恐怖の手紙
『親愛なる海さんへ
こんにちは。いきなこんな手紙が入っていて驚きましたよね。ごめんなさい。でも、貴女に対する気持ちが押さえられなくなったので筆をとらせて頂きました。
好きです。初めて貴女を見たときからずっと好きでした。
でも付き合いたいとかじゃあなくって、影から見守らせて下さればいいのです。
ずっと愛してます。
影から見守る少女より』
真っ白い便箋に書かれた文字は真剣だということがわかり、おれは手紙を書いた相手に好感が持てた。
ふと便箋のしたの方に゛クロユリ゛のスタンプが押してあることに気づいた。
「ねぇもみじ。この花の花言葉って…ってもみじどうした!?」
花の意味を知りたくなってもみじの方に振り返ると、彼女は顔を真っ青にして立っていた。
あわてて声をかけると、 震えた両手で紙を差し出したのでそれを受け取る。
黒い紙に赤いペンで書かれたそれは、悪意の塊の様で気味が悪かった。
「あっ!…ハァ」
この手紙にも゛クロユリ゛のスタンプを見つけ思わずため息が漏れた。
あんなにも可愛いラブレターをかける子が、こんな手紙を書くなんて…
少し裏切られた様な思いで読み進めると、最後の一文に目が止まった。
『海さんとこれ以上一緒に居たら、アンタを殺すから』
それは手紙の中で一番力強く、尚且つ一番悪意を込めて書かれていた。
「こっこれ…」
そう言ってもみじが差し出したのは、もみじの部屋で話すおれ達二人の写真だった。あきらかにそれは隠し撮りで、おれは冷や汗が背筋を伝うのを感じた。
「明日、警察に行こう。
流石にこの写真はやばいよ」
「っでも!」
「大丈夫。おれがもみじを守るからさ、何があっても。な、ほら帰ろう?」
「…うん」
不安そうな顔をするもみじに笑いかけてから、靴を履き替え、手紙をバックに仕舞って学校を出た。
いやぁ、怖い手紙ですねぇ。
そして、海は中身がイケメンです。
クロユリの花言葉は後々出します。