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閑話

すいません体調が悪いので続きは20日に更新します。

皆様ごきげんよう、


イリス・カメーリエでございます。


なんとか、15歳になるまで頑張りました。


 吐血も3、4日に1度から、3週間に1回のペースで大分楽になりました。専門医であるラーク教授も、グラナード先生も学園にいけると太鼓判…とはいけませんが、そうおっしゃったので、大丈夫だと思います。



漸く、魔法を覚えられるかと思うと、なんと申しますか感無量です。


…え?覚えるの遅すぎる…ですか?


ま、まあ…その、通常の人の100倍の魔力を持ちますと、威力も相当で、簡単な魔法でも地形を変えてしまう危険性があります。また、放出した場合に、魔法の反動で、わたくしの身体はバキバキに壊れてしまうそうです。


つまり、魔力コントロールをきちんとしないと、使い手も、周囲の人間も危険ということです。


本来なら魔力コントロールなんて小学生が1ヶ月で覚えるのですが、わたくしはそれをここまでずっと魔力コントロールの練習をしていました。


魔力のコントロールとは即ち、血中にある魔力の量を計測し、魔素の流れを一定に保つこと…。


…なんと言いますか、いきなりトラックを実地で運転するぐらい難しいです。


通常の人間が自転車レベルなら、天使病の患者はまさに10トントラック。重機みたいなもので、長年に渡り、慣らして経験を積む必要がありました。


そちらも、なんとかクリアしまして、現在なぜだか神殿に居ます。



 ここは我が領地内にあるアロウン大神殿。


この世界には教会と神殿があります。どっちも同じだろうと思いますが全然違います。


教会は、聖職者を育成の管理、神の教えを人々に広めるところ。


神殿は神託や祭事、精霊契約の仲介を受けるところです



 ちなみに、教会の長は、大司教。神殿の長は神官長といいます。聖職者でも職種が違うそうです。



「お父様、何故ここに?」


「精霊の加護を受けるためだ。」



…いや、簡潔にいわれても、色々とわからないんですが…。




「…イリス、貴女ここにくるだけで馬車酔いしたでしょ?帝都につくまでに、三ヶ月も馬車の旅になるのよ?体調を崩し、…最悪、病気が悪化してしまうのが目に見えているわ。精霊と契約すれば、魔力を食べて加護をくれるから、貴女の魔力も大分安定するし、移動魔法陣で帝都にもいけるの。」


確かに精霊は、魔素や魔力を食べて霊力に変換するから、私みたいな天使病患者にはありがたい存在です



精霊の加護とは…精霊独自の技、と言うか魔力をつかった魔法と違い、霊力を使った術です。


移動魔法と相性が最悪なわたくしでも、精霊なら加護で移動魔法の術式と魔力からわたくしを護ってくれますし、体調を崩す事にはならないでしょう。


前編でもお話したかと思いますが、わたくしと移動魔法は相性が最悪です。


 移動魔法は魔力の元となる魔素を、大気中から集めて使う術式なので、魔素を吸収しやすく、魔力を沢山精製するわたくしの病とは相性が悪いんです。


下手したら、移動するだけで死ぬ可能性があります



帝都まで、馬車で三ヶ月かかりますので、確かにそれを思うと、精霊と契約した方が良いでしょう。


ですが、


「…お母様、わたくし、未成年ですわよ?」


そう、この国の法律と、精霊の長が定めた法で精霊契約は満16歳になってからと決められています。



成長未発達の子供が、魔力を食らう精霊と契約してしまうと、魔力を精製する臓器の機能を著しく低下させ、下手したら死にいたる能性があるからです。


ですので、臓器がある程度成長を終える16歳の時になってからの契約をするよう法が定めれています。




「…精霊の長や、法務省には既に許可をうけていますから大丈夫ですよ。」


「へ?」


「特例措置だ。お前はあと4ヶ月後には16歳になるからな、別に少し早くても構わんだろう。精霊側も、国側も、お前の病状を考慮して、特別に許可をくれたのだ。」


…たぶん、その許可が降りるまでお父様はすごい頑張っていたのでしょう…法務省のツテや、精霊との仲介する神殿へと足しげく通って、4ヶ月繰り上げを頼み込んだに違いありません。


思わずお父様とお母様に抱きつきました。


感謝しても、しきれません…思えば病を発症してから10年…お父様やお母様、お兄様方や、使用人の皆に沢山迷惑をお掛けしてきました。それでも、わたくしを見棄てることなく、わたくしと寄り添い、病と一緒に闘ってくださり、わたくしは何度なく救われてきました。


きっと、身体を治して…治らなくても、この命続くかぎり、わたくしを救って下さった方々の恩に報います!


わたくしは改めて、病と闘うことを誓ったとき、神殿の奥から神官様がやってきました。




「大変、お待たせいたしました。精霊界と繋がりましたので、召喚の間まで御案内します。」


「は、はい。」


「それと、御家族以外の方々はここでお待ちを。」



いかにも、着いていきそうな、後ろで控えていたネルケに釘をさすと、神官様はわたくしたち3人を連れて召喚の間へと向かいました。







 歩いて5分ぐらいして、大神殿の一室に入ると、巨大な魔法陣の中に一人の老婆が佇んでいます。


 身の丈以上な杖をもち、背を丸めた小さな老婆…あの方が神官長様でございましょうか…凄い貫禄があります。


「ニル神官長様。今日はわたくしどもの願いを聞き届けくださり、有り難うございます。」


「ふむ、そう恐縮するな。精霊の長も今回、特に気を悪くはされていないようで、許可してくださったし、我々としても普段世話になっている領主殿の恩に報いることができて嬉しいよ。して、そちらが、ご令嬢かえ?」


「初めまして、イリス・カメーリエと申します。神官長様、ご挨拶が遅くなり申し訳ございません。」




車椅子から降りて、足を踏ん張って貴族令嬢としてスカートの裾を掴んで、精一杯の礼をします。


凄いぷるぷるしながらですので、格好がつかないですが、それでもきちんと挨拶して置きたかったのです。


すると、ニル神官長様はおや?とした表情を浮かべました。


「…宿した星が…。」


「へ?」


「…何でもないよ、私はアロウン大神殿の神官長のニル・シュティーナだ。あんたは、覚えていないが、星の祝いをこの婆が施したんだよ。懐かしいね。」



「まあ!神官長様が!?」


星の祝いは生後間もない乳児に施す祝福です。星神の祝福の時に運命の星を宿すと言われています。


赤ちゃんだった私に星の祝いをしてくださった官長様って何歳なのでしょう?



「さて、では精霊召喚を始めるかね。」



「…よろしくお願いいたします。」





**************



《びー!!》


「……ヒヨコ だな」


「ヒヨコですね…。」


「あの、ヒヨコにしては 、目付きが凛々しいような…」



ニル神官長様が呼び出したのは掌サイズのヒヨコでございました。ふわっふわな黄色い身体に、尖った嘴…ですが、目付きが鋭く、可愛いというより凛々しいヒヨコの精霊さんです。


「…光属性の憑依型精霊だの。鳥型とは珍しいな。」



「ええ、召喚に応じてくれるのは大体は犬か猫だからの。」


「…精霊って動物系統しかいないんですか…?」



「魚とかおるな人型の精霊は各属性の高位精霊と、長だけだの。」



……確か、皇太子ルートのヒロインが契約したの人型でしたわ…。


どんだけチートなんですのヒロイン!


「さて、そのチビに名前をつけてやるとよい。それが契約になる。」



神官長は無造作にヒヨコを手で掴みますと、わたくしの掌にのせます。


わたくしの魔力に応じて来てくださったヒヨコ様は、気はずかしいのかモジモジしてます。


「では、ブリッツでどうでしょう?」


ドイツ語の閃光と言う意味まんまの名前に、苦笑すると、ヒヨコ様はわたくしをじっと見つめ、わたくしの頭にピョンピョンと飛び乗りました。


《ピー!》


「え?」


ヒヨコ様の可愛らしい雄叫びと共に、ピカー!と光はじめました。


な、何事!?


「あ、あなた。」


「…これは…」


「ほう。」


奇跡でもみたかのような二人と、興味深そうな神官長様にわたくしはおそるおそる頭のうえに、手をのばしました。


ツルッぱげになってたらどうしましょう…ヒヨコ様が光った衝撃で、毛根が死滅してしまったら…


「あれ?ヒヨコ様がいない…!」


「あんたの身体に憑依したんだよ。契約成功だね。」


「憑依…?」


「…精霊には追従型と憑依型がある。追従型は契約者を側で守る精霊。憑依型は、契約者の身体に憑依して契約者を守る精霊だ。イリス、お前が契約したブリッツはお前が気に入ったようだ。髪を見てごらん。」


父様に言われて、自分の髪をみて目を見張りました。



「あ…っ」



……かつて見た金色の、かみ…昔と同じ、懐かしい金色の髪になっているではありませんか…。


「ブリッツ…?」


《ピ》


体の中から響く声に、わたくしは目を見開きました。


確かに、わたくしの中にいます。どこに居るかわかりませんが、確かにいます。


胸に手をあてると、重たく停滞していた魔力がじんわりと身体をめぐり、少しだけ身体が軽くなった気がします 。


「…魔力が…」


「流石に魔力が桁違いだの…精霊がこれほど食らっても溢れているとは…。身体はどうだい?」


「…少しだけ軽くなった気がします…でも」


たぶん、まだまだ車椅子に頼らないといけないぐらい身体が重たいです。熔けない万年氷のように重くずしっとする感覚に、わたくしは目を伏せます。


おそらく、ブリッツは加護で空気中の魔素をあまり、吸収しないように花粉マスクみたいな事をしてくれているのでしょうが…全てを完全に塞ぎきってるわけではありません。


…ブリッツが悪いわけではなく、わたくしの身体の魔素吸収が異常なのです。


改めて、実感するとわたくしは天井を仰ぎ見ます。




……まだまだ、やらねばならない事が多そうです。。



「ああ、イリス!」


お母様が、ブワッと涙を溢しながらわたくしを抱き締めてくださいました。


父様も、わたくしの髪を懐かしむように撫でていらっしゃいます。



…後で聴いたのですが、髪が金に戻ったのは、光の精霊であるブリッツの加護の影響だそうです。


まあ、ブリッツが憑依を解けば、元の白髪に戻るのですが…両親が喜んでくださったなら嬉しいです。



後々、仕事で一緒にこれなかった御兄様たちが、「一緒に行けば良かった!」と大にごねてました。



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― 新着の感想 ―
お疲れ様です。 何回周回しても、光精霊のブリッツ(凛々しいひよこ外見の憑依型)が召喚されて、イリスちゃんに憑依して、髪色が金髪に戻るシーンはグッときます o((>ω< ))o ブリッツが憑依して尚且…
イリスの前世モデル作者自身って感じがしたw知らんけど
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