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手応えと空白

バッチリ10時間睡眠で目が覚めた。

何がバッチリって?もちろんおれのお目目だ!!


爺さんはずっと寝てるのか寝室から出てこない。


待っててもしょーがないから、あれから色々試した。

それはもう試したね。

自分の想像力との勝負だ。


その結果、俺は今日だけでこれだけのスキルを手に入れることができた。


《盾術》

《革鎧の着こなし》

《気配感知》

《身体能力強化》

《魔力感知》

《魔力操作》

《火魔法》

《水魔法》


どうだこのラインナップ!!

頑張ったぞこのやろう!!


特に魔法はすごかった。

まさか念じるだけで手が燃えるとは思わなかった。

おかげで消火のために《水魔法》まで覚えたよ。


ま、これだけあれば、とりあえず塔に行って帰ってくるくらいは出来るだろう。

爺さんを起こすのも悪いし、とりあえず行ってみて、また帰ってくるとするか。


そう考えながら、こちらを見下ろすように建つ塔に向かって、俺は走り出した。






いやー、スキル舐めてたわ。まさかここまで変わるとは。

特に身体能力強化がヤバイ。あれは反則だ。


塔から小屋に向かうときは数十分掛かったのに、小屋から向かうときはわずか5分も経たずに塔に着いた。


これならさっきのゴブリン共もガイシューイッショクだな!!


さ、いっちょやったりますか。



「と、自分を鼓舞してみたもののやっぱこえーな。」

さっきの勢いはどこへやら。

俺は必死に《気配遮断》を意識しながら通路を進む。

さっきとは違い、周りを見る余裕がある分、つい色々と考えてしまう。


「この壁、なーんか変だよなぁ。土じゃないし、石でもない。変にツルツルだし。何でできてるんだろ?」


そう言いながら無機質な壁を触る。

本当に何なんだろ。俺あんまりこういうの詳しくないんだよ。


「ま、いっか、今はとりあえずゴブリンリベンジだ。」


そう切り替えて、今度は《気配感知》を意識する。

「おおお…、なんか見えてきた。こんな感じか。こりゃ便利だわ。」

どうやら《気配感知》は俺を中心に、数十mの何かを感じているようだ。多分生き物の生命エネルギー?とかだろうけど。

それが自分の視界にぼんやりと映るのが、少し気味悪い。


「えーっと、多分こっち?だよな。あーくそ。地図があればいいんだが。」

《マッピングを取得しました》

「便利だなぁ…。」


もう気にしたら負けだなこれは。


どうやら、視界の右上に今まで歩いた場所がマッピングされるみたいだ。

しかも《気配感知》で見つけた対象も同時に表示されてる。

こりゃ一気に効率化できるな。


「とりあえず、この動いてない奴の方に向かってみるか。一匹だけっぽいしな。」


スキルの後押しを受けて、俺は過去を乗り越える!見てろよ見てろよー。


「やぁやぁ!我こそは!いざ尋常に勝負うううう!!」


うつらうつらと頭を振ってるゴブリンに勢いよく突っ込む。

先ほどとは打って変わって俺の右手には頼もしい剣がある。


「どりゃあああああああ!」


上に振り上げた剣はゴブリンの反応すら許さずに真っ二つに切り裂いた。


「よっしゃああああ!!…ってうげええぇぇぇ。やっぱりグロい!無理だ!」

《アイテムボックスを取得しました。自動収納をONにします》

「って…え?消えてる。」


あんなに気持ちの悪かったゴブリン(死体)があっという間に、綺麗さっぱり消えていた。


「ってことはつまり…、アイテムボックス!おお、なるほど。こうなるわけね。」

目の前にはお馴染みのスクロール画面、そしてリストには…さっき切ったゴブリンだったものが収まっていた。


《自動解体をONにしますか?》

「するするぅ!ONでお願いします!」


二の句を待たずに返事する。

だって俺、絶対、解体、無理。


そしてスクロールに残ったのは、魔石と腰布。

ゴブリン…お前、腰布が本体だったのか…。


「っと、あんまりふざけてる場合じゃねーな。とりあえず戦えそうだし、爺さんのところに一旦戻るか。」


あの爺さん寝るって言ってからずっと出てこねーし、そろそろ起こしてやらんと。

居候(仮)として、心配してるってポジションを見せつけないとな。


そう考え、俺は探索もそこそこに小屋へと舵を切った。



そして、行きにかかった5分を短縮し、更に俺は早くなっていた。

「なーんか段々人間辞めてねえ?異世界補正しゅごしゅぎぃ!」



「おーい、爺さん。俺だー。帰ったぞー。」

そう言いながらドアを開くも返ってくるのは静寂のみだった。

「…爺さん?まだ寝てんのか?もう昼前だぞ、さすがに寝過ぎ…」

そう言いながらリビングを通り抜けてじーさんが寝てると思われる寝室のドアを開けた。

俺の目に飛び込んできたのは、壁一面の壁画とベッドに横たわる爺さん。


「なんだ、この絵…。太陽と大地の間に…でっかい雲?真っ黒だな」

それはなんとも言えない存在感だった。

まるで俺に何かを訴えかけてくるようにも感じるが、学のない俺にはいまいちピンとこない。


「…っと、それどころじゃねー。おーい爺さーん。朝だよー、何ならもうお昼だよー。」


おかしい、いくらなんでも寝過ぎじゃないか?

そういえば顔色も真っ青なような…まさか!!


「おい!爺さん!起きろ!!おい!!」


おいおいマジか、爺さん息してねえ!

それどころか、体も冷え切ってやがる…。


「ちくしょう、何だってこんなことに…また1人かよ。じーさん、置いてくなよなぁ…。」


いかん、結構ダメージ受けてるな。

異世界にきて、初めて会った人だからか。

思いの外、頼ってたみたいだ。


このままじゃダメになっちまう。

なんとか切り替えないと…。

《精神耐性を取得しました》

「…そういう事じゃないんだよ。」


正直助かったがこのままだと人としてどうなんだ。

そう思う気持ちと、じーさんの死を受け入れて何か役に立つものが無いか物色し始めてる自分の落差がひどく気持ち悪い。


そう思いながら室内を見渡していると、ふとサイドテーブルに置かれた紙片が2通、目についた。


「これは…、こっちは何書いてるか全然わかんねー、リビングで見たやつと同じっぽいな…。そんでこっちは…日本語…か?」


1枚は全然読めんがもう一枚は崩れまくってるが日本語のようにも見える。

「なんだ…?名、も、知…名も知らぬ?生…生徒?だめだ読めん。」

じーさん、字が下手すぎるって。読めないよ。


でも、日本語で書いてたってことは俺に何か伝えたかったんだよな。


「きっと、塔に行けって書いてんだろうな。紙にびっしり。心配性なこった。」



わかってるよじーさん。登り切るとは言えないが、とりあえず行けるところまでは行くよ。


「一宿一飯の恩、返さなきゃ日本人じゃねーよな!」


そうして気を取り直した俺は、書置きをポケットにねじ込み塔に向かって走りだした。

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