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No.004 異世界魔法とユウの決意

前回の続きです。


「なるほど、この世界にも神様はいるんですね。それに、俺の居た世界では考えられないような種族ばかりで、面白そうだ...。

 ...そうです、ジョンさん。この世界の言葉はどれくらいあるのですか。生活していく上で、かなり重要なことになるとは思うのですが。」

 


 そうして、この世界のおおよそのことについて話し終えたジョンに、ユウは続けて質問した。



「あぁ、言語に関しては各大陸で1~3つ、亜人族に関しては10以上の言語になるな。」

「そ、そんなにあると、覚えるのに早くても十年以上はかかりそうですね...。」

「ん?...あぁ、そのことに関しては心配いらないだろう。話していなかったが、こちらに召喚するにあたってユウには、リーズが記憶している言語のすべてを付与したからな。こう見えてリーズは、各大陸の言語を理解しているのだ。意識せずとも、無意識に相手に対応した言語で話せるようになっているはずだ。

 ユウ自身薄々気づいてはいただろう?私たち二人と、ごく自然に会話していたのだからな。」

「...まぁ、そうですね。ただの偶然だと思っていましたが、リーズのおかげだったんですね。

 ありがとう、リーズ。」



 この世界の言語と今のユウの状態について説明したジョンの言葉を聞いて、ユウはリーズへと感謝の言葉を述べた。

 


「いや、感謝なんてもったいないよ。だって、こっちが連れてきたんだからこれくらいしないと申し訳ないもん。

 それに、最初に出会った相手と何も話せないと困っちゃうし、ユウ自身もその方がいいでしょ?だから、そんなに気にしなくてもいいよ。」

「そうか。それでも、そこまで気にかけてくれたんだから、本当に、ありがとう。」

「...うん、どういたしまして!」

 


 こうして言語のことに関しては、ひとまず解決した。

 次に、ユウはずっと気になっていたもう一つのことについて質問した。



「では次に、ずっと聞きたかったことなのですが、先ほどの召喚魔法や抜魂魔法のように、この世界には魔法が存在するようですが、それはどういったものなのですか?」

「ん?

 そうか、ユウの居た世界には魔法自体を使うことができないから、そもそも"魔法を使う"という概念が存在しないのか。」

「えぇ、空想の中での魔法なら元の世界にも知識としては存在しましたが、実際に使うとなると俺の知る限り、歴史上残っていませんね。」

「うむ。

 では、こちらの魔法というものについて説明しよう。」


==========


 魔法とは、一部を除いて、すべての生き物が内包している"魔力"を、現象へと変化させ、それらを行使することを指す。


 魔力とは、すべての生き物の体内にある、"核"と呼ばれるところに蓄積されているエネルギーのことである。この核は、個々によって魔力の積載量が変わっており、基本的に先に述べた複数の種族と、魔物や魔獣の方が核の積載量が大きく、その他の生き物はほとんど魔力を持たない。従って、種族の中でも、通常の生き物と人間との間の存在である、獣人族や亜人族の一部は、核の積載量が多種族よりも小さい。


 その代わりなのか、身体能力は他種族よりも非常に高く、さらに種族特有の魔法を持っているのである。それもあって、その他の種族とも対等レベルの存在になっているのである。


 ちなみに、最も核の積載量が大きい種族は竜族だが、個体数が非常に少ないため、あまり比較対象にならない。だから、個体数が多い種族の中で言うならば、人間族より魔人族の方が大きいといえる。

 そうすると、人間族が多数種族の中で取り柄がなさそうに感じるが、それはこの後に説明する内容で、ある程度考えが変わるだろう。


 さて、では実際にどんな魔法が存在するのか。

 まず魔法は、大きく種類が2つに分かれる。それは、"自然魔法"と"無属魔法"である。

 自然魔法は、直接自然の現象に働きかける魔法で、基本の、火・水・風・土の4つがある。そこからそれぞれの魔法はさらに派生していき、

 

 火魔法は、熱と爆破。水魔法は、氷結と液体。風魔法は、気体(ガス)と音。土魔法は、鉱物と重力。

 

 といった具合に、分かれていくのである。ちなみに、各属性を掛け合わせることで、全く違う新たな魔法が発動できる。


 例として、水と風で雷魔法、風と土で振動魔法などだ。しかしこれらは、複数発動ができる者でないとそもそも発現もできず、魔力操作に長けてないと失敗に終わるため、かなりの鍛錬が必要となる。よって、行使は大変難しい。


 続いて、無属魔法だが、これは自然の現象と言うよりは、人工のものや生命に直接関わるような魔法であり、自然魔法とは対の存在と言える。種類としては、光・闇・物理・干渉の4つである。当然、無属魔法もそれぞれが派生し、


 光魔法は、回復と結界。闇魔法は、腐敗と魂魄。物理魔法は、強化と生成。


と、ここまでは一緒だが唯一、干渉魔法だけは複数の魔法の総称であるため、上記のようには派生しない。魔法としては、精神・空間・時の3つで構成されている。さらに、時魔法に至っては使える者がほとんどおらず、資料もあまり多くはない。

 

 そのため、一種の古代魔法のような存在になっている。ちなみに物理魔法は、人間族が大昔に生み出したと言われており、実際人間族は多種族に比べ物理魔法の行使に秀でている。そのため、物理魔法の中の強化魔法により、多種族との差を埋めているのだ。

 

 まとめると、



 『自然魔法』        

「火魔法」(熱・爆破)    

「水魔法」(氷結・液体)  

「風魔法」(気体・音)    

「土魔法」(鉱物・重力)


 『無属魔法』

「光魔法」(回復・結界)  

「闇魔法」(腐敗・魂魄)

「物理魔法」(強化・生成)

「干渉魔法」(精神・空間・時)



 と、こんな具合になる。さらに、それぞれの魔法にはレベルが存在し、下から、下級魔法、中級魔法、上級魔法とされ、熟練者だとさらに上位の超級魔法まで行使できる。ちなみに、複数同時発動の魔法は上級魔法からである。


 最後に、核にためている魔力の補充の仕方だが、基本的に十分な休養や食事を摂れば回復はされる。その理由は、大気中に含まれている魔気や、大地の至る所にある魔鉱脈から無意識に魔力を取り込んでいるからである。そうやって、すべての核を持つ生き物は、魔力を補充している。


 しかし、場所によっては魔気の少ないところや魔鉱脈の存在しない空間があるため、どこでも出来るわけではない。

 

==========



「以上が、この世界の魔法の大まかな知識だ。一度に話すと記憶の整理が付かないからな。どうだ、何か質問はあるk...」

「ん、どうしたの?」(めっちゃワクワクして、目がキラキラしてます)

「...う、うむ。どうやらかなり興味津々のようだ。あまりに興奮しすぎて、私に対する口調が変わっているな。」

「...あ、すみません。いや~、すっごく面白そうな話だったので、つい口調が変わっちゃいました、失敬。

 ......フゥ」

  


 そう言ってユウは、高ぶりすぎた気持ちをいったん落ち着かせて冷静になり、先ほどの話を聞いた上で、どうしようかと考えた。そして、



「...ジョンさん、もし魔法がうまくなりたいなら、どうすれば良いですか?」

「ん?別に、魔法がそこまで上達していない者でも、こちらの世界では十分に快適な生活を送っている者はいくらでもいるぞ。うまいに越したことはないが、生活上そこまで必要にはならないはずだが。」

「いえ、ただ生活していくだけはなく、先ほどの話を聞いて俺は、この世界を見て回りたいと考えたんです。元の世界では、絶対に味わえない体験をできるチャンスがあるんだから、手放したくないんです。

 それに話を聞く限り、俺の元いた世界のように安全なところがあるとは限らないですし、できるだけの準備はしておきたいんです。」



「...確かに、この世界には魔獣や魔物といった、人を襲う存在がいる上、旅をするなら、険しい道程を歩まなければならないからな。それ相応の準備は必要だ。」

「えぇ、

 ですので、魔法の使い方と上達方法、それに旅をするための肉体強化をお願いしたいのです!」



と、ユウは自分の考えていたことをジョンに伝え、鍛えて欲しい旨を話した。するとリーズが、



「そっか、ユウはそう考えたんだ...。......やっぱりね(クスッ)」

「ん?やっぱりって?」

「...ううん、なんでも無い。それより、魔法の上達と肉体強化だよね?

 肉体の強化はわたしじゃ教えられないけど、魔法なら任せて!これでもわたしの使う魔法は、ほとんど超級以上だから!」



と、自分が教えようと乗り出した。



「え、いいの?言っといてなんだけど、面倒じゃない?」

「そんなことないよ。元々、ユウがこの世界で生きていくために協力するって約束したし、何よりユウがそれを望んでいるんだから、面倒なことじゃないよ。」

「...そうだな。ユウが、自分のしたいことのために力を必要とするのならば、私もできる限りのことはしよう。そうだな、リーズが魔法を教えるのであれば、私はユウ自身の身体能力を鍛えよう。」

 


 そう言って、リーズとジョンはユウの鍛錬に協力することを約束した。



「二人とも...、...ありがとう。

 それじゃあ、これからしばらくはよろしくね。」



 「うん!」「うむ。」

 


 こうして、ユウの特訓は始まろうとしていた。しかし、



「それじゃあ、まず何から始めようk」

「あぁ~、ちょっと待ってユウ。」

「ん?どうしたの、リーズ。」


「いや、鍛錬するならもっといい場所があるから、そこでやろう。」

「へ~、どんなところ?」

「う~ん、今は言えないけど、絶対強くなれるところだよ!」

「...なんか、すごく怪しいけど、まぁいいよ。強くなれるなら、たいていのことは我慢するし。

 じゃあ、行こうか。」

「...うん!」

 


 リーズの明らかに怪しい提案に、とりあえずは賛同し、目的の場所へと赴くユウであった。

 この後、ユウを襲う悲劇を知るのは、提案者のリーズと、その後ろでユウに対し同情の眼差しを一瞬向けたジョンだけであった。


 何はともあれ、3人はユウが特訓を行う場所へと向かっていった。  

 

はい。次から漸く特訓に突入です。

少し違和感があったかもしれませんでしたが、どうかご理解ください。

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