新しい生活
ここは荷造りが終った部屋の一室。
彼女の過ごした日々が頭の中を駆け巡っていた。
気が付いたら僕の頬には一筋の涙…。
「…絵美、忘れないよ」
僕は写真の女性に話しかけた。
完全に立ち直った訳ではない。…けど今は彼女に笑われない様に生きていこうと思う。
いつまでも悲しんでいると、彼女が安心して休めない気がする。
そう思った僕は彼女の家に行き、彼女の仏壇に線香をあげてきた。
彼女の両親は初めて会った時より更に元気がなかった。
僕は何て言葉をかけていいのかわからなかったが、彼女の手紙をご両親に渡した。
「智也君。ありがとう…絵美は幸せだった」
そして彼女の父親と僕は朝まで語り明かした。帰り際…
「智也君!」
「はい?」
「たまには娘に会いに来てくれないか?」
「もちろんです…必ず来ます!」
「…ありがとう」
そして僕は彼女の家を出た。
「へぇー…海が近いんだ」
僕の新しい家。前の家から数時間かかる。そこは、海のすぐ近くにあった。防波堤の辺りには釣りをしている人。浜辺では楽しそうに遊ぶ親子。車の往来は無く、のんびりしていてここは気持ちが安らぐ。
絵美見てるかい…。
僕はもう大丈夫だよ!
君と過ごした日々。僕の大切な時間。
君のこと忘れない…。
だから…いつの日か、僕がそっちにいったら
また…会えるかな?
最期まで読んで頂きありがとうございました。