8.トライアルアンドエラー
次回更新は来週と言ってましたが今週になりました。
6月2日。時間経過の矛盾点が気になったので修正し加筆しました。
デルわんことしっかり戯れて来たので現実世界に戻ってきた。
VRマシンを外しつつ喉の渇きが少し気になるな……、用意をしていたスポーツドリンクを飲みながら6時間連続ログインの場合脱水症状にならないかと心配になる。乾燥はしてないと思うんだけど……エアコンのせいだろうか。加湿器も用意した方が良いかもしれない。
時計を確認し時刻は12時、予定通りに3時間楽しんだ結果になる。体感だと半日分……濃い時間だった。
ゲームの中でご飯を食べたけど現実に戻ればちゃんとお腹も空く、ちゃんと脳も身体も正常に機能しているようで安心安心。
冷蔵庫の材料と相談をして手早く作れるパスタをお昼ご飯にした。ゲームの中では鳥肉を食べたので今はミートパスタで良いか。ソースも有るし。鍋にお湯を入れ、玉ねぎとマッシュルームを微塵切りにする。フライパンを火に掛け温め挽き肉を投入…………と言ったごく普通の手順で作って行き30分後には完成。冷やしてある麦茶をコップに注いで居間に戻る。
端末を片手にパスタを食べる、行儀が悪いのは承知しているので言わなくて良いよ。ソースが跳び跳ねないように注意だけして、いつも通りにネットでニュース等を一通り確認してから無料通話アプリを起動、通知が来てるね。
妹……ではなく友人だ。おや、彼女もリアルードオンラインをやると。寧ろ今日、あっちも有給使って開始しただと!?
え、うそ、あらやだ本当だ。古風で美人なおっぱいが大きい女性と手乗りサイズのハムスターのスクリーンショットが添付されている。ハムスターがAIサポー……って待て待て待て。友達がハムスターだったぞ!!
ちょっとなに得意気に「サポートAIに何回も思い直してって言われたけど、私のハムスターへの愛は深いんで無理矢理納得させた(`・ω・´)ドヤァ」ってメッセージ打ってきてるんだよ!思わずパスタを吹き出しかけたじゃないか。
ハムスター狂いめ。だけどゴールデンハムスター可愛いな、もふ……もふらせてくれるだろうか。
余りにもハムスターが小さすぎて、ゲーム開始時点でセルフハードモードなのではと心配になったがきっとハムスターへの愛でなんとかするんだろうな。
友人も今日からゲームをしてるとなるとフレンドになっておきたい、設定から検索出来るのかデルわんこに聞いておかないと。
それにしても私自身も含めて知り合い全員人外ばっかりでは……。
実は人族って少ないのかなと思いつつ自分とデルわんこの仲良しスクリーンショットを友人に送る、後はアバター名も明記。他は会った時に教えるとして……妹からは音沙汰無し。集中してやり込んで居るのだろう。邪魔はしないよ。
昼食を食べ終え、洗い物を済ませると干していた布団を取り込む、この後に6時間もログインをしてたら夕方湿気りそうだからね。太陽の陽射しを浴びてほかほかになったお布団は気持ち良い、部屋に戻るとベッドメイキングを終えて居間に戻る。
さて、本日二回目のVRマシンの起動と行こうか。
戻った先はまだ夜中でした。
あ、ちゃんとログインをした時にデルわんこから友人の検索方法は教わったよ。
設定からフレンドリストを開いて検索を選ぶ。そこから名前を入力して実行か、種族がわかっていれば種族名を入力。または一覧を出して選択しそれから実行を選ぶ方法が有る。名前被りが許されているので見付けやすいように、とのことだ。それでも人族で検索したら場合によっては物凄い人数がヒットしてしまうのではなかろうか。
そんな心配は今のところ私には不要なのでさっさと友人を探そう。
《検索→名前:グルテン》
種族は……ハムスター族なんて有るのかな?取り敢えず一覧を表示して検索……スクロール、スクロール、スクロール……ハムスター族では無いようだった。気を取り直してそれっぽいものを探そう……、カテゴリー別表示が有るね。
《種族→哺乳類→森林系→齧歯目→黄金齧歯族》
多分これで合ってる。探すまでが長いよ。これで出なかったら齧歯目で検索しよう。
『一致するプレイヤーが見付かりました。対象者は1プレイヤーのみです。フレンド申請を致しますか?』
勿論『はい』を選択。現在ゴールデンハムスターを選択しているプレイヤーは一人だけでしたか。
人の事は言えないけどマイナーな道ですね……!好きだよ、そう言うプレイ!
承認されるまで時間は掛かるだろうから、申請の結果確認はログアウト時でも良いだろう。
今気付いたが妹からメッセージが来ていたようだ。
『未知の場所ってどうゆーことー!?種族のせいか!種族のせいなのか!まあわたしも鬼の集落に居るから始まりの街には暫く行けない~( ๑´•ω•)でも他にもプレイヤー居るからちょっと臨時パーティー組んでレベル上げる。そのうち合流出来るの楽しみにしてるよ!』
なるほど、妹も基本のスタート地点には居ないと。始まりの街ってどこになるんだろう、名前を知らないから地図を見てもさっぱりだね。
妹には『頑張って!私も頑張って何とかする!』と簡潔に返事をする。
思いの外時間が経過したようで空が白んできた、折角なので朝陽でも拝みに行こう。
朝方の静謐な空気を邪魔しないようにそーっとね。
家を出て直ぐに森が有る事は理解して貰っていると思うのだが、不可思議な色合いの木々から淡い太陽の光が現れる光景って思いの外に神秘的で綺麗だ。少しの間見惚れると風景だけのスクリーンショットを暫し撮り続ける。現実に戻ったら端末の背景に設定しようかな。
朝食も良いけれど、空腹ゲージには余裕が有るので昨日の続きをしよう。流石に里の中、しかも外でMP枯渇の床ペロはしたくない、なので家の中へ戻る。どうせまだ成功はしない筈だ。
1回目、昨日と同じく柄の部分を作ろうと魔力を棒のように伸ばした所で魔力が霧散し脱力して床ペロ。
2回目、同上。
3回目、同上。
…………床ペロリストになってしまう。
……8回目、身長くらいまで魔力を伸ばせた。ただし太さは無いので千歳飴レベルの細さ、そして床ペロ。
……17回目、伸ばした魔力が麺棒くらいの太さになったよ!やったね!慣れてきた頃合いの安定床ペロ。
……30回目、まだ鎌の形を形成するまで行きません。もう癖になってしまう程の床ペロ。
『経験値が一定に達しましたので《魔力操作》が《魔力操作1》になりました。また《魔力増強》を取得、《MP回復速度上昇》を取得』
レベルは上がっていないのにスキルレベルは着々と上がっていく状態です。良いのか悪いのか非常に判断がつかない……。
這いつくばったままMP回復を待つのだがもう床ペロに関してはベテランの域に達したのではと錯覚してしまう、いい加減空腹ゲージの残りがヤバい。MPが回復したらステーキ食べよう。そしてステーキ以外の料理ストックも早く作ろう。
回復を待つ間に取得したスキルを確認。
《魔力増強》INTとMNDに補正が掛かる。
明らかに《筋力増強》の魔力版ですね、ありがたや。これで少しは楽になると良いのだが……。
《MP回復速度上昇》レベルに依存するがMP回復の速度が上がる。
今レベル1なので非常に微力と言うことか、でも100分の1でも良いから回復速度が早くなっていると嬉しいな。今現在、全くと言って良いほどバーの変化に差は無いように見える。残念。
因みにシステム的にMPが減り過ぎると脱力感が半端なく襲い来る、MPを枯渇をした場合はHPにスリップダメージが入るので早めに回復をしないと危険。一応時間経過でMPに限り回復する優しい仕様だったりする。
これは自分の身体で経験したので間違いは無いと思われる。
一人床ペロ祭りを十分に体験したのでそろそろ里の住人に顔を出しに行こうかなと思う。体を起こせる程度までMPが回復した、空腹ゲージの回復にステーキを食べる。
あっと言う間に空腹ゲージが回復した、ステーキが偉大なのかレベルが1なのが原因なのか……。
そう言えばステーキの鑑定はしてなかった、《鑑定》さん出番ですよ!
《ステーキ》サポートAIが居る空間で焼かれたステーキ、正直ここでステーキを焼く人が居るとは思わなかったね!デルタどころがサポートAI全員を魅了したステーキ。特別仕様だよ!やったね!
空腹ゲージ回復度100%
※サポートAI以外に譲渡不可、但しサポートAIの友愛称号持ちには譲渡可能。
運営さぁああん!?
これ説明文じゃなくてただのメッセージだよね?
このステーキを量産する場合はあの空間で調理すれば良いのかな。若さんの家に有る台所で普通にステーキを焼いたらどうなるのだろうか。
疑問を持ったら即実行!早速台所に移動をしてストックされている鹿肉を出す。生活魔法で竈に火を付けてステーキを焼く、手順は変えないで試してみた。
再び《鑑定》さん、お願いします!
《ステーキ》程好く焼かれた鹿肉のステーキ、口の中で蕩けそうな柔らかさなのに肉汁がたっぷり。
空腹ゲージ回復度80%
なるほど、普通だ。もしかしなくても自分だけが食べる用ならデルわんこと一緒に料理をした方が色々美味しいような。暇になったら試そう…………いや、デルわんこに美味しいものを食べさせたいから材料が手に入ったらお願いしよう。
さてさて、時間の経過は思ったよりも早いもので外では住人の声がするね。私も早速家から出よう、今日は魔力操作の練習は勿論するが日中は住民と友好を深め、雑貨と言うなの回復アイテム類を買ったりしよう。
外に出て広場へ。うん、子供が平和に駆け回っているね。私の顔を見ると近寄ってくる子供達。
「こんにちは、何をしてたんだい?」
「かげふみー」
「みんなでかげをあやつって、だれが一番にげれるかのゲームだよ」
説明をしてくれる子供達、理解できずに居ると「こうするんだよ」と自分自身の影を地面の上で動かし実践をしてくれる。縦横無尽だったり動物のシルエットにしたり……もしやこれ《影操》では?自己幻族のデフォルト能力なのだろうか。
コツを聞きくと皆自慢気に教えてくれる、自分達より年下がなかなか居ないせいで自慢をする機会が少ないようだ。褒めながら教えて貰う。自由に影の形を変えるだけでなく、他の影に混ぜ込むと相手の動きを止めることが出来るので、大人と一緒に狩りをする時は全員で魔物や動物の動きを止める役を担うらしい。君達結構小さいのに狩りをするんだね、もしや私よりレベルが高いのでは?
《影操》も《魔力操作》と同じように扱うのが一番らしい、寧ろ合わせて覚えている分有利らしいと集まってきた大人に聞いた。ええ、皆色々と教えてくれる。優しいな。称号効果素晴らしい。
他にもこの近くの森に存在する魔物に動物、見付けたら採取した方が良い植物など。生きる為の知恵を授けられる。破滅願望が在ろうとも生きている間はやっぱり楽しく過ごしたいらしく努力は欠かせないそうだ。
悲観され続けるよりずっと良いと思うよ。
子供達に混ざって、少しハンデを貰いながら《影操》を使い遊ぶも直ぐにMPが尽きてしまい床ペロした。
大人には心配され子供には笑われた。うう、恥ずかしい……。流石にレベル1では問題外なんだね。
よし、レベルを上げよう!どうせ死んでもレベル20迄はデスペナルティは無い。
デスペナルティ。要はゲームで死んだ時のデメリットだ。アイテムロストはしないが所持金は半額になる、またレベルは下がらない代わりにステータス半減。ゲーム内の時間で半日半減したままになる。因みに途中でログアウトをしても経過時間のカウントは止まるので意味は成さない。
これらが実行されない今は沢山死んでも許される、リスポーン地点は最後にログアウトをしたセーフティエリア。私の場合は若さんの寝室だね。
よし、早速回復アイテムを買って……そうだ、武器がないんだった。体術でいけないだろうか、蹴りくらいならなんとかなる気がしなくもない。ちょっと行って試してみても良いよね、少なくとも解体ナイフだけでも買えば刃物は有るし一般的な急所を狙えばゲームなのでどうとでもなるだろう。
そんな物凄く軽いノリで意気込み、ベリローズ さんの所へ向かう。
「シグレちゃんって思いの外無謀なのね。時空忘れの旅人さんは割りと無鉄砲って伝承に記載が有ったけど……今納得したわ」
「別に無謀じゃないですよ、試してみたいだけですから」
「もう……、普通は命を大事にするの。私達自己幻族は覚醒するまではほぼ人族と変わらないんだから、怪我をすれば痛いのよ」
どこか呆れたような声音で、それでも心配をしてくれるベリローズさん。せめて直ぐに死なないように、怪我をしても大丈夫なようにと、ちゃんと回復薬を買うように念を押される。素直に頷いてから解体ナイフを購入させて貰う。トドメを刺す用と細かな作業用の2種類だ。
一般的に言うダガーとカービングナイフだね。まあ、ぶっちゃけるとダガーは短剣、こっちがトドメ用。これでなんとか魔物が出ても倒せると良いな。細かい作業が出来るのはカービングナイフの方となる。
《ダガー》一般的な武器、わりと誰でも使用できる。護身用にも解体用にも使える。
STR+3 DEX+2(耐久値100/品質普通)
うん、分かりやすい説明だね。カービングナイフに関しては割愛するがDEXが+2だけだったと言っておこう……。
合わせて腰に付ける剣帯用のベルト購入した。武器を所持する為に必須なので防具屋ではなく武器屋で売っている物らしい。
合計8,000Yでした……、必要経費だよね。大鎌作ってくれるとは言え技術料が要るだろうから金策もしなければ……。
ベリローズさんの好意で、携帯食料ならぬお弁当としてサンドイッチを貰った。ありがたい。
続いて雑貨屋へ。雑貨屋の店主は眼鏡をつけており研究者のようにひょろっとしたイメージの住人です。まあ
薬師さんらしいので間違ったイメージではないと思う。特に必要以外の会話をしてこない人なので気を使わない為気楽に買い物を進める。HPポーションとMPポーション、共に効果は(弱)だ、説明を見たところ飲めばゲージの20%が回復する。それとは別に体力回復薬(錠剤)も購入、これは薬師のみが作れる水がなくても飲める錠剤で回復量はポーション(弱)と同様。但し10回分入ってる。どう考えても錠剤の方が良いと思うが一気に数が作れないらしい。
ポーションを5つずつ、回復薬を10購入して1,800Yになる。お金ばかりが減るのは最初のお約束だね。
「ねぇねぇ、あんたさ。里の外に行くんだろ?そのついでで良いからさ、七色に輝く花を見付けたら採ってきてよ。買い取り金額弾むよ」
「七色の花……か、見付けた場合で構わないんだな?」
「稀少な花だからな、勿論必ずなんて云わないさ」
「それなら構わない、引き受けよう」
『《山に恵む稀少花の採取》を受注しました。こちらは期限が無いクエストとなっております。またセインスに話しかける事により何度でも受注可能となっております』
住人と話す度に流れる気がするクエスト受注アナウンス。
期限が無いクエスト受注し過ぎな気がしてきたぞ。……そう言えばベリローズさんから貰ったメモも見てないと気付いたがどうせまだ手に入る材料じゃないだろうなとも思ってる。そもそも鉱山に行けないと意味がないからね。レベルを上げて鉱山に行けるようになった頃にでも確認しよう。
アナウンスで知ったけど雑貨屋の店主はセインスさんって言うのか。呼ぶことが有るかは謎だけど覚えていられる余裕が有れば覚えておこう。
防具はさておき、武器も回復アイテムも揃ったのでいざ里の外へ出てみようか。
見張りのオジサマに挨拶をしてから移動、出て直ぐにエンカウントは無いと思うのだがどうだろう。先ずは《地図》を使い視界の端で認識できる程度にしてグレーアウトの部分を歩いて埋める、大体自分が居る場所プラス2メートルくらいの範囲が埋まる感じかな。余り里から離れるのも……デスペナは別に怖くないから良いか。痛覚設定だけ下げよう、痛いのはちょっと……。《解体》はON、少しでもお金になる素材がほしいのでアイテムボックスに倒した死体を放り込む気で行く。
里から30メートルくらい離れたかな、それにしてもここら辺の植物は全部色合いが幻想的なままと言うか……これじゃあセインスさんの行ってた七色の花って物凄く判断し難いのでは。
《鑑定》をしながら進むのがベターか、レベルも上がるしアイテムかどうかもわかる。良いこと尽くしだね。
《鑑定》を発動。
雑草、雑草、クマノミ、雑草、癒し草、雑草、雑草、キイチゴ、キイチゴ、キイチゴ、雑草、ミント……
思いの外雑草以外が有るな、見付ける度に摘むのだがスキルが無い為か品質が全部劣悪になっている……。摘み方を変えても同様なので仕様だろう。
くそぉ、早くスキルゲットしたいよ……。
ガササッ
草木を掻き分ける音がした方向に顔を向ける。現れたのはよく見るウサギ……ではなく大きな蜘蛛。1メートルくらい有る蜘蛛である。
正直に言おう、気持ち悪い。
《鑑定》と《多種知識Ⅰ》が仕事をしてくれたので、この大きな蜘蛛さんの種類は『オオタテグモ』だそうだ。
《オオタテグモ》レティアの里付近でのみ生息するオオグモ、胴体は盾を纏っているかのように硬い。倒し方は亀のようにひっくり返して一気に胴体と頭を切り離せば良い。
レベル:観測不可
蜘蛛のもふもふはそこまで好きじゃないんだよ、って言うか大きいし八つ有る目がぎゅるんぎゅるんと蠢き見てくるのがおぞましいね。小さい蜘蛛はまだ許容範囲なんだけどなーっと――
蜘蛛が脚を動かしたなと思った瞬間腹部に激痛が一瞬走り視界が暗転した。
…………初デスですね!
武器を取り出す暇も無い上に瞬殺されるとは……。あ、激痛は一瞬だけで直ぐに引いたので身体に影響はないですよ。
ベッドから身を起こす、レベル1なので何とも無いが序盤からあんなに対応出来ない蜘蛛が居るとか聞いてないぞ。レベル1で来る場所じゃ無いよね、絶対!
それから20回くらい突撃して殺されまくりました。
もう見張りのオジサマも苦笑いだが気にしないでほしい。
オオタテグモの速度に慣れる為にも突撃有るのみなので倒せるまで繰り返すよ、夕方になるとオオタテグモの他にヨイヤミグモなるものも出てきた。蜘蛛のフィールドなのかと疑うレベルで蜘蛛ばっかりなんだけど!
後で知った事なのだが里の周囲に居る蜘蛛はそれより奥に生息する害虫や昆虫を退治してくれているらしい、有る意味守り神のようなものだが攻撃してくるなら撃退するのが鉄則だ。それより奥に進めばレティアの住人が狩りをするための場所に出る。そこまで進んで漸く一般的な食料となる動物や魔物が生息していると言う。鉱山は更に進んだ先になるとの事。
……数えるのも億劫になるほどに死んだ。しかも悲しいことに武器を取り出す事も出来ずに死ぬ。辛い。
何回目かもわからないがすっかり日が落ちた時間、真夜中の様な気がしている。雲と混ざり朧気な月明かりが綺麗だ。
まだ何一つ改善の兆しが見えては居ないのだがログインの最大可能時間の限界が迫って来ているため、若さんの部屋でログアウトをする。
現実世界で夕食やお風呂、諸々済ませてしまう。
気付けば22時。後3時間だけログインをしたら寝ることにしよう。今日は殆ど動いてないけどね。
ログイン後もオオタテグモとの死闘……、一方的に殺られるだけの気がしてならないが死闘です。
正直、敵の動きを見切るとかそう言うレベルでは無いんだよね。多分原因はレベル差だ。私のレベルは1のまま変わって無いからね。スキルレベルだけ上がってる状態だからね!
日が高いと地面に飛び散る赤いエフェクトが鮮やか過ぎる。
ふと途中でストレス発散の為にゲームをしているのに、何故死にまくってるのだろうかと冷静に考えてしまったりしつつ日中から夕方、そして夜になった。
100回は超えてると思うのだがいつまでやるべきか……、せめてオオタテグモに一撃を加えたい。
でも流石に飽きてきたから次に死んだらもっと弱い敵を探しに行こうかな。
――首チョンパされた……と、同時に響くお知らせの電子音。
『デス数200回を超えた状態で敵に1ダメージも与えられなかったため《無謀》を取得。《称号:挫けぬ者》を取得』
新しいスキルと称号が来たね。
これで少しでも先に進めるようになると良いのだが、どうだろうか。
15禁抵触範囲が把握できていないので非常にマイルドに死の表記をしております。