛ければ効果がある事だ。傷口に掛けるのが一番効果的だが場合によってはそんな暇は無い、ゲームなので身体に掛ければ取り敢えずは回復すると鑑定結果が出ていた。尚、MPポーションも同様。タブレットだけはちゃんと口にいれないと効果が現れない仕様だ。
歩幅は少し狭めて地面を踏み締める、《魔力探知》で気配を探り……草葉の影から出てきたオオタテグモ。こんばんは、もう何回目でしょうね……っと正面から左前肢でが振り被って来た。勿論避けれないので痛いけれど、《無謀》効果で即死は免れると解っているのでダガーを今持てる渾身の力で振り下ろし前肢に突き刺し手前に引くと同時にHPポーションを自分に振り掛け後ろに下がる。私の力でも少しはダメージが入ったのかオオタテグモが一声鳴くと漸く敵のHPゲージがちょびっとだけ減った。称号のお陰でHPは回復、更にポーション効果で合計40%回復した……が、全く倒せる気がしないね。どうしたものか。
あ、オオタテグモがなんか怒っているっぽい。後ろを急に向いたと思いきやお尻から糸を吐き出された。いやね、逃げようとしたけど蜘蛛の方が素早いんだよ。だからね、うん、1メートルの蜘蛛から吐き出される糸の量を見誤った訳でして。
結果雁字搦めにされました。視界が糸のせいで見えないわ、腕や足を動かそうとしても動かない……詰んだ。このまま餌になるのは嫌だな、蜘蛛って確か体液吸うんだよね。死ぬまで時間が掛かりそうだ。
少しでも動けないものかと転ぶの覚悟で重心を前に傾けて見る、……お、傾い……たっ!
とさっ
軽い音だけが響いた。これは単純に地面に突っ伏したと言うか転がってしまっただけなのでは。自分で確認は出来ないけれど想像をしたらかなり虚しい光景だと思う。
“ふっ、くくっ、ふくくくくっ!そろそろ何かしらの策が出来たかと思いきや全くの無策ではないか、これは愉快愉快”
……なにやら声が聞こえるね!全く物音しなかったけど誰か来たのかな?と言うか動けないし糸の量が増したっぽいので段々背中が重くなってきたのだがどうしよう。
ダメ元で助けて貰えないか聞いてみようか。
「えーと、何方か存じませんが出来れば助けて頂けると嬉しいです」
“そうか、助けて欲しいのか。あれほど何百と直ぐに死んでいたので趣味かと思っておったわ。のう小さきお主、名はなんと言う?此度の折角の縁じゃ、わらわと契約をすれば助けてやるぞ”
「シグレ、と言いますが、契約……ですか」
“うむ、久々に愉快なものを見たか礼みたいなものよ、はよう決めないとオオタテグモがお主の頭をぱくーっとしてしまうぞ”
「……条件は?」
“お主の愉快な道中にわらわを同行させることと、美味しい料理で構わぬ”
「……それくらいなら」
契約と言う言葉が出たので恐らく人では無さそうだが、思いの外緩い契約条件だったので契約する事にした。敵意を一切感じないし少なくとも私より絶対に強いと思う。何よりこの謎の存在と会話をしている最中オオタテグモが全く攻撃をしてこなくなったので何か有るんだろうなと勘繰ってしまう。
“契約成立じゃな。ではシグレよ、わらわは《白雪鉱鳥》の《ハクア》である。ハクアと呼ぶが良い小さき自己幻族であり時空忘れの旅人よ”
ハクアが嬉しそうに名乗ると左の手の甲の一部が熱くなる、残念ながら蜘蛛の糸で簀巻き状態なので今は見れない。後で確認しよう。そしていつものお知らせアナウンスを告げる音が鳴った。
『《白雪鉱鳥の姫 ハクア》との主従契約が交わされました。称号《契約を識り施行する者》を取得』
アナウンスに耳を傾けているトマトを潰したようなグシャっとした音と、再びアナウンスを告げる音が響いたがそれよりも何かに持ち上げられている感じがする。アナウンスを聞き流しつつ焦る、自由が利かないって恐ろしいな!そしてハクアどこに居るの?……うわ、なんか糸がうねうねし始めた……いやこれ溶けてる?え、何が起こってるの?理解が追い付く前に地面に落とされたのか衝撃が来た、痛い。
“ふむ……、シグレ。その糸はもう柔くなったので自力で破れると思うのう”
「……え?ああ、本当だ。助かったよ、ハクアありがとう」
ハクアの言葉に従い、起き上がろうと動いてみれば糸の強度や拘束が緩まっており、簡単に糸の中から抜け出せた。粘着質なベトベト感は有るので生活魔法の《洗浄》を全身に掛けて綺麗にする。
やっと一息吐くとハクアの姿を探すが見当たらない。――と言うか目の前は森だった気がするのだか…なんか白いもっふりしたものが見える。顔を上げて上を見るがかなりの高さが有り良く見えない上に月明かりのせいで逆光だ。
「……ハクア?」
“どうした?まさか契約はやっぱり嫌じゃと言うのは無しだからのう”
「そうじゃなくて、どこに居るのかと……」
“目の前におるではないか……ふむ、見えぬか”
目の前と言われてもこの大きい謎のもふもふがハクアなのだろうか、と思っている内に小さくな……50センチくらい有るけれどこれは見た目がシマエナガでは!?
現実世界で雪の妖精と言われる白いもふもふの鳥で可愛さで魅了してくるシマエナガでは!!可愛さにときめいてしまって震えてくる、もふもふしたい……が、先に確認を取らないとダメだよね。
「は、ハクアですか?」
“当然であろう、わらわじゃ。サイズなど好きに変えられるわ。疑うなら鑑定を掛けても構わぬぞ、お主にならステータスくらい見せてやろう”
ふふんと胸を張って自慢気に答えるハクア、デルわんこと言い、もふもふ達は可愛いね!抱き締めて頬擦りをしたい欲求を抑え言われた通りに《鑑定》をしてみる。
《名前:ハクア》
《種族:白雪鉱鳥 雌》
《レベル/現在の鑑定レベルでは測定出来ません》
STR/現在の鑑定レベルでは測定出来ません
DEX/現在の鑑定レベルでは測定出来ません
VIT/現在の鑑定レベルでは測定出来ません
AGI/現在の鑑定レベルでは測定出来ません
INT/現在の鑑定レベルでは測定出来ません
MND/現在の鑑定レベルでは測定出来ません
LUK/現在の鑑定レベルでは測定出来ません
《状態:シグレと主従契約中》
《装備》
武器:無し
頭:無し
防具:無し
靴:無し
装飾:無し
《スキル》
戦闘スキル/《体当り10》《のしかかり10》《打撃10》《踏みつけ10》《嘴攻撃10》《風魔法30》《雷魔法30》《雪魔法30※種族固有スキル》
生産スキル/《糸錬成10》
その他スキル/《鑑定10》《採取10》《魅了10》《飛行10》《千里眼Ⅲ》《念話Ⅲ》《物量変換Ⅲ》
《称号》
《蜘蛛の殺戮者》《白雪鉱鳥の姫》《森の守護鳥》
《友好度》
良好
レベルとかはわからなかったけどスキルは判明したので言おう、滅茶苦茶強いぞ……。これ序盤の序盤で仲間になるとか無いのでは。寧ろ良く契約してくれたね、しかも既に友好度が高い。明らかに称号の効果だろうな……。運営からストップが掛からないなら大丈夫だろう、多分。
それよりも今はもふもふしたい。絶対気持ち良さそう。
私が欲望にまみれてシマエナガ……もといハクアをガン見していると可愛らしく首を傾げてきた。ああっ!破壊力がヤバいぃい!思わず自分の顔を両手で押さえて身悶えてしまう。
「ふぐぅっ!ハクア可愛い過ぎるぅうう!!」
“な、ななな、なんじゃお主突然!わら、……わらわが、か……かかか、可愛い等と……その……。ええい、シグレよ一旦お主の家に戻るぞ!”
褒められ慣れて居ないのか反応も初々しいね!新しいもふもふも可愛い、大きいけど可愛いよ!衝動のままもっふりしたかったがハクアがせっつくので大人しく里に戻ることにしたのだが、聞いてください!ハクアが私の頭の上に乗っかって居るんです!大きいので重いのかと思いきや滅茶苦茶軽い、ハクアは雌なので重さに対しての追求はしないことにするが、もふもふがこんな近くに存在する幸せよ。
もう少しハクアが慣れてくれたなら是非ぎゅっと胸に抱き締めたい。大きいシマエナガぷりてぃ。
戦闘の疲れなど感じないと言うか全部頭に乗るハクアに意識を向けていた状態で里に戻った、だが今は真夜中の為静かに戻る。入り口で見張りのオジサマに挨拶をしたところ非常に驚いた表情を向けられた後、合掌しながら拝まれた。なんだろうか。
さて、若さんの家に戻ったので居間に移動。木製の椅子の上では有るがハクアを頭の上から下ろさせて乗せ……凄く羽毛が柔らかい!流石に十指をわきわき動かしたら怒られそうなので名残惜しいがそっと、そっと椅子の上に乗せる。
向かい合う位置で私も座る……ああ、暗くて見難いけど可愛いね。
“……なにやら邪なオーラを感じるのう”
「気のせいだよ、ハクア。それより契約の条件に有った料理でも食べるかい?美味しいかはハクアの味覚によるかもだけどね」
ハクアの鋭い突っ込みを無視しアイテムボックスからデルわんこが気に入ってるステーキを取り出す。フォークで一切れ分を刺して、ハクアの口許へ持っていく。鳥ってお肉食べれるのかな、ゲームだし大丈夫だと思いたい。ハクアの反応を見てダメなら次の手を考えよう。
“む、良い匂いじゃ。どれ……”
嘴を開口し器用にステーキを取り、咀嚼していく。あ、目が一瞬大きく見開いたね。続いて羽を大きく広げて、また戻してから震えてる。ふるふるする姿も可愛い。可愛いしか言えない、語彙など消し飛んだ。
“なんじゃ、これは……。わらわが今まで食したどんなものよりも美味であるぞ!流石はわらわが契約しただけはある。シグレよ、はよう次も寄越すのじゃ!”
「気に入ってくれたみたいだね、良かったよ。じゃあハクア、あーん」
“うむ、大義であるぞ!あーん、じゃな”
実は料理の力が一番チートなのではと思わなくもないくらいに警戒心を完全に緩めたハクア、素直に差し出したステーキを食べてくれるので楽しい楽しいご飯タイム。私はひたすらハクアが満足するまで食べさせてた。5枚ほど食べて満足したらしく私の膝上に乗ってくれると言う、非常に甘えた様子を見せてくれたので撫でる許可を貰って撫でる。なでなで、もふもふもふ。
勿論ただ、撫でているだけでも私は至福なのだが、ハクアがお喋りをしたいそうなので色々と話す。
一つ、ハクアの種族はこのレティアの里の周囲を取り囲む森の管理者だと言う。だが数百年と変わらぬ日々に飽き飽きしていたところ私の存在を見つけたらしい。
曰く“時空忘れの旅人が現れる時はのう、世界がほんのり揺らぐのよ。なので伝承通りに来たのだと思って観察してのう……余りにか弱くて驚いたわ”
弱いのは事実なので反論はしない、そして楽しそうに言うのだから怒る気もしない。
一つ、普段のハクアの主食は蜘蛛とか木の実、たまに樹液と言ったもので現実のシマエナガと割りと同じ模様。結果的には何でも食べれるので美味しければ構わないらしい、ステーキはお気に召したようだ。
気は乗らないけれど蜘蛛が主食ならハクアに狩ってもらい、その蜘蛛でステーキとかも有りなのかと聞いたら是非にと言われた。次のログイン時に蜘蛛狩りだね!レベルもあげるよ!
一つ、先程熱いなと思っていた左手の甲に雪の結晶のような痣ができていた。これがハクアとの契約の印らしい。この痣は正確には紋章とのことで、契約した存在はこの紋章を経由し互いの魔力を融合し共有ができる。その魔力を自分の力に変換したり相手に譲渡したり、互いの位置を把握したり、離れていても呼び出すことができると言う。解除するには互いが納得の上から、はたまたどちらかの死による……と言うか時空忘れの旅人は死んでも生き返るので適用されない。なので破棄する場合の方法はお互いに納得、または契約した存在の好感度が修復不可能状態になった時……と契約の説明に書いてあった。因みに契約数の上限は無いとハクアが言っていた。
頑張ればもふもふハーレムを作れると言う事ですかね?
一つ、私の本来の性別がばれていた。いや、随分ハクアってば雌なのに私に気を許すしもふもふも全く嫌がらないなーって思ってたけどさ。契約をすると性別転換をしてる人の場合はわかるようになっているらしい。
これに関しては契約した存在に対する配慮だそうだ、非常に純粋で騙される事を厭う存在が故にとのこと。まあ、姿は変えられるけど声は変えられない仕様だし9割くらいはバレるよね。それなら開示しようと言う運営の方針もさして気にはならない。
一つ、先程ハクアに蜘蛛を倒して貰った時に契約済みだった為経験値が入りレベルが上がっていた。ついでにドロップアイテムもアイテムボックスに入っていた。
あれか、なんか途中で長く流れていたアナウンスか!
軽く確認したところレベルは8迄上がっていた……。オオタテグモどれだけレベルが高かったのか……、そりゃあレベル1なら負けるよね。取り敢えずステータスはちょっとずつアップ、レベル一つ上がる毎にスキルPtを2ゲット。5の倍数でのレベルアップは3ゲット。なので今17Ptか。このゲーム、レベルアップ時に任意のステータス上げれるPtは無いんだね。設定のヘルプを見てみる。レベル20までは初期に割り振った設定に連動してステータスがアップ、21以降はステータスアップに合わせて2だけ任意の箇所にステータスを振り分けできる……と。なるほど。新しいスキルに関しては保留にしておこう。今スキル一覧をじっくり見たらハクアが怒りそうだ。称号の確認も同じ理由で後にしようか。
「そう言えばハクア、僕がログアウト……姿を消す時はどこにいるんだい?」
“そうさのう、その左手の紋章の中に入って大人しゅうしとるわ”
「あ、ここに入れるんだ」
“その中に入っておればシグレの住む別世界?とやらと同じ時間で過ごせるからのう、長く待つことは無いと聞く”
ほほう、要約すると「こっちで待つのは寂しいから一緒に過ごしたいの!」と言う事だよね。健気で良いね。
ハクアを抱いて寝室に移動する、こちらではもう真夜中だ。ハクアに教えて貰い紋章の中に入ってもらうとほんのり紋章が温かい気がする。ベッドに寝転がりログアウト。
ログアウトしたいつもの宇宙空間と言うかチュートリアル空間と言うか……正確にはクリエイトエリアらしい、で現実に戻る前のデルわんこと戯れタイム!
アバターとリンクを解除し自分自身の姿に戻る、感覚を取り戻す為に軽くストレッチを行う。うん、特に違和感は無いね。問題が無さそうだと判断するとデルわんこを呼ぶ。
するとデルわんことハクアが現れた!マジですか、ダブルもふもふじゃないですか!!予想外のサプライズに表情が緩むのを抑えきれない。
それにしても二匹並ぶとサイズが……デルわんこの方が小さいね!鳥に大きさ負けちゃうポメラニアンも可愛いよ!
「シグレ様ー、お疲れ様なのですよ。主従契約おめでとうございますです!」
「それがお主の本来の姿かぇ、紛うことなきめの子だのう」
「デルタわんこさん、ありがとうございます。ハクアと普通に話が出来る……だと!?」
問答無用でデルわんこを抱き締めてもふもふしつつ、先程までの頭に響くような声では無く、直接ハクアと会話を出来る事実に衝撃を受けてしまった。まあどちらにせよもふもふはする。ソファーに座りデルわんこを膝上で撫でハクアは隣に鎮座しているので軽く寄り掛かったり、そっと腕を伸ばしてもふもふする。
ああ、癒される……。天国かな。
先にデルわんこへ、ハクアが何故この空間に来れるのかと確認したところ紋章に入ったままログアウトをする事が必須条件になる。アバターはあちら……スティピカから、こちらの空間に来るため紋章に入ったハクアもこちらに来る権利を得る、なので結果的にクリエイトエリアに来ることができるらしい。
良いことを聞いたね。
「なるほど。じゃあここで毎回ハクアにももふもふできるんですね」
「む、お主随分とそのもふもふが好きなようだのう」
「シグレ様はもふもふのテクニシャンなのですよ、ハクアのもふもふもシグレ様には魅力的……ふわぁ、ハクアの羽毛最高ですね」
「あっ、これ!止めぬか!わらわは勝手に触って良いなど言っておらぬぞ!」
私の膝上から身を乗り出し鼻先をハクアの羽毛に埋めるデルわんこ、なんだこの光景。嫌がる?恥じらう?なハクアが可愛いのでスクリーンショットを撮るしか無いじゃないか。二匹……じゃない一匹と一羽の戯れる姿を眺める事数秒、交ざりたくなってしまったので纏めて抱き締めもふもふした。
もふもふを堪能した後、若干疲れた様子の一匹と一羽をソファーに置いたまま立ち上がる。勿論くったりしている姿をスクリーンショットに収める事も忘れない。
それからさっき確認が出来なかった称号チェック。
《称号:契約を識り施行する者》
魔物や精霊と契約をした者の証。力在るものには一目置かれる。
力在るもの……の程度がわからないけどそこまで気にする程のものじゃないと。よしよし。
現実に戻る前にストックが心許なくなって来たステーキの作成をしておきたい。……デルわんこにちょっと不足分の材料をお願いし、いつもの台所に移動して森で採った果物のジャムと、これも森で採った木の実を全部使用してザクザク食感のビスコッティを作る。ステーキは大量だが他の二種類は余り量が無いので明日採取も頑張りたいね。自分の分を少し確保してから一匹と一羽に配ると目が輝いてるね、素直で宜しい。
思いの外打ち解けたのか仲が良い様子に安堵し現実世界に戻ればもう深夜1時。……眠い筈だ。
やっぱり脳は疲れているんだなと実感しつつ、自室に戻り直ぐ様ベッドに突っ伏す。
……おやすみなさい。
※※※※※
――オマケ話。クリエイトエリアにて
小さなポメラニアンと大きいシマエナガがソファーの上に乗っかり、片方はステーキを食み、もう片方はビスコッティを摘まんでいる。
一見ただ食事をしているかのように思われるが、一匹と一羽の間には静かながらも会話が有った。
「そうなのですね、それでシグレ様をお気に召したと」
「うむ、わらわとて本来は助ける気は無かったのだが……ああも面白い事になってしまってはうっかり手が出てしまっても仕方ないとお主は思わぬか?」
「まあ自分はシグレ様を崇拝しているようなものですし、運営の方からストップが掛からない程度にはサポートしますけどね。ハクアとの契約は早かった気もしますよ」
「むむう、そう言う事はわらわにはわからぬがこれも運命よのう」
「大丈夫です、細かい事は自分がどうにかします。ハクアはシグレ様のサポートをしっかりするのですよ」
「それは任せるが良い、シグレの料理は美味しいしわらわは契約を違わぬよ」
「でもハクアだけでは心配ですね、鉱山にも一匹居ましたよね?」
「ああ、アレがおるのう」
「シグレ様はあちらも気に入ると思うのです」
「……わらわもそう思ってしまうわ」
「その内で良いのです、お任せなのですよ」
ポメラニアンの言う事にちゃんと耳を傾けているらしく直ぐに頷くシマエナガ、彼女らの会合は本日始まったばかり。思いは彼女らが慕う存在へ向けて。
この思いが再び新たな展開を引き起こすが、それはまた別の話。
主人公のステータスが長くなるに連れて自分は読み飛ばす傾向に有るのでこちらに表記しておきます。
見なくても全く本編には影響がありません。
《名前:シグレ》
《種族:自己幻族(未覚醒) 男》
《レベル8》
STR/37(C)+3
DEX/42(B)+2
VIT/32(D)
AGI/33(B)
INT/44(S)
MND/34(A)
LUK/31(E)+2
《状態異常:規定スキルを所持していない為補正能力の半減及び弱体化》
《装備》
武器右:ダガー(STR+3 DEX+2 耐久値95/100)
武器左:無し
頭:無し
防具上着:時空忘れの旅人/布服上下セット(耐久値:∞)
防具下衣:時空忘れの旅人/布服上下セット(耐久値:∞)
防具マント:時空忘れの旅人/布マント(耐久値:∞)
靴:時空忘れの旅人/頑丈ブーツ(耐久値:∞)
装飾:星屑のピアス
《スキル》Pt17
戦闘スキル/《影操》《大鎌の心得》《闇魔法》《無謀》
生産スキル/《錬金》《調合》《描画2》《解体2》《料理2》《修復2》《生活魔法》
その他スキル/《鑑定2》《言語Ⅰ》《考古言語Ⅰ》《思考加速》《魔力探知》《魔力操作1》《魔力増強》《気配察知》《筋力増強2》《体幹》《集中力3》《速読2》《多種知識Ⅰ》《地図》《MP回復速度上昇》
《称号》
《称号:やっちまったな》《称号:デルタの友愛》《称号:愛される者》《称号:挫けぬ者》《称号:契約を識り施行する者》
《主従契約》
白雪鉱鳥 ハクア/友好度:良好
《受注クエスト》
期間限定/無し
期限無し/《自己幻族の悲願》《大鎌に必要な材料調達》《山に恵む稀少花の採取》
クエスト用所持品《大鎌レシピ材料のメモ》