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異常なリモコン片手に放浪旅 ~主人公は主観的で感情的~  作者: アヤミ ナズ
魔人族の大陸:スローム王国ウィース編~上~
51/64

No.045 気になることと意外な繋がり

お待たせしました。久しぶりの投稿です。



「...というわけで、結果的に実行犯である輩は取り逃がしてしまいましたが、飢餓狼の群れに関してはこちらにいる者達も含めた大勢の冒険者達に協力して貰ったこともあり、どうにか鎮圧には成功しました。しかしながら、未だに警戒するべきと考えたジルト隊長は引き続き森の監視を強化すると共に、森そのものの調査も行っています。

 私とこちらのゼブも、報告が終りましたら直ちに村へと戻り、隊長の指揮の下任務に加わる予定です」

「...なるほど。

 いや、詳細な説明をわざわざさせてしまって済まなかったな。私としてもその件については既に王国から許可が出ているので、その"レビア"なる者に対し指名手配の制を適用しつつ、この街でも念のため注意を呼びかけるよう取りはからっている。ご苦労だったな、ドーマ」



 先ほどのやり取りが一段落すると、ディランは開いていた一人用のソファーへと座り、ドーマから今回の件に関する詳細な報告を聞いていた。ディランとしては二日前に一度送受箱にてジルト自身から連絡は受け取っていたのだが、やはり直接聞いておきたいと思ったのか、こうしてドーマから報告を改めてして貰うと共に、待ちの近況を伝えたのだ。


 そんなディランは、ドーマとの会話が終った辺りを見計らいそれ以外の人物達を見渡すと、最初に



「それで?何か私に言いたいことでもあるのかな、ユウ・アサヒ?」



と、自身のことを随分見てくるユウに問いかけた。実際ユウは、ディランのことを見ていたかと思ったら、ディランと目が合いそうになると目をそらすという行動を繰り返していたのだ。

 そんな様子をなんとなく目の端で捉えていたディランは、ドーマと話している最中だいぶ気になっていたため、多少興味を持っていたユウに話しかけるきっかけとしてそんな言葉を投げかけたのだった。


 ディランから自身の行動を見破られていたユウは、



「え!あ...そ、その......実は...」



と慌てながらも、先ほどの行動の理由を述べる。その理由とは、1つ目が何故ディラン自身がこの部屋に自ら赴いたのかということ。もう一つは、サーシャが抱える問題『袋猿』について、何か手助けをして貰えないかという頼み。そして、



「それで、実はディラン様のお顔を最近見かけたような気がするのですが......いえ、なんでもありません...」



と、ディランと対面してからずっと記憶の端に引っかかっていた疑問を口に出そうとして、止めた。何故ユウが最後そんなことを言ったのかというと、ディランの顔が多少の違いはあれど、ユウの記憶しているとある人物にそっくりであったからだ。

 ユウからの質問に若干考え込む仕草をしたディランは、「まぁ、最後のは置いておいて...」 と前置きすると、ユウの疑問に答えてくれるようだった。



「まず私がこの部屋にきたのは......まぁ、そこまで深い理由ではない。偶々この部屋の前を通りかかったので、一応客人に挨拶をと思ってこうして尋ねたのだ。それに今回の一件に関して、ユウ。君の使った技の数々には興味を持ってね。それも含めて、こうして君らがこちらに来たと同時に訪ねてきたというわけだよ」

「な、なるほど。私の使った技、ですか...」



 ディランからの返答にユウは内心、どうやって話を繋げようか迷っていた。それというのもユウがあの場にて見せた技と言えば、上級魔法の複合技や称号の能力辺りだが......前者はいいとして、果たして後者を話しても良いものなのかが微妙であったからと言えるのだ。


 確かに称号を持っている者は少なからず居ると言うこと自体ユウだって知ってはいたが、果たしてそれを現段階で明らかにしてしまってもいいものだろうか、というのがユウの考えである。称号とは名称よりも希少であるが故、その行使できる能力が非常に高いという特徴を持つ。

 よって安易に広めれば、ユウ自身今後の行動に支障をきたすと考えていた。実際今回の件に関しても、ある条件を国の調査団側に呑んで貰い、それによってユウの正体をあやふやにすることが出来ると算段を立てていたのだ。



「ご興味を持って頂いたのは大変嬉しいのですが、おr...私としては」

「あぁ、話しにくいのであれば普通にして貰って構わない。どうせ正式な場ではないのだ、そこまで硬くなられてはこちらも居心地が悪いのでな」


「そう、ですか。では、改めて......僕としては、あの場にて確かにそれなりに強い能力を行使しましたが、それでも撃退に成功したのは他の皆さんがいてくれたからです。技に関しては......まぁ、名称に魔術士がありますのでそれなりに強い自負はあります。

 ですがそれだけで、特別何かに秀でているわけではありません」

「...なるほど、魔術士をそれほどでもないと言い切るか......まぁ、それはいいとして。そのレビアとか言う輩が使役していた『腐食黒狼コロードウルフ』の攻撃を完全に防いでいたようだが、その時はどうやったのだ?聞くところによると、随分強固な結界魔法であったらしいが......」



 ユウからの返答に頷きつつも、ディランは最後にユウが見せたという出来事の中でも、一番気がかりなことを聞いた。それは、ユウが結界魔法を見せたという事実ではなく、それを使った相手に関してである。


 光魔法から派生する結界魔法。この魔法は基本として、防御を行うための魔法であり、その強度は『使用者の魔力量×魔力操作のセンス』によっていくらでも増していくのだが、それは単純な攻撃に対してであり、とある能力に対してはかなり脆いのである。

 その能力が『分解』を保有する能力だ。


 ユウは現在でも腐食黒狼の能力、蝕む牙(コロプトファング)の本来の能力は対象を腐敗させるだけのものだと思っていた。実際向けてきたレビアや忠告してきたセリアもそう言っていたこともあり、ユウは勝手にそう思い込んでいたのだ。

 だが実を言うと、腐食黒狼の能力『蝕む牙』はそれだけが全てではなく、寧ろそれ以上の力がメインであると言える。それは



「本来であれば、通常の結界魔法は腐食黒狼に通用しないはずだ。確かに魔導士並みの者ならば防げるとは思うが、それ以外だと黒狼の能力によって魔力が霧散してしまう」

「えっ?......そ、そうなのですか...」



というディランからの説明通り、腐食黒狼の能力の本質は分解...それも魔力そのものの分解にある。

 腐敗とはつまり 『対象を腐らせる=分解する』 という効果を発揮するため、腐食黒狼は確かに噛むことで腐らせることが出来るのだが、それに加えて魔力の分解(分散)が出来るのだ。

 だがそれもディランが言ったように、魔導士並みの能力を持っていたり、腐食黒狼の分解力すら耐えきれる能力の行使が出来たりすればいいのだが......ユウは先ほど自分で 『名称に魔術士がありますので』 と言ってしまい、完全に言い訳が出来ない状況に陥っていた。


 だからこそユウはディランからの説明を受けて、今のような言葉しか出せなかったのだ。と言うのも、先ほどの言葉を訂正し"自分は魔術士です"と言ってしまえばつじつまは合うのだが、それではユウの性分である『目立たないように旅をする』という目標が叶わない(確実に国単位で目を付けられるから)。

 一応ユウの中ではそれ以外にも言い訳ストックは存在するようだが、目の前にいる人物は仮にも一つの領地を任されているトップの人間であることから、自分なんかの悪あがきが通用するとはユウも思っていないようで、最終的には黙り込んでしまった。



「...ハァ......まぁ、よい。この話はこれで終りにする」

「ッ......ありがとう、ございます...」



 若干気がかりな部分は残りながらも、今のユウの辛そうな表情から何かを悟ったディランは、深く追求することは諦め一度話を切り上げたようだ。

 ユウはその厚意に感謝しつつも、今のディランのように以前もこうして自分ユウの事情を受け入れ、ユウ自身の意思を尊重してくれた人物がいたなぁ、と感じていた。しかし、



(いくらなんでも、領主と国軍の騎士じゃ繋がりは薄そうだもんなぁ...)



と心の中で自己完結しており、特に気にすることなくディランの話の続きを聞くことにしたようだ。

 そんなユウの内心を知ることのないディランは、ユウからの質問の2つ目について答える。



「では、袋猿についてだが......ちなみに、なぜお前がそんなことを聞く必要があるのか聞いてもいいか?」

「はい、実は...」



 ユウからの質問に答えようとしたディランであったが、ふとユウが何故そんなことを気にするのか気になりユウに事情を聞くことにしたようで、問われたユウもすぐにその理由を述べることにしたのだった。

 流石にサーシャの名前を本人の許可無しに出すわけにもいかないので、ユウは『冒険組合からの依頼にあって、少し気になったから』ということにし、ディランには悪いが騙す形を取ることにしたようだ。


 ユウ本人は若干罪悪感を抱いていたが、そんなことなど知らないディランはその内容に納得したようで、



「なるほど...もう既に依頼という形になるまで被害が広がっていたのか......これは早々に解決しなければな...」



と呟くと共に、顔をしかめていた。それでもディランはすぐに表情を元に戻すと、現在の袋ざるのことについて話し始める。

 その内容を簡略化すると、『ウィースの方でもそちらに対する対策は行っており、現在治安維持担当の者を筆頭に袋猿の捜索及び捕獲にかかっている。今のところ目立った情報はない』とのことで、既に袋猿の対策は行っていることをユウに伝えた。


 その内容を聞いてユウは、(これならサーシャも納得してくれるかな...) とこの後話す相手への報告は出来ると安心しつつ、これなら自分が協力しなくても大丈夫だと胸をなで下ろしていた。

 おそらく大多数の人間からは 『それはいくらなんでも冷たいのではないか』 と感じられるであろうユウの考え方であるが、これにはちゃんとユウなりの信念や価値観に基づいた理由が存在する。

 


==========


 1つ目は、ユウの固定観念として犯罪は国に任せた方がいいという考え方だ。

 法治国家で育ったユウは、法律に違反したものは国が責任を持って解決するべきであると考えており、一般人である自分が取りかかる事柄ではないと思っているのだった。

 基本スタイルとしては『餅は餅屋』的感覚であると言えるだろう。


 2つ目に、ユウはあくまでもただの人間である。

 確かに能力やステータス的に見ると一般のそれよりも上かもしれない...が、それでも知能や考え方、頭の回転率などはそれこそ半端者でしかない。そんな人間が易々と他人の願いを聞いて叶えられるだけの器量など持ち合わせてはいないのだ。

 助けるという行為は責任を肩代わりする、もしくはその全てを負う必要がある。だが今のユウにはそれらを負う覚悟も、それらを成し遂げる自信も無かった。だからこそユウはサーシャからの頼みだとしても、安易に引き受けることが出来なかったのだ。

 

 ユウが嫌いなのは、助けると言ったのに結局何もかも中途半端に終って、責任を一切果たせなくなることであった。日本にいたときも、そんな自分が心底嫌いであったことが原因なのだろう。


==========



「とまぁ、現段階ではこれと言って新しい情報もないが、すぐにでも安心して過ごせるようになるだろう。だから、そこまで警戒しないで欲しい」

「そうですか......僕としましても、ディラン様からそう仰って貰って安心しました。どうか、よろしくお願いします...」



 ディランからの話を聞き袋猿に関しての近況を把握したユウは、ディランに礼を言いつつ内心でサーシャにどう言おうか考えていた。正直なところ、ユウも彼女のことを助けてやりたい気持ちがないわけではないのだが、どうしても引き受けられるだけの度胸がなかったのだ。

 だからこそ、こうしてディランに掛け合い、可能ならば袋猿への対策を打診しようと考えていたのだが、結果的に杞憂であり、ユウとしては満足であった。


 さてそんな一安心していたユウにディランが、



「では最後に、私の顔をユウが見覚えがあると言ったことに関してだが...」



と言って、口を開く。だが言った本人であるユウはそのことを完全に忘れていたため、一瞬何のことかよく分からない様子であったが、ディランが言った内容を振り返り 「(そう言えば...)」 と思い出すと、ユウの方からも話し始めた。



「いえ、先ほどの言葉は忘れてください。よくよく考えてみればいくらなんでも繋がりがないし、関連性がないのでおそらく気のせいでしょう」

「まぁそう言うな。別に私が話したいから話すだけなのだから、お前が気にすることではない」



 ユウとしては、わざわざ時間を取らせてまで話すようなことではないと考えディランに遠慮していたが、彼としてはそんなユウの心情をくみ取ってくれたようで、ユウが気に病まないように気を使っていた。

 そんなディランの気遣いを察したユウは、



(そんな所も似てるんだよなぁ...)



と心の中でまるで苦笑いを浮かべるような、呆れとは全く違う何かに対する何処か安心感のある気持ちを抱いていた。そんなユウの考えはまさに当たっていたようで、ディランはその先の言葉を放つ。

 それは



「お前が会ったミミ村防衛隊長のジルトは......私と年の離れた兄の息子...つまり『甥』だ。だから、顔が似ているのは仕方がないのかもな」



と言う内容であった。

 中々に衝撃的な一言であったが、なんとなく予想をしていたユウや事情を知っていたであろうドーマ、そしてある程度その辺りの情報を持っていたであろう年配のディスパーは、特に大げさなリアクションを取らなかったが......彼らを除いた他四名は、



「「「「えっ!!?」」」」



と、まさに信じられないものを見たといった感じで各々の表情を驚きの色に染めていた。

 そんな四人を余所にユウは、



「(なんとなく予想はしてたけど......マジですか、ジルトさん...)」



と、四人ほどではないにしろ、やはりというかなんというか...十分驚いており、同時にジルトに対してつっこみたい衝動がわき出してきたのだった。





==========


『ミミ村の何処かにて』


「ぶえくしょいっ!!」

「おわっ!!...って、どうしたんですか、ジルト隊長?」

「あ?...いや、何でもねぇよ。どうせ誰かが俺の噂でもしてんだろ」

「...ハァ...?」

「......よし、ガルシオ。てめぇ、後で特訓に付き合え。...もちろん、真剣ガチのやつだからな?」

「ちょっ!?俺まだけが人ですよ!?そんなの無理にきまっt「黙れ」...ウッス...」



==========





「とまぁそんなわけで、あいつ自身兄...自分の父親と色々あって、現在の国軍の騎士という立場に就いているというわけだ」

「はぁ...なるほど...」



 ディランからジルトのことに関して軽く説明を受けたユウは、先ほどの話とジルトという男の性格を照らし合わせ一人納得していた。ディランが話した内容とは以下の通りである。



==========


 ジルトは元々中級貴族の一つ『レイモンド家』の正統な後継者である"ジェイド・シエス・レイモンド"の三男である。レイモンド家は元々人間族アビスの大陸にある国の出身であったが、様々な事情によりこのスローム王国へと移り住み、ジルトもその辺りで生まれた。

 そんなレイモンド家だが、当主のジェイドは六十を超え既にウィースの領主及び後継者を弟であるディランに譲っている。そんなジェイドは現在スローム王国の王都『エバラス』にて、随分と早い隠居生活を送っており、あまり政治には関与してこない。


 さてそんなジェイドの息子達(ジルトも含めた)は、長男は王城勤務、次男は生産省に就いていのだが、肝心のジルトはご存じの通り、村の防衛騎士隊長という随分と差があるところ任務に就いている。通常貴族の子息や息女は成人(この世界では十六で成人)になるまでの間で自分の就きたい職を定め、それに向けての勉学に励み、その蓄えた能力に応じた任へと就くことが出来るのだ。

 そしていくら貴族であろうと、能力が満たされていなければ希望するものであったも就くことが出来ず、家からも疎まれてしまう。この世界では、身分や地位が存在したとしても、国認職等の制度があることから最終的な判断は個人の能力で決まってくるのだ。


 話が逸れてしまったが、そんな貴族の子息であるジルトは幼少の頃から非常に活発な性格であり、勉学よりも身体を動かす方が好きな子供であった。よって彼はあまり政治や役所などの堅苦しい職は好きではなかったようで、身体を動かせてなお且つ縛られない職に就きたいと考えるようになっていたのだ。

 そして、中級貴族の中ではかなり珍しい『騎士』という立場を取り、現在の所に落ち着いたのだった。


 ちなみに何故ジルトが未だに隊長という任にいるのかというと、本人曰く『上に行けばいくほどやることが増えるから』だそうで、これと言った野心的なものは存在しないからである。


 そんなジルトだが、父親であるジェイドと騎士になることに関して何回か衝突があったらしく、今では父親どころか兄たちともあまり連絡を取っていない。

 まぁ、その話は機会があればいずれ話すとして...


==========



「まぁその話は置いておいて......ドーマ」

「?いかが致しましたか、ディラン様」



 暫くの間話し続けていたディランであったが、一度話が途切れた瞬間を見計らって今度はドーマに話を戻した。話しかけられたドーマは一瞬疑問符を浮かべたが、すぐさま平常に戻りディランからの話に耳を傾ける。

 ドーマがそうしたのを確認するとディランは話を続けた。



「あぁ、実はこの後王都からの調査団へ報告が終ったら、そこにいるユウを連れて私の部屋に来て貰えないか?」

「はい、わかりましt......ユウも、ですか...?」



 ディランからの問いかけに特に何の躊躇いもなく二つ返事で了承しようとしたドーマであったが、ディランの言葉の後半部分を思い返し、再び頭の中に疑問符が浮かんだ。ドーマとしては自身の上司のような存在であるディランからの言葉に逆らうつもりはないが、何故ユウも一緒なのかが分からなかった。

 そんな状態のドーマを見てディランは、「まぁ理由は後で話すから、取りあえず連れてきてくれ」と言って、強引に押し切りドーマからの問いかけは受け付けない様子である。

 

 そんなディランに対しドーマは、



「...畏まりました」



と短く返すと、話が終ったことを感じ取ながらも、若干もやもやした感情を抱きながら口をつぐんだ。

 そんな光景を見ていたユウはディランに理由を聞こうとして口を開けようとしたが、



「...皆様。王都からの調査団が到着されましたので移動をお願いします。ご主人様もどうかご一緒にお願い致します」



という、数時間ぶりに響いた凜とした声により遮られたのだった。その声の主はメイドの"リーリエ"と呼ばれた女性で、彼女曰くどうやら王都からの団体が到着したようである。

 ユウはそれを理解すると、開きっぱなしの口を閉じ、ディランの言葉の意味を聞くのは諦め、周囲の人物達同様に移動の準備を始めた。



 準備が終った一同を眺めたリーリエは扉を開け、屋敷の主であるディランを先に通すと、



「では皆様、ご案内致しますので付いてきてください」



と言って、一同の先頭を歩き、目的の部屋まで案内をするようである。ユウたちはリーリエの後に続いて部屋から出ていき、廊下に出た。



「ん、ん~~~......っだぁ~...漸くお偉いさんの到着か。...随分と待たせてくれたな...」

「グラン、そういうのは思っていても口に出すなよ。もし聞かれてたら、相手さんお冠だぞ...」



 慣れない空間でずっと座りっぱなしだったグランがそんなことを言うと、その発言に対し年上のディスパーが注意した。その言葉にグランは「まぁそれもそうですね。すんません...」と少しばかり反省し、すぐさま表情を真面目なものへと変えたが、どうやら王都からの調査団に対してグランとしてもかなり緊張しているようだ。


 だがそんなグラン以上に不安になっている者がいた。それが、



(覚悟、決めねぇとな...)



と心の中で決意したものの、やはり不安感はぬぐえないザルバである。それもそのはず。今回の報告の結果次第で彼の今後が左右されるのだから、不安になるのは当たり前であった。

 そんなザルバの考えを彼の雰囲気から察したユウは、



「(...よしっ!!)」



と、静かに意気込むと、懐から何かを取りだした。ユウは"それ"を顔に付けると、再び歩みを進め一同に付いていく。

 そんなユウの変化を最初に見つけたのはグランで、彼はユウの顔についているものを見ると、



「おい、ユウ。その面、なんだ?...メチャクチャ不気味なんだけど...」



と、ユウの付けたものに頬を引きつらせながら聞いてきた。何故グランがそんな風に言ってきたのかというと、ユウの付けた"もの"に原因がある。

 ユウの付けたものは所謂地球における顔全体を覆った『お面』であり、その作りはまさに



「あぁ、これですか?これは、俺の住んでいたところで有名な『般若のお面』ですよ。どうです、格好いいでしょ?」



というユウの言葉から分かるように、それは......般若であった...。






【王都からの調査団への報告まで、あと僅か】

 



というわけで、ユウが何故お面を付けているのかは次で分かります。

それと、今後こんな感じに投稿が"ドーン!"と空いてしまうことがあり得ますが、頑張って書いていくのでこれからも応援してください!

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