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異常なリモコン片手に放浪旅 ~主人公は主観的で感情的~  作者: アヤミ ナズ
魔人族の大陸:スローム王国ウィース編~中~
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No.057 バレた名称とユウの部屋

遅れました。

今月は二部です。


 ユウがメリッサの護衛についた日の夜、ユウは一応護衛という存在であるため、客人のようにディラン達と一緒に食事を摂ることはなく、リーリエやその他の使用人、従者達と一緒に、専用の部屋にて先ほどまで夕食を摂っていた。

 その後メリッサたち屋敷の持ち主である一家が食事をする場において、部屋の壁際に立ち、夕食が終わるまで待機していた。


 そんな諸々の仕事を終えユウは、メリッサ、リーリエと共に、再びメリッサの自室へと戻るはずだと思っていたが、リーリエから



「ユウさんは基本、日中とお嬢様の外出時のみの護衛だけで結構です。いくらユウさんが、護衛の間は女という立場だとしても、本来は男です。原則として、お嬢様のプライベートな時間である夜の間は、“自室で待機”という形を取って貰うことになりますので、よろしくお願いします。」



と指示を受けたため、ユウは現在、自分用に用意された使用人部屋へと向かっていた。現在時刻は二十時と六刻。地球の時間で言うところの、午後八時半である。



“ガチャ”

「お、おぉ...別に豪華な場所を望んでいたわけじゃないけど、客室と比べるとだいぶ狭いな...。」



 ユウが用意された部屋の扉を開けると、そこには簡易的なベッドと机・椅子のみがあり、それ以外だと、ユウが手に持ってきたおおゆみと、一応盗まれても構わないモノだけ入れた大きめのリュックが、ベッドの上にあるだけだった。

 部屋の内部は、ベッドと机&椅子のみで八割方が埋まっており、まるで物置部屋に無理矢理家具を押し込んだかのような違和感を出していた。

 実際の所、屋敷内の使用人部屋が殆ど二人一組で既に埋まっており、だからといってユウだけを客室に泊めるわけにもいかず、そこで丁度使用されていない手狭な部屋に、ベッドと机・椅子を配置し、どうにか“部屋”にしていたのである。


 そんな事実を知らないユウは、



(やっぱり、余所者にはこのくらい手厳しいのが当たり前なんかなぁ...。まぁ、護衛でお金貰えるし、さらに食事まで出るんだから、地球の発展途上国に比べれば全然好待遇だよな、うん。)



と、一人納得していた。まぁユウの言う通り、身元不明の人物ユウに対し、同じ屋根の下での寝泊まりを許可していることが、十分に驚くべき事実のはずなのだ。


 何故レイモンド家(厳密に言うと、ディランの判断)がそんなことを許可しているかというと、まずネイサンという国認魔導士が常駐しているこの屋敷の方が、ユウが仮に危険人物だった場合の対処が可能であるからだ。

 次に、ユウは護衛という立場以前に、ディランの命令に従う義務が課せられているため、何らかの緊急事態があった場合に、すぐにでも招集が出来るようにという理由があった。


 そして最後は...、



〈主。一つ連絡しておきたいことがありまして...。このまま、脳内での会話でお願い致します。〉

〈?分かった。続けてくれ。〉

〈はい。実は、この部屋に何らかの監視魔法がかかっているんです。それも、音と...おそらく、簡易的な魔力感知の魔法の二つですかね。〉



と、急にユウへ話しかけてきたリンの言う通り、部屋そのものに監視魔法がかかっており、ユウの動向を観察することが目的であったのだ。

 実際には、監視用の魔具が発動状態で設置されており、部屋の音を録音する魔具と、部屋で何らかの魔法及び名称の能力を発動した際に、その発動内容を分析し、情報が監視者に届く仕様となっている。


 リンからその事実を聞いたユウは、



〈なっ!?...え、マジで?〉

〈マジです。と言うか、ガチです。〉

〈...うっそ~ん...。〉



と言った具合に、リンと脳内でそんなやり取りをしていた。

 とは言えユウも、何か特別なことが起こらない限りのんびりと過ごすつもりだったため、そこまで気にしてはいなかった。しかし、誰かに自分の行動を随時監視されているというのは、中々に緊張してしまうことのようで、ベッドに横になったものの、ずっとそわそわしている。


 そんな様子のユウだが、その原因は自身が監視されているからだけでは無く、



(お嬢様にはああ言ったけど、正直不安しか無いなぁ...。まぁ、少しでも知識のある人に事情を知って貰った方が良いはずだから、多少危険でも、その方が良いのかも...。)



という、何やらメリッサとの間で交わした事柄に対し、彼の中で微妙な心理状態であったことも関係しているようだ。


 そんなユウの部屋へ突然来訪者が来たのは、それから一時間ほど経った頃であった。





 時を同じくして、場所は


“コンコンコンッ”

「は~い。どうぞ~。」



と、扉をノックする音にそう答えた声の主がメリッサであったことから、場所は先ほどユウがいた部屋から変わり、メリッサの自室となっている。


 そしてメリッサからの許しを得て、扉を開けて部屋に入ってきた人物とは、



「お待たせ致しました、お嬢様。少し私用が出来てしまい、代わりに別の者へ委託しなければならかったので...。」



と謝罪の言葉を述べる、一人の青年であった。彼の名前はネイサン・カトラー。ウィースで唯一の国認魔導士であり、レイモンド家に寝泊まりしている居候でもある。

 そんなネイサンだが、先ほどレイモンド一家での食事の際ネイサンも同席しており、その食事が終わった後、



『ネイサン様。少し、よろしいですか?』



と、メイドのリーリエから話しかけられたのだ。

 リーリエからの話によると、メリッサが何やらネイサンに話したいことがあるらしく、“食後時間があれば自分の部屋に来て欲しい、もし時間が無ければ翌日でも構わない”という内容の伝言でんごんを、リーリエはメリッサから頼まれていたのである。


 リーリエからその伝言を聞いたネイサンは、



(この後、ユウの本性を知るために設置した魔具の様子を確認するつもりだったけど...まぁそれは他の人に任せても大丈夫か。もしかしたら、ユウと話した結果、お嬢様が何かしら気づいたところがあるのかも知れないしね...。)



と考え、リーリエに、『“少し私用を片付けたら向かう”という旨をメリッサに伝えて欲しい』という言付けを頼み、その場を後にしたのだった。


 そして、私用(監視業務の委託)を終えたネイサンは、現在こうしてメリッサの呼び出しに応じたのである。



「あら、別に明日でも構わないから、自分の用事の方を優先してよかったのに...ごめんなさいね?」

「いえいえ、お嬢様からのお呼び出しの方が私の中では優先事項ですので、お気になさらず...。」

「そう?それはともかくとして...その話し方、ホントにウザいわね。」

「あ、やっぱり?でも立場上、この話し方じゃないと世間が色々うるさいし、仕方ないんだけど...。」



 メリッサからの少々辛辣な言葉を、まるで当然の如く受け止めるネイサン。そして、そのまま普段の何処か子供っぽさを感じさせる表情に変わると、口調も先ほどとはだいぶ違う砕けたものへと変わっていた。

 そんなネイサンの変わりように対しメリッサも、そしてリーリエも何も言わないところを見るに、こちらの方が彼女たちに対する、普段のネイサンの振るまい方なのだろう。


 そんなネイサンからも、



「そういうお嬢様だって、もうちょっと素で話してもいいんだよ?」



と、メリッサに対する言葉が投げかけられた。その言葉に対しメリッサは、



「...別に。ネイサンが、何か余所余所しい感じで話しかけてきたから、私もそうしただけだし...。」



と言って、若干いじけたように反論していた。


 メリッサとネイサン...と言うか、レイモンド家とネイサンは、ネイサンがウィース在住の国認魔導士となる以前から交流があり、メリッサとも五年以上の付き合いになる。そんなこともあり、ネイサンはレイモンド家の人間からすると、家族に近い存在でもあるのだった。



「そういうネイサンも、さっきから私のこと“お嬢様”なんて呼んで、ちょっとからかっているんでしょう!」

「ムムッ...そんなことないって。この“お嬢様呼び”は、メリッサがそろそろ成人する年齢だから、僕なりに、それ相応の呼び方へ変えていっているだけだよ。」

「う~...そういうことなら、私がとやかく言う問題じゃないかもしれないけど...。」



 ネイサンへ抗議したメリッサであったが、ネイサンなりの考えを教えられたことにより、彼女は納得と不満の板挟み状態になっていた。だが、そんなやり取りが自然と出来てしまうほど、メリッサとネイサンの関係性は親しいものであった。



「まぁこの話はこれくらいにして、...お嬢様が僕に話したい事って、何?」

「!そうそう、そうだったわ!実は...。」



 メリッサの機嫌がこれ以上悪くならない内に、ネイサンは話題を元に戻し、彼女に話を振った。話を振られてメリッサは、先ほどのいじけた様子から、何やら新しい発見をした子供のような表情へと変わっていった。

 そんな彼女のころころ変わる表情を眺めて、ネイサン、そしてリーリエは、自然とその頬を緩ませるのだった。



 さて、そんなメリッサの話を聞いていたネイサンとリーリエであったが、彼らはその表情を驚愕の色へと変えていった。特にネイサンは、驚きというよりも、“疑惑”寄りの感情が表れた顔をしていた。

 と言うのも、



「それは、本当なのかい?ユ...グリが、飛翔者の名称を持っているっていうのは...。」

「ええ、本当よ...と言いたいところだけど、実際は、本人の口からしか聞いていないのよ。...でも、わざわざそんなすぐバレる嘘を言ったところで、あの子にとって何の特にもならないでしょ?だから、私が考えるに、可能性としてはかなり高いと思うんだけど...。」

「...なるほどねぇ。」



という二人の会話から察するに、ユウがメリッサに教えた自身ユウの名称、その中でも“飛翔者”について、ネイサン自身が何かを知っていたからであった。



「確かネイサンって、魔法関連の専門教育で、空中浮遊の魔力構造について研究していたんでしょう?だからグリが名称であったとしても、飛行の魔法が使えるんだとしたら、ネイサンの方が何か分かるんじゃないかなって...。ちなみにグリには、ネイサンとリーリエにこの話をすることは了承済みよ。」

「...まぁ、確かに僕も個人的に興味が湧いて調べていたものだし、実際又とないチャンスでもあるんだけどね......相手があの子、かぁ...。」



 メリッサからそう期待されたネイサンであったが、相手が自分たちに警戒網張りまくりのユウであるため、どうやって聞き出していいものか悩んでいた。

 そこでネイサンは、一つの考えを思いついた。そして、そんなネイサンは、



「...リーリエちゃん。明日って君たち三人に、何か予定とかあったりする?」



と、一人ずっと立ったまま控えていたリーリエに、そう言葉を投げかけたのだった。

 突然話を振られたリーリエであったが、その様子は非常に落ち着いており、



「そうですね...。一応明日の日中、グリさんの基礎的な能力などを見るために、軍の通常訓練を一日体験して貰うことになっています。その際、第一騎士隊所属のパディ副隊長様から、どういった護衛のタイプか判断して貰い、今後彼女を護衛として、どんな立ち位置に置けばいいのかを決めたいと思っております。ですので、明日はグリさんだけ、別行動という形ですね。」



と、詳細な日程を答えていた。

 そんなリーリエからの返答に対し、ネイサンは



「ほぅ...、そりゃ都合がいいねぇ...。」



と言って、同時に、何処か嬉しそうな笑みを浮かべていた。どうやらネイサンにとって、今しがたリーリエが伝えた内容(日程)は、彼にとって非常に好ましいものだったようだ。





「と言うわけで、明日は護衛の仕事は私のみで構わないので、ユウさんは軍の訓練に参加してください。時間は日中からの参加ですが、軍の者が一人早めに迎えに来てくれるそうなので、身支度を調えておいてくださいね?」

「は、はぁ...。」



 そう言ってユウは、自身へ一方的に話してくるリーリエの言葉に、よく分からずに頷いていた。


 ユウが部屋に戻ってから一時間ほど経った頃、突然部屋の扉をノックする音が聞こえ、ユウが相手の名前を尋ねると、リーリエが自身の名前を告げると同時に、『明日の日程について話がある』と言ってきた。

 ユウは “そういえば、明日のことについて聞くの、完全に忘れてたな...。” と、内心で呟きながらドアを開けると、そこには初対面の時から一切印象や容貌が変わっていない、リーリエ本人の姿があったのだ。



 リーリエから明日の日程について聞いたユウは、



「身支度って、...僕、何持っていけばいいんですか?」



と問いかけた。ユウの言う通り、“訓練”という名前から、おおよそ自分が何をするのかはなんとなく理解出来るようだが、ただ着の身着のまま訓練所まで行き、果たしてそれで問題ないのか不安なのだろう。

 ユウのそんな質問にリーリエは、



「そうですね...一応訓練用の服や装備一式は貸してくれるようですので、それほど荷物は必要ないとは思いますよ。ただ、ユウさんが持っているそのおおゆみは、ユウさんの力量を測るのに使うかもしれないので、持っていった方が良いかもしれませんね。」



と、声は少しだけ不安げに答えていた。しかし、表情が全く変わらないため、彼女が果たして声と同じような心理状態なのかは、全く以て不明である。


 リーリエからの提案にユウが『それもそうですね。』と返すと、ユウは



「一つ、窺いたいんですが...リーリエさんって、メイドですか?それとも護衛なんですか?色々教えて貰ったのはいいんですけれど、どうも今ひとつ判断しかねるというか...。」



と、今の今まで疑問に感じていたことを投げかけた。

 確かに、現在のリーリエは見た目からして完全にメイドそのものであるし、ユウ目線では、これと言って護衛らしき行動を見たことが無いのである。まぁ、ユウ自身、護衛の仕事自体何をすればいいのかよく分かっていないため、単純に戦闘面での評価でしか無いのだが...。


 とまぁそんなユウからの問いかけに、リーリエは、少し話していいものか迷いながらも、その先の言葉を口にした。



「...確かに私は、見た目からして護衛とは思えない格好をしていますが、これでも一応戦闘技術はたたき込まれています。それに......私はあくまで、相手の油断を誘うことが目的の護衛ですから。」

「?油断を誘う?」



 リーリエから聞かされた言葉の内、最後の部分だけがよく理解出来ず、ユウは自然と疑問が口から溢れていた。



「はい。本来お嬢様の護衛は、私ともう一人が表面上の護衛としてお側に控え、もう二人が私達ですら認識出来ないところからの護衛を行っているのです。実際今も、お嬢様の近くにはもう一人いて、その方の方が私よりも実力や経験は豊富ですよ。ですから、私やユウさんは、あくまで“表向きの”護衛です。」

「な、なるほど......って、それって僕に言って良かったんですか!?あまり漏らして良い情報では無さそうなんですけど...。」



 そう言ってユウは、突然のリーリエからのカミングアウトに驚くと共に、彼女の危機感や疑う心の欠落が心配になっていた。いくらユウが同じ仕事を受け持った相手とは言え、彼女の話は、余所者にそう簡単に打ち明けて良い内容とは言い難く、少々早計ではないかと思われた。

 しかし、



「別に構いませんよ。今後役割を持つ上で最低限の情報の共有は必要ですし、仮に不測の事態が発生した場合、その時その時でユウさんだけのために説明する時間はありません。この程度の情報は、仕事を受け持つ者へ正当に与えられる権利の範疇です。」



とリーリエが述べ、ユウの心配を否定した。リーリエにとっては、仕事を共にする場合いくら信用のおけない相手だとしても、足手まといになるくらいなら最低限の情報を与え、活動を円滑に進められるようにする方が重要らしい。

 だが実際は、この程度の情報量が外部に漏れたところで、レイモンド家の防衛網に対する脅威とはなり得ないと、リーリエ自身が判断してのことなのだろう。


 そんな、自身の存在が脅威に値しないとリーリエに思われていることも知らずに、ユウは



「そ、そうですか?...良かったぁ~。」



と言って、リーリエがユウを少しだけ信用してくれているのだと、勘違いしていた。実はこの男ユウ、人から認められたり褒められたりするのがとても大好きで、特に目上の相手からの言葉は、良い方にも悪い方にも大きく心を動かされやすいのだ。

 よって、リーリエからの(本人ユウからすると)信用を含んだ言葉は、ユウの好感度を少し上げるものであり、実に都合の良い結果となっていた。まぁ、ユウからの好感度が、果たして喜ばしいものなのかは、また別の話だが...。



「とまぁそんなわけなので、ユウさんには今後暫くの間一緒に行動をしていくにあたって、少しは期待していますからね?...どうぞ、よろしくおねがいします。」

「あ、はい。...こちらこそ、必ずやご期待以上の成果を示して見せます。」



 リーリエとユウはそう言って、互いの健闘を祈ると共に、少しずつ仲間意識というものを心の中に芽生えさせていた。...リーリエに関しては、若干分かりづらいものがあるが。


 さて、そんな決意を新たにした二人だが、時間的にそろそろ床につく頃合いとなったため、それぞれ自身の次の講堂へと移っていった。そんな中ユウの部屋から出ていこうとしたリーリエが、



「そういえば...ユウさん。一つ、貴方にお伝えしておきたいことがあります。」



と言って、ユウの方に再び身体を向けたのだ。彼女のそんな不意を突いた発言にユウは、少しばかり不安げな気持ちになったが、リーリエは構わずその先の言葉を口にした。



「もし、ご自分で解決出来ないことが今後あれば、遠慮無く私を頼ってください。レイモンド家の皆様やネイサン様に、貴方から直接打ち明けることは難しいかもしれませんが、私程度の存在になら話せることもあるはずです。ですので...、無理に隠し事をし過ぎない方が良いですよ?」

「っ!え、あの、その......は、はい...。」



 そんな唐突過ぎるリーリエの言葉に、ユウは一瞬、どう返事をしていいのか分からなくなっていた。それもそのはず、リーリエには、ユウが未だに隠し事をしているという事実はもちろんのこと、その事実を貴族であるレイモンド家の者達相手であるからこそ話せないということを、易々と見抜いていたのである。

 ユウとしては、自身が嘘をつけない性格であることを自覚しており、今のように関わっていればいずれ、自身の情報が殆どバレてしまうことを危惧していた。


 実際、今日の日中の段階で既に、メリッサ相手へ飛翔者という、この世界だと珍しい名称をユウが持っていることを知られているのだ。

 仮に露呈する情報がそれだけだとしても、それを発端に、今後自分の生活へ何かしらの障害が生まれることがあり得る。



「...ええ、その時は是非とも、ご助力お願い致します...。」

「はい、もちろんです。」



 ユウが、自身の歪みそうになる表情を必死に抑え、どうにか朗らかな笑みに見せた顔を作り言葉を述べると、リーリエはそんなユウの心理状態すら見抜いていそうな目で、ユウの言葉に短く返事を返していた。


 そんな短く、だがユウにとっては異様に長い時間が終わり、リーリエが退室した後のユウの部屋。その内部でユウは一人、



(もう、やだ...。ホント、心臓に悪すぎだろ、この状況...。)



と、自身が置かれている(というか、自分で招いた)現状に対し、不満を抱いていた。そんなユウが再び同じような不満を抱くのは、翌日の日中、軍の通常訓練参加時のことであった。


次回は、ユウが国軍の訓練に参加します。

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