表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

成長と違和感

俺帰る!!と決意を固めたが、具体策が無ければ現実的とは言えない。


仕事も一緒だ。上司の無茶ブリを形にするのが大変なんだが、それが出来なきゃ話にならない。


兎にも角にも俺には情報が足りない。


このままここにいても変わらないし、まずは塔から脱出しよう。


幸いさっき手に入れた《気配遮断》があれば、そう難しくはないだろう。







「まさか本当に難しくないとは…拍子抜けだな。」


まさか目の前通っても気付かないとは、強いな《気配遮断》。

やっぱり俺TUEEEE目指しちゃう?


「いやいや、水筒ひとつで俺TUEEEEとか、笑い話にもならんわ。現実を見ろ、俺。」



まず目標にしていた塔からの脱出は叶った。

次は人里探して情報収集だな。


「こういう時の基本は高い所から辺りを見渡すんだが、コレがなあ…。」

俺の横に鎮座マシマシてる塔を、憎々しく見上げる。


「さすがにこの塔を登るのは現実的じゃないな。」

諦めて辺りを見渡すと、遠くに煙が上がっているのが見えた。


あれは…、誰かが生活してるのか、ただの火事か、どっちにしてもここで手をこまねいても仕方ない。


どうせどこかで博打に出ないといけないんだ。

時間が経てば経つほど打てる手は減っていく。

ここは一発乗ってみるか!!






そして森の中を歩くこと数十分、ついに小屋が見えた。

ちょっと心配していたが、火事じゃなさそうだ。一安心だな。


煙突から煙が出てるってことはさすがにご在宅だろう。

それじゃあ第一村人との記念すべき初邂逅と行きますか。


コンコン。

「も、もしもーし。すみませーん。誰かいてませんかー?」


静寂…しばらくしてからドアノブを捻る音、そしてドアが開く。

The異世界って感じの白髪のジジイ、職業絶対賢者だな。耳とんがってるし、エルフかな?


「あ、こちらのお宅の方?おれの名前はきりしー

「興味は無い。」

「え?」

「貴様らの名前には興味がないと言ったんじゃ。さっさと中に入れ。」


ジジイは俺を一瞥すると、そう言い放ち家の中へ戻る。


「え?俺?貴様らって…、守護霊でも見えてんの?そりゃーしゅごい…って待てよ。お邪魔しちゃっていいの?ほんとに入るよ。」


ジジイはさっさと入り、もう姿も見えない。

コミュ障かよ。ジジイの拗らせは可愛くないよ?


とは言ってもここに居ても話は進まないな。

ジジイの目が俺の背後の何十人もの『ナニカ』を見てるようで、寒気を覚えた。


「まぁいっか。失礼しまーすよっと。」

俺はその寒気を少しでも払拭しようとおどけてドアをくぐった。



家の中は一言で言うと不思議だった。


電気はないのに、不自然なほどに明るい。

使い古しているが、異常にキレイな家具たち。

その中で不釣り合いだが調和のとれているランタンが机の隅に置かれている。さっきまで書き物をしていたのだろう、紙やペンのようなものが机の上に広がっていた。何を書いているのかは…俺には読めそうにない。


「どうした。それが気になるか。貴様には読めんじゃろう。それはいいから、早くこっちに来い。」


このジジイ、第一村人じゃなければ今頃ボコボコに…「出来んよ、貴様にはな。悪態をついても、性根は心優しい。お前たちはいつもそうじゃ。」


!?

このジジイ、いや、オジイサマ、心読めるのか!?


「安心せい、貴様がわかりやすすぎるだけじゃ。」


「そんなことより、貴様はこれから塔を登る。いや、登らねばならん。」


「は?い、いや、俺はあんなところ登るつもりはないぜ?それより爺さん。一番近い村とか街って…「ここから歩いて1ヶ月もすれば着くじゃろうな。出来そうか?」


無理でーす!!

マジで言ってんのかこのジジイ!


「…無理だな。1日くらいなら何とか出来たかもしれんが…。」


「そうじゃろう。そんな貴様に朗報じゃ。塔を登れ。そのための方法はワシが教えてやる。」


「いや、だから…「まずはそこに貴様用の装備を一式見繕っておる。それ身につけて表に出てこい。話はそれからじゃ。」


そう言ってジジイはさっさと家から出て行く。


…こいつ、全然話を聞かねー!!

でも今の俺にはこいつが唯一の情報源、無碍にも出来ねーか。


しょうがねぇ、とりあえずジジイの言ってた装備ってやつを見てみるか。


んーと、どれどれ、金属で出来た剣だな。短いから多分片手剣?ショートソードってやつかm

ーーーーー《鑑定を取得しました》


!!

このタイミングで来るか、俺の意思を反映してる…のか?

とりあえず《鑑定》を意識しながらもう一度剣を見てみる。


『鉄の片手剣』

一般的な武器屋で手に入るこれと言って取り立てた特徴のない剣。癖がないからこそ、あらゆる状況に対応できる。シンプルイズベスト。


なるほどねぇ、これは便利だわ。


とりあえず他の装備も鑑定っと。


《革の盾》

《革の鎧》

《革の手袋》

《革の靴》


The初期装備じゃねーか!

くれるってんだからもらうけどさぁ!!


文句言っちゃダメだけど、言いたくなるぜチキショー。


「おい!ワシも暇じゃないんじゃ!さっさと来い!!」

「わ、わかってる!ちょっと待ってくれ!!」


俺は急いで装備を身に付けて、外に出る。


…ジジイはいつの間にかとんでもない雰囲気の杖を手に持っていた。やっぱジジイは賢者だな。


「よいか、今から貴様にはワシが使う魔法の全てを見せる。今はわからんでもいい。ただ見ておけ。決して忘れるな。わかったか?」

「あ、ああ、でもなんで急にそんな「わかったか?」「…わかったよ。爺さん。」



そこからジジイは凄かった。

何もないところから現れる、

炎、水、氷、岩の塊に風?の刃。

雷に、まるでレーザーのような光の奔流に、夜を凝縮したような闇。

圧倒的な存在感に、俺はただ立ち尽くすことしかできなかった。

だが、不思議なことにジジイの魔法を見るたびに自分の中に何か種が植えられたような感覚がある。


全てが終わったのか、ジジイは荒い息を吐きながら、俺に話しかける。辺りはすっかり夕闇に包まれている。

「はぁ、はあ、…どうじゃ、わかったか?」

「あ、ありがとう爺さん。正直何が起こったか俺みたいなやつには理解できなかったけど、爺さんがスゲーのはわかったぜ。」

「…まぁいい。ワシがやるべきことはやった。あとはお前次第じゃ。まぁ大丈夫じゃろう。…最後にワシから貴様に伝えることがある。」

「最後っておいおい、俺たち会ったばかりだぜ?飯でも食って友好を深めようや。」

「まず聞け。いいか、塔に登れ。塔に登れば願いは叶う。最上階にまで登り詰めろ。」


「おい、爺さん。そんな適当なこと「いいか!全てじゃ!全ての願いが叶う。登れ、塔を。」

「…何かよくわかんねーけど、爺さんがマジだってのはわかったよ。じゃあ1回だ。試しに1回行ってみて、ダメだったらやめる!それでいいか?」

「…まぁいいじゃろう。じゃが忘れるな、塔に登れば願いが叶う」


爺さん、何か塔の話に関してはスゲー必死だな。

あそこに何かあんのか?

…とそこで、左手の時計に目が行く。

「おっと、すまん。ちょっとだけ待ってくれ。」そう言って俺は手首の時計のネジを巻く。祖父の形見のゼンマイ式だ。これがあると不思議と落ち着くんだよな。

「貴様、それは…。」

「ん?どうしたじーさん。」

「いや、何でもない。どこまで話したか…そうじゃ、塔じゃ。」

「それはもう何回も聞いたよ…爺さんボケてるのか?」

「何を言っとる!ワシはまだ若い!それよりも…「はいはい、塔ね、塔。わかったよ爺さん。」

「今すぐとは言わん。適当に装備の具合を確かめておけ。すぐに意味はわかるじゃろう。今日はもう眠れ、そして朝、必ず塔に向かえ。…じゃあな、ワシはもう行く。」


爺さんはそう言って家に帰って行った。

嵐のような爺さんだな。

でも言ってることは真っ当だし、練習は大事だしな。


そう思い、手に持っていた剣をなんとはなしに振ってみる



ーーーーー《片手剣術を取得しました》


…まぁ何となくそんな気はしてたよ。


さすがに今日はヘトヘトだ、大人しく休むとするか。


そう考えた俺は素振りもそこそこに爺さんに続き小屋に入っていった。


ちなみにベッドの寝心地は意外と良かった。

なんかいい匂いしたわ。爺さんすげえな。


そんなバカなことを考えながら俺は眠りに落ちていった。




ーーーー《疲労回復力アップを取得しました》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ