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extra edition side 晶  作者: 宇部松清
11/20

♭11 理解できない (os-37)

「ねぇ、いま1人? ちょっと話さない?」

 章灯(しょうと)さんがコーヒーを買いに行くと言ったので、道行く人の邪魔にならないようにと休憩を兼ねて、ガードパイプに寄りかかっていた時だった。

 その男は人懐っこそうな笑みを浮かべて親しげに話しかけてきた。今日はヒールの靴を履いているし、背は確実に自分より低いだろう。それに、随分とひょろひょろとしている。いや、ひょろひょろというよりは、なよなよというか……。千尋とはまた違うなよなよというか……。まぁ、千尋はあれで男の時は割としっかりしているからなぁ……。などと思いながら、大げさな身振り手振りで必死に話かけてくる男を見つめていた。

 この人と比べると、章灯さんも最初は頼りなく見えていたけど、だいぶがっしりしている方なのかもしれない。そう思うくらいに、その男はひょろひょろとしていた。まぁ、コガさんやオッさんと比べるのがそもそもの間違いなのだ。

「おー、アキ、知り合いかぁ?」

 両手にコーヒーを持った章灯さんが声をかけると、その男はそそくさと立ち去った。一体何だったんだろう、あの人は……。

 知り合いじゃないと伝えると、「おっま……! それなぁ! ナンパだろ!?」と言って、その場にしゃがみ込んでしまった。章灯さんも一体どうしたんだろう。男の人の行動はよくわからない。でも、男になりきるためには、そういうところも学ばなければならない。自分もその向かいにしゃがみ込んで章灯さんを観察する。

「お前なぁ、俺がいんのにナンパなんかされてんじゃねぇよぉ……」

 がっかりしたような、呆れたような声だった。また、心臓が一瞬ざわついた。

 章灯さん、いなかったのに何を言っているんだろう。

「い……なかったけどさぁ~……。連れがいるんでって断るんだよ、そういう時は! それか、完全無視!」

 成る程。そう言うべきだったのか。

 章灯さんがコーヒーを飲むのに合わせて、自分もコーヒーを飲む。何も言っていないのに、砂糖が増量されたカフェオレだった。

 すると、「……お前、立て」と言って、急に手をつかまれ、立たされた。何だ何だ。次は一体何なんだ。

 呆れているのか怒っているのか自分には判別がつかない顔をしていた章灯さんは、次に赤い顔になって、下着が見えているから、スカートの時は股を開くな、と言った。ついいつもの癖で大股を開いてしまっていたようだ。慌てて股を閉じて乱れたスカートを直す。

「あ、いやいや、別に怒ってるわけじゃないからな。ほんとに、気を付けてほしいんだよ。お前はさ、そうやって小奇麗な恰好してきちんと化粧したりするとさ……、その……、結構アレなんだよ……」

 アレ……? アレって一体何だろう。今日は何だかわからないことだらけだ。(かおる)だったら、きっとこうやっていちいち聞き返さなくても、全部わかるんだろうな……。


「だから、その……、女として結構魅力的ってことだ! いいからもう帰るぞ!」


 女としての魅力って、一体何だ? 章灯さんはさっきから何語を話しているんだ?

 もっとわかりやすい言葉で話してくれたらいいのに……。


 言葉の意味よりも、赤い顔でまくしたてるように言ったその勢いに呆気にとられていると、また手を引かれた。そんなに引っ張らなくても、どうせ家に帰るんだから、逃げたりしないのに……。


 

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