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異常なリモコン片手に放浪旅 ~主人公は主観的で感情的~  作者: アヤミ ナズ
魔人族の大陸:スローム王国ミミ村編
39/64

番外その2(1/2) とある男の再スタート

今話はザルバの視点です。

若干長くなったので二つに分け、後半分は一時間後に投稿します。



 今は"あの"一件が解決してから一夜が明けた頃。現在俺はある部屋にいる。...いや、いると言うよりは "入れられている" という表現が正しいか...。



「まぁ、当然の結果だろうなぁ...」



 俺はそんな独り言を呟いていた。周りを見渡せばベッドとテーブル、椅子が二脚、そして扉。それらに加え窓らしきものがある。...が、恐らく俺の動向を監視するためのガラスであろうことが既にバレバレであった。


 正直俺のやったことを全て白状した時点で良くて牢屋。最悪国に速攻で送られて、裁判にでもかけられた後は犯罪者の烙印を押されて殺されてもおかしくなかったかもしれない。


 言い過ぎに思うかもしれないが、それだけのことを俺は"やった"...。


 そんなことをベッドに寝転がりながら考えていた俺にその男は突然やって来た。



 "ガチャ"

「ん?」



 ノックもなしに扉が開かれ(まぁ、当たり前か...)、そいつはずかずかと入ってくると、



「はは、随分血色が良くなったなぁ。正直言って昨日会ったときは、死体と喋ってるかと錯覚するくらいひでー顔してたぞ?」



と言いながら、俺がベッドに寝転がっているのを苦笑しつつテーブルに腰掛けた。......てか、座るんなら椅子だろうが...。



「なんだそれは。もしかして、そんなんでボケてるつもりか? "ガルシオ" 」

「いや~、実はこの椅子には仕掛けがあってな?座ると突然 "ギョエェエエエエエ!!" って音がするようになってんだよ。そんな仕掛がしてあんのに座るようなバカじゃねぇよ、俺は」



 そう言ってガルシオは椅子の裏へと手を伸ばし何かを操作すると、テーブルではなく椅子に腰掛けた。どうやらその"仕掛け"とやらが発動しないようにしたらしい。



「そんなもの用意してる時点で十分バカだから心配すんな。(...座んなくて良かったぁ~...)」

「まぁそう言うなって。というかザルバが座って驚かなきゃ用意した意味ねぇっての...」



 ガルシオはそんなことをブツブツ言いながらもその表情を真剣なものへと変えていった。...どうやらなんか話があるから来たということが分かるが、正直話しづらい...。なぜならば...



「...で、襲いかかってきた相手がいる部屋にたった一人で入ってくるとか、少し不用心じゃないのか?」



と若干皮肉を込めて俺が言ったように、俺"ザルバ"は今目の前にいるガルシオという人物を襲った。......一応補足しておくと、あくまで"斬りかかった"という意味でそれ以外の意味は無い...。


 とまぁ、そんな俺からの言葉を受けてガルシオはその表情を苦笑いへと変えて、



「まぁ、な。実際あのとき受けたやつ、メチャクチャ痛かったぞ?

 正直もう少しズレてたら出血量が尋常じゃなくて危なかったかもしれないって、回復魔法かけてくれた生真面目副隊長さんが言ってたわ」



と、恐らく傷を負ったであろう箇所を手で押さえながらそんなことを言った。

 どうやら未だに痛みは残っているらしく、その表情はどうしても作ったものにしか見えなかった...。



「その......本当にすまなかった...。こんなことをしてしまって、正直どうやって償えばいいのか、バカな俺には見当がつかない...」

「...」



 俺がそう言うとガルシオは黙ってその言葉を聞いていた。実際こうして謝るのはもう軽く十回は超えているだろう......が、今の俺にはこんなことしかやることがない。...ホント、どっちがバカだよ......クソッ!



「まぁ、結果的にどっちも無事で良かったじゃねぇか。実際こうして俺らが話せてんのはユウがいてくれたからだしな...」

「ユウ?......あぁ、俺の脳に寄生していた魔物を取り除いてくれた奴か...。そういえばまだちゃんと礼は言ってなかったなぁ...」



 ガルシオから発せられた言葉を聞き、俺はあのときのガキのことを思い出していた。



(...いや、助けてくれた恩人に向かって"ガキ"はねぇよな...)



 俺はそう思い直して、ガルシオに一つだけ聞くことにした。



「...なぁ、ガルシオ。幾つか聞きたいことがあるんだが、いいか?」

「ん?なんだ、突然...」



 俺からの唐突な質問にガルシオは若干眉をひそめながらも、俺の方を向いて真剣に聞いてくれるようであった。

 そんなガルシオに対し俺はまず、



「今後の俺の処遇はどうなっているんだ?」



と、今一番気になっていることを聞いた。

 流石に国への報告が終っているはずであるし、その際に何らかの通達は来ているだろう。恐らく国としても今回のような大規模な魔物の群れの発生は看過できるものではないはずだし、そのときにどうやっても俺の存在は話さなければならない...。

 パーティーメンバーを殺し敵の意のままに操られた挙げ句、騎士の一人に重傷を負わせたんだ。現状のままですむとは思えない。



「あぁ、そのことか。それならまだ具体的な連絡は来ていない。

 どうやら向こうも向こうで結構今回の件に関しては動揺してるみたいだからな。もう少しかかるらしい」

「そうか...」



 ガルシオからそう伝えられ俺は内心ホッとしていた。それもそのはず。報告を聞いた瞬間すぐにでも判断が下されず、多少は審議されるのだから俺としてはありがたいのだ。


 取りあえず最初の質問に関してはこれでいいとして、次に



「もう一つ...。ガルシオ......俺は、これからどうすればいいと思う?」



と、ずっと悩み続けていることをガルシオに聞いた。

 正直俺自身幾つか思い至ることはあったが、果たしてそれが正しいのかよく分からない。

 例えば迷惑をかけた奴ら一人一人に謝罪をしにいくことや、助けてくれたことに対し何かしらの形で恩返しをすることがあるが、こんな状態じゃそんなことも安易に出来ない。



(第一ガルシオにも何か詫びをしなきゃいけないからな...)



 俺が内心そんなことを思っていると、ガルシオは若干困ったような顔をしながら、



「ザルバ......お前は、何もしなくていいんだよ。

 それこそ、お前が今回のことに対して何かしらの負い目を負うことはないんだ...」



と呟いた。だが、俺はその言葉の意味を理解できなかった。

 そりゃあ、今回の件を引き起こしたのはレビアとか言う奴だってのは周りが話しているのを聞いていたから知っているが、実際に殺したのは俺自身のはずだ...。

 たとえ操られていたとしても、"()った"という事実は消えることはない。それこそ、俺がこの目で......"この手で殺した"のを見ていたんだからな...。



「いや、たとえお前がそう思っていても周囲の連中全員がそう思うわけじゃない。

 何割かは俺が正気に戻ったことを未だに疑っているだろうし、そもそも俺がこの手で殺したオルバとムーナと親しかった奴らは確実に俺のことを恨んでいるだろうよ...。

 そんな中、俺が責任を負わないって言うのはあまりにも虫が良すぎる話だ...」

「......」



 俺のが長々と自分の話を続ける中、ガルシオは黙ってその話を聞いてくれていた。正直こうしてくれた方がいい。

 下手に "そんなことはない!" だの、 "皆待っているぞ!" とかムカつく同情を向けられるよりも、こんな風に罪人の話に耳を傾けてくれるだけの方がこっちとしても溜め込まずに済むってもんだ。





 俺が話し終えてからかなりの間が流れた。実際その後には俺もガルシオも特に話すことがないはずなのに、ガルシオは一向に出て行く気配がない。


 正直この空間に耐えかねて、ガルシオにそれとなく "出て行かなくていいのか?" といった内容を伝えてはいたのだが...



「おい、いつまでもこんな所にいていいのかよ?忙しいんじゃねぇのか?」

「ん?......あぁ...」



といった具合に、反応はするが全く出て行く気配がしない。実際監視ならそこの窓みてぇなところから覗けばいいし、この場に居続ける意味が分からん...。

 考えつく理由としては、監視とは別の命令でいるということ。もしくは......何かを待っている...といことくらいか...。


 そんな考えも二、三度した辺りから考えるのを止め、今度こそビシッとガルシオに出て行くように言おうとして口を開いた。

 正直これ以上こいつがここにいる理由が見つからない今は、できる限り一人にしておいて欲しかった...。



「なぁ、流石にそろそr」

 "ガチャ"

「入るぞ」



 俺が話し始めた瞬間。唐突に扉を開けて入ってくる人物がいた。...確か、副騎士隊長のドーマとかいう人だったはずだ。確か年齢は三十歳くらいだったから、それなりに上の人のはずだったな。



(しかし、そんな人がどうしたんだ?特に親しいわけでも無いはずだし...)



 俺は内心そう考えていた。

 実際この人には俺がガルシオを攻撃した後に、アリザに向かって斬りかかるのを防いでくれた恩がある。あのときこの人がいてくれなかったら、俺はアリザまで傷つけていたもんな...。

 それにガルシオの話によると、この人がガルシオの傷を回復してくれたらしいし、すぐにでも礼を言わないとな...。



「あのっ、ドーマs」

「ドーマさん!国からはなんて報告でした!?」



 俺がドーマさんに、あのときアリザを守ってくれたお礼とガルシオの傷を回復してくれたお礼を言おうとした瞬間、今度はガルシオが話を遮ってきた。......騎士って奴らは、人の話を遮るのがお上手なんですねぇ......。



「ガルシオ。取りあえずそのことは後で話すから、今は少し落ち着け。

 ......さて、何か私に言いたいことがあるのか、ザルバ君?」

「へ?......あっ!...悪い、ザルバ...」

「...いや、別に...」



 俺が自分に話しかけてきたと言うことを察してくれたドーマさんが、ガルシオからの問いかけを一先ず保留にし、俺に向き合って話を聞いてくれた。ガルシオもその様子を見てすぐに引き下がってくれたようだ。


 俺はそんな二人の厚意を受け取り、一先ずドーマさんにたまりに溜まった感謝の言葉や心の中に渦巻く様々な感情全てを伝えることにした。




というわけで、次に続きます。

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