6.ようやく正式リリースですね
徐々に増えていくブクマ、ありがとうございます。
モチベーション維持に繋がっております。
少しでも楽しんで頂けているならば幸いです。
朝です。7時には目覚ましをかけずとも起きたので普段通りだね。身に付いた習慣なのでどうしようもない、普段の休みならば二度寝をするのが当然なのだが既に朝ごはんやら諸々を済ませて、引きこもる気満々なのは許して欲しい。
エアコンを調整して室内は快適温度に保つ、勿論水分補給も忘れずに。一応スポーツドリンクを準備した。
9時から正式リリースなので先ずは3時間ゲームをして休憩をして、その後は6時間ログイン、また休憩で更に3時間くらいやるのが丁度良いと自分で思う時間の使い方かな。
このスケジュールだけ見てみると中々のゲーマーっぷりな気がしなくもないぞ。これ3日間連続は人として不味い気がするので2日目だけちょっと減らそう。買い物に行ったりとか大事大事。
ああそうだ、天気予報を確認したところ今日は晴天とのことなので布団を干したい……。ソファーで寝転がってもVRマシンは起動をするのかな?リラックスしている状態であることが大切だった気がする、多分いけるきっと大丈夫。駄目だったら次は床に別の布団を引いて寝転がってしまえば良いんだ。
快適モードと化した居間で時間を確認、8時50分を回ったね。今日からゲーム内での体感速度は4倍、6時間で1日の計算になる。
現実での1時~7時、7時~13時、13時~19時、19時~25時がゲーム内の4日に当たる。前半の3時間が午前、残り3時間が午後、非常にわかりやすい。
そうなると普段は4日に1度のログインか、どう考えてもソロで気儘にが一番だね。
きっともう存在しているか、無くても実装されるであろうプレイヤー主体のクランとかは入らない方向で良いかな、私はどっちかと言うとNPCと仲良くしたい。
自由にあれこれしたいし、食い道楽もしたいので他人に縛られたくない。
さて、VRマシンを起動してログインをする。
やっとゲームの世界を実際に体験できるので(今までのチュートリアルは除く)楽しみが止まらない。
「シグレ様ー!今日もお待ちしてましたですー!」
「わっぷ!デルタわんこさん、おはようございます」
「はい、おはようございますです。ゲームが開始されるまでもう少し有りますがいかがしますか?」
勢い良く顔面に突撃をしてきたデルわんこを胸に抱き、何をするかと聞かれたら元気に日課のもふもふタイムしか無いじゃないですか!!
そんなわけでアバターリンクを終えてから時間ギリギリまで堪能した、今日も可愛いデルわんこが癒しだね!
可愛い可愛いポメラニアンさん、ここが好きなんだよね。うりうりうり~。
「はふ、シグレ様は相変わらずテクニシャン……」
「お褒めに預り光栄ですよ。デルタわんこさん、ステーキ置いていきますから好きな時に食べてくださいね」
「はわわっ!ありがとうございます!じっくり味わって食べます!」
アイテムボックスからストックされたステーキを出してデルわんこの前に並べていく、20枚くらいで良いかな。取り出す度に尻尾を振って瞳を輝かせる姿が可愛い。
「それではシグレ様、改めまして……。リアルードオンラインをお買い上げ頂きありがとうございます。この世界でシグレ様がどういった道を歩むのか我々運営一同楽しみにしております。賽は投げられました、後はシグレ様次第です。――行ってらっしゃいませ、そしてようこそ時空忘れの旅人様、世界は貴方達を歓迎します」
デルわんこが一転し真面目な様子になるとサポートAIらしさって言うのだろうか、とにかく今まで見た雰囲気とは違う姿に若干圧倒されてしまえば急に足元が無くなった。
「……えっ!?」
元々宇宙空間だったので上下とかは無い筈なのだが、取り敢えず今まで存在していた足場が消え放り出された。寧ろ落下していると言うべきか……これ絶叫マシンが苦手な人は泣くと思う。結構落下感がヤバい、そう考えていると私を包むように星と言うか光が現れ包まれ弾けると目の前で始まるムービー……これ多分オープニングだよね。
地球のようで地球ではない、惑星だろう球体に向けて落下をしたまま幻想的な風景が入れ替わり立ち替わり、ドラゴンを始めとしたモンスターや様々な種族の日常風景が軽やかな音楽と共に繰り広げられる。
実際に住んでる人達なのだろうか、興味がわくね。
簡単な設定として、私達プレイヤーは時空の狭間を越えて現れた『時空忘れの旅人』の一人となる。
神々の悪戯か、突如地上に現れた時空忘れの旅人は、様々な世界を渡り歩いた果てにこの地に安住を求める為にやって来たとされる。
急にその存在をこの世界に現し、時空の流れに囚われず、NPCと違い年を重ねない。
時空忘れの旅人は様々な場所に現れるが場合によっては何日も人前に姿を表さず姿を消し、また死と言う概念が無いに等しい為に名付けられた呼称そうだ。
プレイヤーは死んでも生き還るから確かに死の概念は無いよね。
この世界から消える時はゲームを止める時だもん。
便宜上今はNPCと言っては居るが、ゲームの中で彼ら彼女らは生きているので現地民や先住人と言った呼び方に本来はなる、ロールプレイをするなら呼び方は変えた方が良いとされる。
――スティピカ、それがこのゲームの舞台となる惑星の名前だ。
多種多様の種族が混在する世界、今のところは平和だそうだが時間が経過するかフラグ等が立てば色々と話が進むらしい。様々なフラグが乱立しているとの話なので楽しみの一つだ。
『迷える子よ、貴方は運命に従いますか?それとも人の中に紛れますか?』
おや、選択肢が出てきた。
うーん……、種族的な何かかな。そうなるとこの選択の内容的にスタート地点が変わるとか考えられるよね
まあ二択なので酷いことにはならないだろう、序盤も序盤だ。
間違いなく種族的に選んだ人数が少なさそうと言うかオンリーワンな可能性も考えられる。
となれば種族的な方向だと色々手探りになるわけで……楽しそうだよね。最初は普通の人に紛れて遊ぶつもりだったけど、こうやって選択肢が出たならば行って来いよ、俺達運営はその心意気を待ってるんだぜと言うことだろう。
ともすれば迷わずに《運命に従います》をポチっと選択ですよ!
『選択肢を確認致しました。行き先を《ファントミュアの隠れ里、レティア》に設定致します』
予想通りだったので流れに身を任せよう。
あ、視界がブラックアウトした!聴覚も感覚もシャットアウトされた感じがする、何もわからない、自分の意思で動かせないぞ!仕様かな?ならば仕方がないので進むのを待つのみ!!
………………。
…………物凄い静かなのですが…。
そう言えば一人称はどうしようかな、ロールプレイしたいんだよなー。でもパッと見を性別不詳で通すならやっぱり「私」が無難……でも折角だし「僕」で良いか。緩くて優しいお兄さん的なプレイをしようと思う。
等と考えている内に聴覚が仕事を始めた、ボソボソと聞き取れはしないが人と思われる話し声だ。
ちょっと指先を動かしてみようと意識を向ければ……動くね、自由が戻って来た感じがするので目を開けた。
「!!?」
うわっ、流石にお髭の生えたおじいちゃんのドアップは驚くよ!声を上げなかっただけ偉いと思う。
「お……、おう…。目覚めたか」
「え、あー、そうだね。僕……どうなってたのかな?」
「若は先日魔鉱石を取りに行った際、どでかい雷に撃たれようで……覚えてないかね」
おやおやおやや、普通に会話が始まったぞ。って言うか「若」ってなんだ、既に存在していた人物になったって事かな?そんな設定も有りだとは聞いてない。
「ええ……、と言うより実はですね。僕は始めてこの世界に来たと言うかなんと言うか……。おじいさん、「時空忘れの旅人」って知ってるかな?」
無理矢理人違いだよアピールをしてみるとおじいちゃんが号泣し始めた。どうしよう、この展開は予想外だ……。
ゆっくりと体を起こしておじいちゃんに近付く、小さく思える背中を優しく撫でながら話しを聞くと、どうやら「若」と呼ばれていた青年――この里の長だったらしいのだが、他の自己幻族と一緒に魔鉱石を取りに近くに有る鉱山へ赴いたところ大型の獣に襲われた挙げ句天候も悪かった事も重なり、運悪く雷に撃たれてしまい意識不明の状態だったと言う。
自己幻族って人の姿をしてるから普通に物理に弱いのかと思いきや未覚醒だったせいで、だと言う。覚醒さえしてしまえば物理的な攻撃はそんなに効かないらしい。なにそれ自己幻族凄い、覚醒後はチートかな?
不謹慎にもワクワクしてしまったが胸中だけに留めておき、神妙な様子を心掛けながらおじいちゃんを宥めて話の先を促す。
意識不明だった若さんの体が先程突如として光り出し家の中だけに限らず外にも光が漏れだしており、おじいちゃんこと前任の長さん……もう長老でいいや、……が慌てて様子を見に来たところ「若」の姿形が変化し「私」になっていたらしい。姿が変わっても中身は「若」で在る可能性を捨てきれずに居たようだ。
普通に考えるとそう言った事は有り得ない。けれど私が時空忘れの旅人だと知ると、そう言う事も有るのだと理解された。理解はできるが若さんは長老の唯一の身内だったそうで、込み上げる悲しみは抑えきれないらしい。
なんと言うかごめんなさい……、悪いのは運営です。
そもそもとして自己幻族は数が少ないらしい、年々減って来ており色々と大変な上に近年は覚醒出来るものも少ないそうだ。
「そうか、おじいさん。おじいさんが悲しいことも大変な事も僕の想像のつく範囲でしかわからないけど、若さんに代わって僕に何か出来ることはないかな」
「あんたは何も悪くない、全ては神の采配じゃて……。あんたが現れんでも若はもうもたなかった…、わしは若があんたを呼び、そして……あんたに託したんじゃと思うとる」
「おじいさん…。僕は時空忘れの旅人でも有ると同時に一応自己幻族の一人です。右も左もわからない若輩者では有りますが……これも縁だとお力にはなれないでしょうか?」
そっとおじいちゃんの手を取り見つめ合う、ここで吹き出したりしてはいけない。雰囲気読むのは大事。きっとこれがきっかけで何かしら有るはず……多分。打算的とは言うなかれ、だってまだゲームが始まったばかりだから気になるじゃないか。
「あんた……名はなんと言う?」
「シグレ、と。そう名乗っています」
「そうか、ではシグレさんや。すぐにじゃなくてええ。わしらの願いを叶えてくれ……いつの日かこの自己幻族は途絶えてしまうことじゃろう。静かに消え行くのは世の中の理じゃが、それは余りにも悲しい。」
おじいちゃんは語り始めた。
簡潔に纏めると「自己幻族として覚醒をした存在になり長になった上で、この里を静かに終わらせて欲しい」と言うものだった。
自己幻族は稀少種族な為子供も出来にくく、覚醒が出来なければ先は短い。近年は覚醒出来ずに死ぬものが多いと言う。実はおじいちゃんだけがこの里での唯一の覚醒者だそうだ。自分達の種の在り方を識り、滅ぶことを甘受してはいるが自分と同様に覚醒したものと語らい、そして滅びたいと言う。
…………重くないですか、自己幻族って元がドッペルゲンガーでネタ種族だよね?
ドッペルゲンガーって確かもう一人も自分を見たら死ぬって言う説だから滅び願望はわかるんだけど、……もう一度言うよ、重くないですか?
ゲームでシリアスをやれと?いや、やるけど最後はこの里滅ぼしちゃうの?それってどうなの?
寧ろ他の住人それで構わないのかとおじいちゃんに問い詰めたいが、空気を読みます。読んじゃうよ。
最終的に私が判断すれば良いと思うと言う方向で無理矢理納得することにしたからな。
「僕にその最後の役目を託したいと?お役に立ちたいとは思いますがご存じの通り、今日ここに迷い込んだ赤子同然の旅人ですよ」
「あんたに無理を強いてるのはわかっとる。それでもシグレさんならできると思うんじゃ。この里の出身ではないあんたなら、きっとわしの願いを託せる。勿論覚醒をする手助けはこの里全体でしよう、何年掛かっても構わぬわしらは待っとるでな」
「……そこまで仰るなら、わかりました。先ずは覚醒を目指す為にも色々教わってから旅立とうと思う。色々な見聞を広めて体験することが覚醒には必要だと思うんだ。覚醒した暁にはちゃんと戻って来るから安心して欲しい」
『《自己幻族の悲願》クエスト受注が確認されました。こちらは期限が無いクエストとなっております。』
シリアスな空気を破壊するピコンと言う電子音、初クエスト受注がこれでいいのか。気長に待って貰うしか無いよね、覚醒方法自体が全く解らないし。
視界の横で『クエスト詳細』とチカチカしてるけど後にしよう、非表示にして……すっかり安堵した様子のおじいちゃんに里を案内すると言われたので付いていく。
石造りの家を出ると周囲は森でした。大自然!
森と言っても清涼な感じの森ではなく、カラフルだね。葉っぱの色が紫とか青とか時折黄色にピンクとか様々なので綺麗だけど多分普通じゃないと思う。ゲーム仕様なのかそれともこの場所だけなのか……隠れ里って言ってたから何かしらの力が働いているのかもしれない。はたまた森に居着いた結果、種族的な何かが影響した結果なのかもしれない。
それにしても家を出て直ぐ視界に入る位置に大きな山が見える、山と言っても岩肌が剥き出しなので多分あれが鉱山かな。鉱山もキラキラ輝いている、全部魔鉱石かもしれない。だとしたら是非とも採掘をしてアイテムボックスに入れておきたい。
そうこう考えながら歩いているとあちこちから視線を感じる、感じるが姿は見えない。警戒されてるのだろうか。
少し歩いた先に井戸が見える、お水は井戸水なんだね。おじいちゃんが足を止めて振り向くと私も足を止める。
「皆のものよう聞け、この方がわしらの願いを叶えてくれるシグレさんじゃ。彼は伝承で聞く時空忘れの旅人じゃが、れっきとしたわしらと同じ自己幻族じゃて、警戒せんでええ。はよ、出てこんか」
おじいちゃんがよく通る声を上げる、それにつられて人がちらほら。老若男女問わず、よく見ると数は少ないが子供も居る。子供達はわかりやすく興味津々な眼差しを向けてくる。
「彼は旅立つまでわしが身元を預かるが…、色々と困ることもあろうて。仲良くしてやってほしい」
「……シグレです、時空忘れの旅人なので右も左もわかりませんが教えて貰えると嬉しいです。いずれは自己幻族として覚醒をしたいと考えてます、皆さんが望むなら僕は僕の役目を果たして見せましょう」
おじいちゃんの言葉の後に、聞き取りやすいようにゆっくりと周囲の人々に向けて告げる。本当に見た目は人だ、破滅願望が在るのか若干疑わしくなるが「覚醒」の言葉にざわめきたつ、向けられる眼差しに敵意はない。寧ろ……なんと言うかあれだ、子供がヒーローに向ける憧れのような眼差し。それに物凄く近い。もしかして自己幻族とって覚醒って勇者とか英雄、そう言ったものに充当するのかもしれない。
「おにーちゃんはカクセイできるの?」
「まだ出来ないよ、でも覚醒する為に頑張ることはできるかな」
「ほんとう?カクセイはすっごくむずかしいって、じいじがいってた!おにーちゃんはすごいんだね」
「んー、どうだろう。僕が凄いかどうかはこれからわかるから、待っててくれるかい?」
「うん!まってる!いいこにしてまってるね」
近くに居た少女に話しかけられたので屈んで目線を合わせながら優しく答えると抱き付かれた、それを見た数少ない子供達……5人か。その子達も駆け寄ってきて抱きつかれたので全員にお返しにハグをしたところ非常に喜ばれた。大人達は誰も止めに入ってこない、と言うよりも微笑ましいものを見るように見守っている。
素直に喜ぶ子供達に飴ちゃんをあげたいが持ってないので砂糖を見付けたら作ってあげることにしよう。
今の一連の行動だけで里の住人から警戒が完全に解けたようだが……逆に心配になる。種族が同じなら身内!大丈夫、受け入れるよ!と言う感じなのだろうか。
おじいちゃんから、若さんの家を使用する許可を貰った。まだ独身だったらしく一人暮らしだった模様。若さんの恋人は居たりしないのか聞いてみたが居ないそうで。里の為に尽くす好い人だったらしい。
そんな人が居なくなったと言うのに、……私が乗っ取ってしまったような気もするけど皆さんとてもフレンドリー。色んな人に話しを聞くと死自体は忌避するものでもないそうだ。もう会えない事実は悲しいが、滅びを望む種族として見るならば羨ましさもあるらしい。
種族的に死や滅びを望んでも自殺は出来ない、自殺に因る死だけは許されざる行為だと言う。他にも他者に蹂躙されることは耐えられず、自分達種族の中で産まれた強者による破滅だけを望む……。
うーん、排他的なのに面倒臭い種族なんだね。
それはさておき、暫くお世話になるこのレティアの里についての話しをしようか。
里の中心は先程赴いた井戸がある広場、その周囲だけ草は排除され綺麗に石を敷き詰めてあった。家は石造り、一応ガラスは有るようで窓枠に嵌め込んだ形で使われている。家の数は30弱、一人暮らしや家族住まいと分かれていた、男女比は……男性の方が多そう。子供は3対2で女の子の方が多かった。
おじいちゃんの家は里の入り口の近くに建っていた、二回りほど周囲の家より大きい。おじいちゃんは今一人きりだそうだけど、毎日見張りの担当が二人ずつローテーションを組んでいるのでお世話になる為そこそこ賑やからしい。他にもおじいちゃんだけでは心配だとおばあちゃんやお姉さんが数名出入りしている……おじいちゃんモテモテなのでは。これも覚醒効果なんだろうか。
個人的に長老の家は里の入り口よりも奥に有るイメージなんだけど、一番強いのがおじいちゃんだと言うので安全を考えた上での配置とのこと。里自体は魔鉱石を使った壁で森と隔て、魔鉱石の力で結界を張っている状態を維持。一番守りが薄いのが入り口なので魔物等から守るには効率が良いらしい。
おじいちゃんの家を過ぎると次に有るのが雑貨屋、武器兼鍛冶屋、防具屋と言うよりは服屋がある。
食材に関しては里の共同畑で皆で自給自足、畑の周囲に果実が実る木々も植樹されている。
戦闘能力が高めの人は魔物と動物狩りをしてお肉を持ち帰ってくる。
ギルドと言ったものは存在しない。自己幻族以外はこの里には来れないらしいので意味を成さない為だ。
まあ隠れ里だって言ってたもんね。
住人達は《採取》《採掘》《伐採》《農業》は皆持っており、それ以外だと人によっては戦闘スキルと《解体》を持っている。子供達もそこそこ持っていると教えてくれたので聞いたところスキルレベルが高かった……悔しい。後で《採取》《採掘》《伐採》《農業》を覚えてレベル上げを頑張ろう。
因みに雑貨屋の店主は薬師と言う職業持ちで他にもスキルに《木工》《金細工》《ガラス細工》を所持していると教えてくれた。武器屋の店主は《鍛冶》《武器作成》《錬金》、防具屋の店主は《裁縫》《布作成》 《革加工》《防具作成》を所持していると言う。あくまでも自己申告で教えてくれた範囲になる。
言うまでも無いがおじいちゃんが一番スキルを持っているようなので落ち着いたら弟子入りしたい。
食事事情は各々の家によって違う、家族の場合は家族内で、一人暮らしの人達は皆で集まってとか一人で作ったりとかその時による。材料は皆で分け合うので同じ物になるが、要は作る人の腕次第で食卓が変わる。居酒屋やご飯屋が無いのは正直悲しい、完全に自給自足だもんね。
《料理》スキル取っておいて良かったと切実に思う。
私が仮住まいをさせて貰う場所はおじいちゃんの家の裏手に有る。若さん一人身と聞いたんだけど、それにしては結構広い2階建て、広いに越した事は無いけどね。もしかしたら一人身同士の集会場だったのかもしれない。
簡単な里の散策も終わったので若さんの家を物色しようか。先ず庭がある、折角なので《鑑定》をしていく。ぶっちゃけ《多種知識Ⅰ》の効果で植えてある植物はわかるのだが鑑定のレベルを上げたい。そう言う事だ。
癒し草3種、魔力草2種、毒草3種、バジルにミントにカモミールにラベンダー……ごちゃ混ぜだね。
もう少し区画分けして欲しかったよ若さん!その内手入れをしよう。わりと名前が現実と同じなのでわかりやすい仕様なのは良いことだね、全く変わってしまうと慣れるまでが大変だ。
庭を確認した後、家の中に戻る。台所にトイレにお風呂……お風呂がちゃんと有ることに感激した。気分的に入りたくなるよね、入れる仕様なのかは知らないけど。
居間の横に調合部屋っぽいもの、面白そうな器具がごちゃごちゃしている。錬金とか薬作りはここで出来るかな。片付ければ物作りも出来そうだ。
そして二階には寝室と書斎が有った。結構な数の本が本棚に並んでいる。この閉鎖された里でどうやって集めたのだろうか、こっそり人族や他種族が住む場所にでも行って購入したのかなと考えてしまう。実は里の中で本を書いてる人が居るとかだったなら非常に興味深いんだが……流石に無いか。
折角だしこの本も読みたい、思いの外やることが多い。最初だからかな。
少し優先順位で整理してみよう。
・生活魔法を覚える
・革細工を覚えてデルわんこに首輪を作る
・他スキルを諸々覚えつつ住人と友好度を深める
・料理を味わう
・本を読む
・庭を弄る
・覚醒はゆっくり後回し(どうせ直ぐには出来ない)
あ、余裕だった。いけるいける。
正直なところ当初の予定から大幅にずれてます…おかしい。