出会い
‐‐‐3年前‐‐‐
「ヤバイ、遅刻だ。」
ともやは慌て駅の改札口を出た。
「昨日、部長と飲み過ぎた」
今さら遅いが昨夜のことを思い出して後悔した。
「8時15分、何とかギリギリ間に合うな」
時計をチラリと見て思った。
ドン
「‥あっ」
目の前の人の群れに押し出され一人の女性が倒れ、持っていたカバンの中身が辺りに散らばった。
周りの人達は先を急いでいて誰も手を貸そうとはしない。
「ひどいな」
ともやは女性に駆け寄り
「大丈夫?」
散らばった物を一緒に集めた。
「すいません、助かりました。ありがとうございました」
その女性は深々と頭を下げた。
「気にしなくていいよ、じゃあ気をつけてね」
それだけいうと、僕は彼女と別れて歩き出した。
「完全に遅刻だな。しょうがないか」
その後会社に到着。当然のごとく上司にコッテリしぼられた。
「やっと終わった」
遅刻分の仕事が終わり、ともやは会社を出た。
「そういえば‥‥今朝の女の人可愛いかったな」
ともやが朝の出来事を思い出していると
「すいません‥‥」
「えっ?」
「あ〜やっぱり今朝の人ですね。その節はお世話になりました」
ともやが振り返ると、そこにはあの時の女性が立っていた。
「あ〜‥‥どーも」
「もしかしたら、また会えるんじゃないかなと思ってたんですよ、良かったら、朝のお礼に食事でもいかがですか?」
「えっ‥‥は‥はい喜んで」
二人は近くのレストランに入った。