11.闇の精霊との出会い
結局早い夕御飯を準備しデザートまで平らげて満腹感を得た後に買い物へ行った。日用品と食材を購入して帰宅をするとPCを起動してリアオンに課金をする。言うまでもなく必要だと判断したアイテム所持枠分の課金だ。
まさかの『一枠=アイテム名+品質』なので1種類につき4枠必要になるとは思わなかった、いやまあリアオンのゲーム自体はソフト代金のみだし運営をするにはお金が必要だもんね、何度も言うけどガチャ課金が無いだけ優秀だよ。
だからこそアイテム所持欄購入に天井が無いんだろうな、収集癖が有る人種が枠を増やす為に課金……私のことですね!追加でぽんと2000枠まで拡張するよ。これで初期の500枠、課金した1000枠、追加課金の2000枠で合計3500枠だね。暫くはこれで足りると良いな。せめて始まりの街に行くまでは足りて欲しいなと切実に思うわけですよ。
何はともあれ、やるべきことはやったのでPCをシャットダウン。
その後お風呂でのんびり凝り固まった筋肉を解してから上がる、水分補給も忘れない。日課を終わらせてから再びゲームの時間に費やす。因みに時刻は20時なので6時間フルに使ってから寝る予定だ。
妹と友達に進捗は聞いてない、正直明後日からの仕事が始まってからで良いかなと思っている。
疲れる仕事の束の間である休憩時間に進捗を読ませて貰うのを楽しみにするのも良いよね。それぞれが同じゲームをやってるのに全く違う道を進むのだから、内容を聞くだけでも一つの物語を読むようで楽しいと思う。勿論一番は自分の物語を進めることでは有るんだけどね。
そんなわけで早速『シグレ』としての物語に身を投じる。
意識がシグレとリンクし自分のものになると、背にふわふわの感触と柔らかい風が肌を擽る余韻に五感がゆるりと認識されるのを覚えて目を開く。……と、開いた視界に映ったのは《白虹華》の花……ではなく濃い闇色の美少女だった。
『ふふ、起きたわね。ねえねえ、自己幻族のお兄さん。お兄さんの後ろに居る白雪鉱鳥から聞いたのだけど、お兄さんは白雪鉱鳥と契約をしたのよね?』
美少女では有るが妖精と呼んでも差し支えが無いほどに小さく可愛らしい、但し羽根と思われるものは見当たらないがふわふわと浮いておりやや落ち着きは無さそうだ。
そっと片手を伸ばして座るように促すと大人しく座る妖精(?)さん。可愛いね。
「そうだけど、君は?」
「あら、名前を聞くときは自分が先に名乗るものでは無いのかしら?」
「これは失礼。僕はシグレ、自己幻族であり時空忘れの旅人だよ。それで可愛らしいお嬢さんのお名前は?」
「まあ、お上手なのね!ワタシそう言う人は大好きよ。シグレお兄さん、ワタシは闇の精霊、名前は無いわ」
「君は精霊様だったんだね」
「ええ、白雪鉱鳥が居たから遊びに来たのだけどお兄さんを守っているようだったから……話を聞いて、大人しく寝顔を見させて貰っていたわ。シグレお兄さんは今《闇魔法》を取得しているのね、時空忘れの旅人は様々な適正に恵まれて居ると聞いているけれど……シグレお兄さんは他の魔法も取得するのかしら?……かしら?」
鈴のなるような声で話す闇の精霊様、ちらちらと上目遣いをしてくる姿があざとい。それにしてもハクアが全く話掛けて来ないのだがこれは精霊様とのイベントなのかな?それならそれで構わないのだが……今の質問って明らかに何か有るよね。……素直に闇魔法だけしか取得する予定が無いことを伝えておこうか。
「いや、僕は自己幻族だからね。他の属性魔法を覚える気は無いよ」
「本当!?ならシグレお兄さん、ワタシの祝福をあげる!白雪鉱鳥が気に入るお兄さんなんですもの、好い人に決まっているわ!それに闇だけを選んでくれてワタシとっても嬉しいの!」
ふわりと手の上から立ち上がりワタシと視線を合わせる妖精様、小さな手を頬に伸ばして来るとそのまま頬にキスをされたっぽい。
『闇の精霊から祝福の口付けを受け取りました、《称号:闇の精霊の祝福》を取得しました。これにより他属性の魔法は取得不可となります。但し一定の条件を達した場合は取得可能となる場合が有ります』
《称号:闇の精霊の祝福》闇の精霊に気に入られた証。闇魔法以外は使用出来なくなるが《闇魔法》の威力上昇(小)、必要MPの効率化により闇魔法使用時の消費MPが5分の1減る。
なかなか良い称号では無いだろうか、どうせ他の属性は覚えないし。こう言うのが有るからデルわんこがアドバイスと言うか助言をくれたんだろうね。
称号の内容を確認すると人差し指で優しく精霊様の頭を撫でる、そうすると嬉しそうにはにかむ様子が……。これはこれで可愛いものだね、思わず庇護欲を擽られてしまう。
「ありがとう、精霊様」
「どういたしまして。宵闇の時間や暗闇で呼んでくれればワタシはいつでも応じるわ。だってお兄さんはワタシの愛し子になる資格を得たんですもの!早く沢山闇魔法を覚えてね」
「うん、なるべく頑張るよ」
「絶対よ、貴方に闇の加護がありますように……」
やや空が白んで来ると精霊様がどこか名残惜しそうに周囲を飛んでから姿を消した。暗いときに呼べって言ってたから明るい場所ではダメなんだろうね、憶測だけど。
“ふむ、去っていったのう”
「ハクア、起きてたんだね」
“わらわは始めから寝ておらぬ、闇の精霊がお主と話したいと言うから譲ったまでよ。して、シグレ……わらわの横に有る卵をやろう”
「卵?」
突然予想外のことを言われてハクアに寄りかかると言うか羽毛に埋もれていた体を起こして周囲を見渡すと掌サイズの卵がすぐそこに数個陳列していた。まごうことなき卵だね。
普通の卵だと思うけれど《鑑定》をしておこうか。
《白雪鉱鳥の卵》無精卵の卵、希少だがとても美味しい/品質最高
――レア食材でした……!ハクアが産んでくれたのかな、状況的に考えると多分間違いなくそうだよね。そうか、毎日卵が手に入る可能性が有るのか。これは帰宅したら早速料理をするしかないやつだ。ふわふわのパンケーキとか良さそうだと思う。木の実や果物も有るしそうしよう。ハクアが自分で産んだ卵をたべるのか一瞬疑問がわいたけど、くれたのはハクア自身だし鑑定で食べられるって判明してるから良いよね。
「ありがとう、ハクア。帰ったら美味しい料理を作るね」
“うむ、その言葉を違えるでないぞ。もう戻るかえ?”
「そうだね、目的の花は暫く困らないくらいに手に入ったし……後は帰る途中にまた採取と狩りがしたいな」
“ならばわらわに任せるが良い、美味しい食材なら当てがあるからのう”
自信満々なハクアに任せて再び《騎乗》スキルを使用し乗せて貰う、二回目なので少し身を起こしてみる。初回じゃないので少しは気持ち的にも余裕が出来た、やっぱりこの山高いよ。雲に囲まれた山頂から見下ろした光景は息を飲むほどに厳かだった、清廉な空気と言うか雰囲気と言うかとにかく凄い。ハクアに乗らないと見ることは叶わなかったで有ろう景色に感動しつつスクリーンショットを撮りまくる。
撮影に夢中になっていると直ぐに里が見える位置まで来ていた、流石に早いね。里から少し離れたところでハクアが着地する。そして私が降りるとハクアは見慣れたサイズになり頭上を飛び交い離れると、早速現れた魔物……動物?どっちだろうか。見た目は完全にウサギさんだ。攻撃に注意しつつ《鑑定》っと。
《跳びウサギ》ウサギ型の魔物。跳びながら攻撃を軽やかに仕掛けてくる、時折魔法を使う個体も居るとか居ないとか。わりとどこにでも生息しているポピュラーな動物。
レベル:10
《鑑定》をするとオオタテグモのときとは異なり、ちゃんとウサギさんのレベルが解る……って、レベル高くないですか!?10ってなんだ、10って!!私今レベル8なんですけどぉお!!この場所ってまだ比較的、里の近くなんですけど!?……オオタテグモといい魔境か何かなのかこの里は!?
現実で見るウサギさんと同じ姿なのに跳躍力がヤバい、今あっさりと私を跨いだぞ。え、ウサギってこんなのだったかな?
やや困惑しつつもダガーを構える、向かってくるウサギさんにタイミングを合わせて振りか……ぶろうとしたところ、ウサギさんの死角から飛び出してきたハクアが勢いよく突撃をかましてくれた。多分《体当り》だと思うのだが、衝撃に耐えきれず物凄い勢いで木にぶつかるウサギさん、小さな悲鳴らしきものと骨が砕けたような音がした。同時にウサギさんのHPバーが一気に0になった、怖い。これが弱肉強食の世界か。
ちょっぴり呆気に取られるもハクアが周囲の魔物や動物を狩ってくれる、殆ど《体当り》で狩ってくれるので次々に魔物の死体があちこちに出来ていく。解体がONなので仕方がない、死体をアイテムボックスに回収していく。全部が一撃死のようで死体損傷も少ない、品質が全部最高を維持している。拾うだけの作業しかしていないがレベルアップのお知らせが鳴り響く、その度にこれと言った事をしていない為に寄生プレイをしているような気分を味わうので軽く罪悪感が……。
《気配察知》を使用し周囲から生物の反応がほぼ無くなった事を理解した。よくよく《地図》を見れば『!』『アイテム回収』と表示されてピコピコとマークが点滅し光る箇所が多数、多分ハクアが狩った魔物達だね。アイテム扱いか、まあ死体も解体すれば色々なアイテムが手に入るし回収も出来るので部類としてはそうなるよね。
ハクアとは契約で繋がっているし、ゲームなので呼べば反応をしてくれると勝手に思っているので声を掛けてみる。
「ハクア、そろそろ戻ってきてくれるか。もう十分だよ、ありがとう」
“そうかえ?ここら辺は狩り終わった故に暫くは安全だのう。安心して採取をするが良い。後はそこら辺の蜘蛛から取ってきた糸を錬成したのでお主のアイテムボックスに放り込んでおくから自由にするが良い”
「うん、重ね重ねありがとう」
予想通りに反応が返ってきた。そして更にアイテムが増えたね、全て回収を終えたら確認しよう。先ずは戻ってきたハクアの頭を撫でて労う、そうすると機嫌良さそうに体を擦り付けて来るので更に撫でる。満足したのか私の頭の上に乗ると途端に大人しくなった模様、沢山動いて貰ったので疲れたのかもしれない。
ハクアを頭に乗せたままアイテム回収に勤しむこと小一時間、合わせて採取も小一時間ほど行う。途中魔物がリポップするかと思いきや一切エンカウントしない。まあ私は弱いので戦闘になるよりは有りがたいのは確かなんだけど、どう言ったシステムの元で調整されているのか気にならなくもないぞ。これがフルダイブ式じゃなくて端末等のゲームだった場合はクソゲー扱いしちゃうかもしれないレベルで魔物も動物も出てこないね。
ああ、もしかしたらだけどハクアがさっき言っていた「暫くは安全」と言った言葉が影響してるのかな、ハクアはゲームのキャラだし。深く考えない方が良いんだろうけど一人だと暇だからね、考えちゃうことも有るわけで……。
途中、ハクアの道案内に従い里から少し離れた場所に有る湖の畔に寄り《解体》を使用して回収した魔物や動物の死体を切り分ける。合間に捌いたお肉を使い簡単な食事もしたが、回収した量が量なので終わるまでかなりの時間が掛かった、陽が落ちるまで作業をしたお陰でレベルも上がったので良しとしよう。
ステータス確認は里に帰って落ち着いてからすることにしてスキルレベルが上がると手間が省けることがわかった。
《解体》の場合、レベルが上がると徐々に切り分けるべき箇所が視えるようになり手間が省かれるようになった、ナイフを軽く添えただけで綺麗に切れるし皮を剥ぐ時の苦労も半減された。魔物の胎内で生成される魔石の場所も感じ取れる。格段に作業が楽になるので解体に限らず持ってるスキルレベルを全体的にある程度上げるべきだね。……時間が足りないことが明白だ。
黙々と解体作業を進め、一息吐く頃にはゲーム内で20時を回っていた。
夜の闇が深い、月明かりも綺麗だし焚き火の明かりもおつなものだが動くには不便だ。夜になっても活動しやすいように視界が妨げられないスキルって絶対に有ると思うんだよね、取得しておいた方が良いかなと思わなくもない。もしくは精霊様から貰った祝福でどうにかなったりしないだろうか……。
呼び出しても良いって言われてるし呼んでみようかな。
「精霊様ー」
召喚方法が解らないので取り敢えず呼んでみた。
…………。
………………。
……………………。
普通に考えて呼んだだけじゃ出てこないよね。うんうん、そんな簡単に出会えたら精霊様のフットワーク軽すぎだしフレンドリーすぎるだろうから無理だろうとは思ったけどさ。でも折角なので色々と試してみよう。
アイテムボックスからビスコッティと果物のジャム、飲み物は残念ながら水くらいしかない。牛乳欲しいね、時間があれば果実水とかハーブティを作りたい。そうなるとポットやコップ等の雑貨も持ち歩かないとダメか、アイテム所持枠を増やしておいて良かったと切実に思う。
出した軽食を目の前に並べてみる。
「闇の精霊様、ささやかですが捧げ物ですよ。どうかお越し下さい」
祈るように指を絡ませ、少し下手に出て呼んでみるとどうだろう……。あ、視界の端で樹の影から、ちらちらこちらを伺っている精霊様が見えるね。
手招きをしたら表情を輝かせて近寄ってきた、小動物感が凄い。私の近くと言うよりもビスコッティの方に移動をしてくる精霊様、気になっちゃうんですね。ジャムとビスコッティを交互に見た後、恥じらい気味に私の方へと視線を向けてくる。
「お兄さん、お兄さん。あの、これ……ワタシが貰ってもいいの?」
「うん、精霊様にあげようと思ったからね。食べてくれると嬉しいな」
「そう……、ありがとうお兄さん」
「どういたしまして。食べながらで構わないけど一つ教えてくれると嬉しいな」
「なあに?貴方からの質問ですもの、答えるわよ」
小さい体でビスコッティを抱きしめるように持ち上げ、そのまま口を開けて食べ始める精霊様。食べた瞬間に驚いた様子が見えたけど、徐々に減っていくビスコッティの姿が精霊様が気に入ったと言う証拠だろう。
食べやすいようにスプーンでジャムを掬い精霊様の口元に運ぶ、そちらもお気に召したようで可愛らしい顔を更に緩ませている。これはこれで和むね。
食べるのを邪魔しないように気を付けながら本題を切り出す、あっさりと承諾を貰えればそのまま質問を投げ掛ける。
「なるほど、お兄さんは自己幻族ではあるけれどまだ時空忘れの旅人だからこの夜の闇の中では満足に動くことが出来ないのね。それは確かに不便だわ。一番簡単なのは《暗視》と言うスキルを覚えることね。でもそれじゃダメよ、闇の中でも確かに見えるけれど日中と同じくらいでは無いのよ。だからね……その、お兄さん……私の祝福をもう少し強いものにしてあげる。そうすれば問題なく夜の世界も貴方に優しいわ」
「えっ、嬉しいけど流石にそこまでして貰うの悪い気がするよ。方法がわかっただけでも助かったんだしさ」
「そんなこと無いわよ!だってお兄さんは闇を……ワタシを選んでくれて、こうして直ぐに呼んでくれてお話をしてくれて、美味しい食べ物までくれたのよ!なのにワタシは弱い祝福しかお兄さんに渡してないの……」
予想外に大事になってきた自体に焦るが、どうにもこの精霊様ちょろいのでは?明らかに呼び出して話をしている今の状態と食べ物に恩を感じすぎだと思う。もしかしたら精霊様がずっと一人で寂しかったとかそう言うのも有るかもしれないけれどちょろいのでは?
だが必死に訴えてくる可愛い女の子を突き放すことは出来ない、何気にハクアからも“貰ってしまえばよい、お主の役に立つのだから難しく考えるでないわ”と念話で言われた。
…………貰いましょうか、有りがたい事だもんね。
片手の指先で精霊の頬にそっと触れる、愛らしい様子なのに少し涙を浮かべた眼差しが心に痛い。いや、こう、……女の子を苛めたって言う呵責の念に苛まれるそんな感じ。
精霊様を宥めるように指先をやんわりと動かして目元を撫でる。
「精霊様、貴方にとって迷惑で無いのならお願いするよ」
「迷惑なら言わないわ、お兄さん……受け取って。そしてこれからも毎日じゃ無くて構わないからワタシを呼んでね」
精霊様が嬉しそうに笑うと私が伸ばした指先を小さな両手に掴む、そのまま指先に口付けをされれば響くいつものガイダンス。
『闇の精霊からの祝福が強化されました。《称号:闇の精霊の祝福》から《称号:闇の精霊の愛し子候補》へ変化されました』
ちょっと待て、一気に称号が変化したぞ。効果を小から少しアップするだけって聞いてたんですけど!?
自由が利く手で顔を抑えると精霊様に心配されたが何でもないことを告げて礼を述べる、少し疑問に思っているようだがビスコッティを食べるように勧めれば意識を切り替えることに成功した。やっぱり精霊様ちょろい……。
そんな精霊様は横に置いて称号が非常に気になるので確認しよう。これだけは直ぐに確認しなきゃダメな気がする、称号を貰った瞬間に周囲の景色が変わったからね。殆ど日中と変わらない明るさを維持してる、若干オレンジと言うか何と言うか……例えるなら電気が点いてる室内見たいな感じに近い。間違いなく日中では無いと言うことだけは理解できるけど視界が明るい。多分これが新しい祝福の効果だと思うのだけど。
《称号:闇の精霊の愛し子候補》闇の精霊に気に入られ、尚且つ信頼を寄せられる者が授かる称号。闇は隣人、光が無くとも行動を妨げる存在は居ない。闇魔法の威力上昇(大)。必要MPの効率化により闇魔法使用時の消費MPが3分の1減る。
わー、ヤバいやつ来たね……!よし、一旦見なかったことにして単純に視界の確保が出来たと言うことにしておこう。割り切りは大事だよね。
視界も良好になったわけだし残りの解体作業をやってしまおう。
……現実逃避じゃないよ。
それからゲーム内の時間で4時間掛けて解体を終わらせた。
途中食べ終えた精霊様が物珍しそうに見てきたり、お腹が空いたハクアにウサギ肉の串焼きを作ったり、その串焼きを精霊様に渡すと気に入ったようで闇魔法について色々教えて貰った。
うん、使用できる魔法が一気に増えてしまったので近いうちに戦闘時に使用して威力の確認や使い勝手を確かめたい。合わせて《影操》が夜でも使用できると判明した。視界が普通の時は月明かりの下でも夜の影は認識が殆ど出来ないので使用できないと思っていたのだが祝福の効果のお陰で今は周囲の影は完全に把握できる状態。なので使用できる。……奇襲し放題だね、良いのかなこれ。
まあ、諸々しているとゲーム内での残り時間4時間くらいになってしまった。つまり現実世界で残り1時間、今度のログアウトは若さんの家でしたいので精霊様も連れて里に戻ることにした。
「まあ、お兄さんのお家に招待してくれるのね!嬉しいわ!」
“精霊殿を置いていくのもアレだからのう、お主の好きにするがよい”
「うん、そうするよ。じゃあ精霊様は僕の肩に乗って、ハクアは魔物が来ない道を選んで里まで誘導して」
“安心せい、まだ魔物はおらぬ……と言うかじゃ。わらわと精霊殿が着いているのでお主は心配することは何一つ無いと気づいていないのかえ?”
「そうね、ここで白雪鉱鳥に手を出すオバカさんは余り居ないわ。ワタシに手を出すオバカさんもね」
その後、森の中を歩いて里に向かったが無事に帰れたのは言うまでもなく。
……本当に一切エンカウントしなかった、平和な道中だったよ。
森の守護鳥と闇の精霊様の加護が半端無いね。
家に入り、空が白んで来る頃精霊様は姿を消し、ハクアは私がログアウトする時間になると自ら紋章の中に消えていった。
一気に静かになってしまった室内に少しだけ寂しさに似た感傷を覚えて寝室に移動する、ベッドに横になると慣れた作業を行う。
次のログイン時にはクエスト達成報告ができるといいなと、そう思いながらログアウトをし現実世界へと戻る。
次回にシグレのステータスを乗せれたら良いなと思っています。




