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第四章 雪降る日の別れ
雪の降る日は、切なく寂しくなる。
暖かく包んでくれる温度が欲しくなるのは、多分自分だけではないと思う。
あの冷たい灰色の雪に覆われた場所から連れ出してくれた、あの時から、辺りが鮮やかに色づいて、心にも少しずつ変化がやってきた。
寒い夜も一人寂しく過ごすのが当たり前で。優しく見守ってくれる彼と、ちょっと賑やかで迷惑な兄姉達に包まれて、そんな気持ちも吹き飛んで、こんな日常があるのだと知った。
穏やかに過ごす日々が終わりを告げたあの日以来、また灰色の季節に戻って。けれど、不意に言われた彼の言葉で、今でも寂しい心を暖かくしてくれる。
だから、そっと心の中だけに留めておこう。
積もる雪さえも溶かす、甘くて切ない彼の告白を。
離れてもきっと、思い出すたびに心を暖かくしてくれるから。