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異常なリモコン片手に放浪旅 ~主人公は主観的で感情的~  作者: アヤミ ナズ
魔人族の大陸:スローム王国ウィース編~上~
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No.047 変装の種明かしとリモコンの初機能

久しぶりの投稿です。



 現在物語が繰り広げられているところは、ウィース。そのウィースにて土地の領主である"ディラン・リュート・レイモンド"が屋敷、さらにその奥に位置している大会議室にて複数の人物達が集まり、ミミ村での一件に関して話を進めていた。

 そして、その内の二人の人物が今に至るまで話を繰り広げており、



「まぁ、グリ殿の話を信用するのでしたら、将来的に考えてそちらにいるザルバという男が、それほど危険な状態ではないと判断できますな。しかし...」

「分かっていますとも。最終的な判断を下すには、私やドーマ殿の話だけでは不十分で、信用に足る具体的な証拠が必要と言うことでしょう?」



と、一度話が切りの良いところにさしかかったかと思うと二人の内、四十歳前後の男性 『ヴァイス・ロンギヌス』 が、何やら口籠もる形でその表情を気難しい色に変えた。その理由は、ヴァイスの後に続けて話した『グリ』と呼ばれる女性が答えたように、今まで話されていた件の内容において不十分な点があったからである。

 だがそれもグリからすると、既に彼女の中では予想していた意見であり、同時にその声の様子から若干の余裕が伝わってきて、どうやら納得のいく説明を用意している自信があるようだ。


 ちなみにこのグリという人物、別に伏せる必要が皆無なので早めに言っておくと......まぁ、あの"旭ユウ"本人である。だが現在のユウは、仮面を付け、白髪のかつらを被り、さらには声を女声に変えるという、なんだか気合いの入った変装をしているのだ。

 と言うのも前回説明したようにユウはこの世界において、できる限り自身の存在や正体が世間に広まるという、いわゆる注目を浴びる事態を避けたいと考えていた。だが今回のミミ村の件に関しては......まぁ本人も、『流石に知らん顔は出来ないだろうな...』 という考えの下、こうして調査団との話し合いには参加し、同時にザルバのこともあって自ら弁護をするために赴いたのだ。


 だが、そんな事態に陥っても諦めないのがユウであり、今回は元の自分と印象が全く違う変装をして、"身バレ防止の最終形態"みたいな格好をするまでとなった。


 ではここで、ユウがどうやって仮面やかつらを用意し、さらには自身の声を女声に変えることが可能だったのか。それについては、結構が理由が単純だったりする。





==========



 まず仮面だが、こちらはミミ村にて購入していた真っ白いお面を生成魔法の『形成』で、ユウの記憶にある"般若の面"へと作り替えていた。だだこれは、生成魔法によって一から作ることも可能であったのだが、本来生成とはイメージが大事な魔法である。それゆえ記憶のみを頼りに全てを生成できるわけではなく、むしろ生成する対象に触れた状態で徐々に生成していく方が効率が良いのだ(まぁ、例外というものは当然いるが...)。

 とまぁそんな理由から、今回ユウは大まかな形の状態から『形成』によって般若の面へと作り替えることに決めたのだった。


 ではもう一つの方でかつら(・・・)についてだが、こちらは逆に純粋な生成以外方法がなかった。

と言うのも、ミミ村にはかつらを売っている店が無く、仮面に関しては小さな雑貨やでたまたま見つけたのだが、かつらはどうやっても見つからず、結局ユウ自身の生成魔法によって作り出したのだ。

 だがこのかつら、まるっきり一から作り出したわけではなく、自分の髪の毛を触りながら質感、長さ、色、毛量などをイメージして、百本前後の白髪の束を用意すると、それらを禿げ面のかつら(こっちは余裕で生成)に取り付け完成した。

 ユウは完成した喜びと生成した疲れから、特に何の疑いもなくかつらを被ってみたところ、


『...前髪、なっが...』


と、自分の腹まで伸びた前髪を見つめながら、今までかつらや仮面の制作活動をしていたゲートルト家の借り部屋から出ると、かつらを被った状態にも関わらず、一階にいたセリアに散髪を頼みに行った......ホントに馬鹿な男である...。



『ねぇセリア、ちょっと頼みたいことがあるんだけど...』

『?なんだ、ユウkっ!!?な、何者だ貴様!?と言うよりも、"者"か貴様!?』

『......あっ』



 そんなやり取りから始まり、十分ほど互いが互いに騒ぎ続け一向に会話の不時着が出来なかったため、最初は面白がって眺めていたガルシオが止めに入ることによって、漸く騒ぎは収まることになった。...まぁ、『最初から見ていたが、最高に面白かったぞ!』 と笑顔でガルシオが言った途端、ユウとセリアから笑顔が消えたことは言うまでもないだろう...。


 とまぁそんなこともありつつ、ユウはセリア(とついでにガルシオ)へ事情を話すと、早速セリアがハサミを用意しユウの作った白い毛玉を、ちゃんと『髪』に見える形までカットしてくれたのだった。





《こうして ユウは、 『般若の面』 と 『白髪のかつら』 を 手に入れた》



==========





(まぁ今にして思えば、後々面倒ごとに巻き込まれないためにも必要になりそうだったから......うん、結果オーライだったな)



 王都からの調査団を率いている存在のヴァイスを目の前にユウは、自信が行ってきた二日に渡る準備の数々を思い出しつつ、その労力に満足していた。確かにユウの思った通り、今後とも旅を続けるにあたり役立つものは用意するに越したことはない。だがそれも、ユウの持つ魔具の"リモコン"のお陰で、ユウは自身の荷物の殆どを入力4の『収納空間』に閉まっているため、いつも手ぶらに近い状態であった。

 

 ではユウによる、だいぶ凝った変装の種明かし第三弾に関して説明しよう......と思ったが、



〈...リン、聞こえているか?〉

〈はい!聞こえていますよ、主!何かボクにご用ですか?〉



 脳内でそんな呼びかけをすると、同じくユウの脳内に響く元気な声が聞こえてきた。その声は、ヒマワリを連想させるような明るい声であり、同時に何処か子犬のように人懐っこい印象を与える、『ユウの』魔具精霊"リン"のものである。


 さて、さきほどの変装の件に関してだが、これにはリン...というか『リモコン』の機能が深く関わってきているのだ。と言うのもユウが自身の声を"女声"に変えた方法とは、リモコンの機能の一つ 『音声設定ボイコン』 である。



==========


音声設定ボイコン

 リモコンの機能の一つ。その機能は、『音』に関連するものの全てを操作、調整することが可能。今回ユウが使用したのは、音の波の大きさと量の調整である。

 

 通常"音"に関わるものは、風魔法の派生"音魔法"によって様々な効果が与えられる。しかし、ユウの持つリモコンが今回もたらした効果は、通常の音魔法では再現が非常に困難なものであった。

 それというのも、本来音の波...つまり"音波"というものは、その振動数の違いがとても細かく、大まかに大きくしたり小さくしたり、時には完全防音シャットアウトにすることは可能なのだが、人や動物の『声』を再現するとなると、どうやってもノイズが生じてしまうものなのだ。


 その点この音声設定と言う機能は......言ってみれば、誰もがご存じの某バーローな名探偵が使用している、こちらも某『赤い蝶ネクタイ型変声機(犯罪道具)』と、ほぼほぼ同じものである。

 加えて拡声器や、完全に無音状態にする効果も含まれており、とてもバラエティに富んだ機能なのだ。


 もちろんこの機能も、同じくリモコンの機能の一つである"対象選択ジェクトチョイス"によって、『音』を操作する対象を選んで発動可能となっている。



==========



 最後に補足すると、今回ユウが実現した『自身の声を女声に変える』という芸当は、音魔法の中でも明らかに高等技術の範疇であり、そう易々と出来るものではないため、如何にこの『音声設定』と言う機能がチートじみているのかが見て取れる。


 とまぁそんなわけで、こうした諸々の対策を講じた上で今回この報告の場に赴いたユウであったわけだが...



〈あぁ。リンもたぶん聞いていたと思うが...やっこさん、俺の話だけじゃやっぱり納得してくれないみたいだからな。そこで、録画保存メモリーセーブで記録していた"あの"動画を流したいから、用意してくれ〉

〈は~い、分かりました~!〉



というやり取りから分かるように、先ほどユウが言っていたように『ユウやドーマの報告では、決定的な判断を下す場合、証拠が不十分』であるからだ。

 だがそんな状況下でも、ユウの中では既に対応策が用意されており、その策を実行するため今しがたリンに話しかけていたのだった。


 さて、そんなユウが対応策に使用するリモコンの機能だが......こちらも今回が初登場である、『録画保存メモリーセーブ』と呼ばれる機能だ。では、機能の説明をしていこうと思うのだが......まぁ実際にユウが使うところを見た方が効率上よろしいので、ここで説明するのは省くことにしよう。



「?どうかされましたか、グリ殿」

「いえ、何でも。では、今より証拠の方を提示するにあたり私の魔具の方を発動致しますが......よろしいですか?」



 目前のヴァイスが突然ユウの話が途切れたことに疑問を抱き、心配二割疑心八割くらいの声で話しかけてきた。彼としては、ユウの声の様子からして自身の発言が予想されていたことに対し、若干ではあるが難色を示しており、それもあって少しばかり話の続きを急かしてしまったのだ。

 そんなヴァイスの気持ちを知るはずもないユウは、ヴァイス並びにその場にいた参加者へ確認を取ると、心の中でリンに合図を送り、直後自身の右手へリモコンを顕現させた。


 この世界イリスにおいて、"魔具"というものは珍しいものではなく、また個人が自分専用オーダーメイドで所持しているということも別段おかしいことではない。だが、



「ほぉ、随分と変わった魔具をお持ちですね。見たところ攻撃...と言うよりも、何らかの現象を起こす類いのものですかね」

「フフフ、まぁそんなところです(結構鋭いな、この人...)。では...」



と、ユウの魔具...というかリモコンは、この世界では形状自体が異質であるため、ヴァイスからすると少々興味を引かれるものだったらしい。それでも、ヴァイスがそこまで驚いていないところを見ると、彼自身リモコンに似たような魔具を知っているのかもしれない。

 まぁ現段階においてそのことは別に重要ではないので、今後のお楽しみと言うことで...。


 さて、ヴァイスから自身の魔具に対し問いかけられたユウは、そんなヴァイスの勘に心の中で感嘆の意を示しながらも、できる限り声にはそれが出ないよう努め、同時にリモコンの機能『画面表示メニンドウ』を発動した。そして、



(『対象選択ジェクトチョイス』、対象は目の前に座っている四名とディラン様で)



とユウが心の中で念じると、ヴァイスを含めた王都からの調査団全員と、屋敷の主であるディランの目が赤いオーラで包まれ、それと同時に各人の視界へ半透明の画面メニューが表示されたのだ。



「な、何だこれは!?急に目の前に変なものg、...コホン。...これが、グリ殿の持つ魔具の能力ですかな?」

「えぇまぁ、そんな所です。ではこれより、当時の状況を『映像』として流すので、目の前に表示された画面をよく見てください」



 突如出現した得体の知れない物体に対し、初めは驚いていたヴァイスだったが直ぐさま落ち着きを取り戻し少しばかり間を開けると、まるで先ほどの驚いた自分を取り繕うかのように真剣な様子で、今しがた魔具を発動させたユウに問いかけた。そんなヴァイスだが、自身に向けて不可解な現象を起こされてにもかかわらず、すぐに通常の状態へと気持ちを切り替えられるというのは、良い意味で図太い性格なのかもしれない。

 

 さて、ヴァイスから問いかけられたユウであったが、彼はその言葉に対し曖昧な口ぶりで受け流すと、次の機能を発動させる。それは、『記録管理デマネージ』と『映像世界テレビジョン』の併用だ。



==========



記録管理デマネージ

 リモコンの機能の一つ。基本は同じくリモコンの機能である、『録画保存』によって"ユウが見た物全て"を記録及び保存していたり、『字幕表示エグテンス』を使い得た情報を保存していたりする。

 だが、同じくリモコンの機能の一つ『映像世界』を併用することで、新たな機能が発揮されるのだ。それが今回ユウが使おうとしているものであり、言ってみれば"本来のリモコンの使用方法"に還る機能である。


 ではその機能はというと、つまり画面に映るリモコンの記録を『鑑賞』することだ。


 正直、今までのリモコンの機能からするとかなり見劣りすることは否めないが、これは中々に奇特な機能である。というのも、この機能が秘めているチートな部分として、ユウが"思い出せない記憶"すらも再生可能であると言うところだ。

 本来人間の記憶というものは、現代科学を駆使しても『映像』という記録には中々残すことが出来ない部分である。だからこそ、文字や人間が喋る映像や音声で記録をしていくわけだが、それにも限界が当然の如く存在しているのだ。


 だからこそ、この機能が持つ本当に頭がおかしい能力は、ユウの経験して記憶と記録を "すべて" 保存しており、同時にそれを鑑賞出来るというものだと言えよう。



==========



 さて長々と機能の説明をしている間に、ユウが発動させた画面にて各人が、それぞれその異様さに当初は驚きの色を見せていたが、ユウの見た光景の一部始終が画面に映し出されることでその表情を真剣なものへと変えた。その様子は事情を知らない者からすると、複数名が何もない虚空を凝視しているように見え、少しばかり異様な雰囲気を醸し出している。




 それとは反対に、ミミ村の一件を経験しているドーマとゼブの騎士二人、ディスパーを始めとした冒険者三人とザルバ、そして



「皆様、デンチム茶のおかわりはいかがですか?」



と話しながら、自身の手に持つティーポットを差し出し、各人へ勧めているリーリエがいた。

 この七人がユウの"対象選択"から外れた理由は、ユウ一行の六人は既に飢餓狼について事情を知っているためであり、リーリエはメイドであるため今回の件の映像を見せるほどでもないとユウが判断したからである。

 

 しかし、そんなユウの配慮のせいで...



「ありがとうございます、リーリエさん......こう言うのも何ですが、暇ですね」

「あぁ、確かに...まぁ、事前にユウから伝えられていたわけだが、実際にやられると落ち着かない感じはするな」

「そうですねぇ...」



...とまぁ各人が、文字通り"蚊帳の外"状態に陥ってしまったため、若干気まずい状況になってしまっていたのだ。彼らの様子は、VR映像を体験している人を見ている外野のようであり、気持ちを共有できないことで、どうやら何ともいえない心持ちのようである。


 ちなみにリーリエが言っていた『デンチム茶』とは、人間族領の南側で栽培されている"ルピ"という植物の葉っぱを、ウーロン茶のように半発酵を用いた製法で茶葉にして、最後はできる限り低温のお湯で入れるお茶だ。大体六十度くらいらしい。



 しかし実際の所リーリエを除く六人からすると、ユウが自分たちに例の映像を見せなくて良かったと思っていた。というのもその時の光景と言えば、百体ほどの飢餓狼とその後に出てきた何体もの魔物や魔獣。いくら過去の出来事であったとしても、そう何度も見たいものではないだろう。

 グランからすると、自身が死の危険を感じ必死に逃げた相手、ザルバからすると、思い出すのがツライ光景で、かつ後悔と自責の念で潰れてしまう恐れがあったからだ。


 まぁユウが、そんな自分以外を気遣えるほど心の余裕があるわけないので、お・そ・ら・く!...偶然たまたま思いがけない星の巡り合わせが偶発的に起きてしまい、どういうわけかユウが思いやりのある人間に見えているのかもしれないがし・か・し!......ユウにはそこまで考える要領の良さはないので、騙されないように!



 さて、そんなどうでもいいことはお・い・と・い・て、...現在ユウが見せている映像は、『飢餓狼の群れ』、『操られているザルバ』、『主犯であろうレビア』、『操作していた魔物の寄生蜘蛛パラパイダー』などの事件の実体と証拠映像である。

 そんな証拠映像を見ながら、会議室の時間は少しずつ進んでいく...。



申し訳ありませんが、今後は一ヶ月一話のペースになりそうです...。読んでくださる皆様、本当にごめんなさい...。

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