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第三章 過ぎ行きた時
短いですが。三章スタートです。
誰であれでも、それぞれ人は生きている間に、後悔というものを学ぶものだろう。過ぎ去った時間を思っては、選ばなかった道を悔やむ。人間とは全く、愚かで弱い生き物だ。
そんな風に言ったのは、実の父だというセドウィグ。
後悔なんてしないもの。
勝ち気で頑固者。誰に似たのか、そんな性格で年頃の可愛さが全くない自分は、そう言い返したような気がする。あの時は、今まで選んで来た道のりで後悔をしたことが無かったから。そして自分がこれから歩む道に、後悔など有り得ないと思い込んでいた。
そんな誤った考えをどこかで身につけて、歩いてきてしまった。
初めてぶつかった壁を前に、そんな甘い考えを持っていた自分を恨んで、立ち止まってしまった。
けれど、後悔は悪いことだけではないかもしれない。それから学ぶことも同じようにあるから。出会った人と学んだ日々。それが宝となって成長する。人は素晴らしい生き物だよ。
対照的にそう言った人物のように、自分もそう思える日がくるだろうか。すぐには無理でも、少しずつ。ほんの一歩ずつ。そう思えるようになれればいい。