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守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
一章.リヒトとエレノア

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9.国境の街ラナス

半日ほどで、東の隣国との国境にある街にたどり着いたエレノア。街から少し離れた街道沿いの人気のない森に着陸し、街道を通って街に入った。

「うん、この街がいいわ。」

魔法で焦茶色に変えた瞳がキラキラと光る。もちろん髪色も平民らしく栗色にしてキャスケットをかぶっている。


国境の街、ラナス。

モスケニアに比べればもちろんそんなに大きな街ではないが、地理的なものなのか、国を行き来する商人や、国境の警備をするため王都から派遣されている騎士など、地元民ではないと思われる者もたくさん見受けられ、エレノアの存在もさほど異質とは感じない。


「さて、朝から何も食べれてないし、取り敢えず食事ができるところに入ろう。」


しばらく商店街を散策し、少し高級そうなレストランに入った。『蠱惑』を気にしなくていいようパーソナルスペースを十分に確保するためのテーブル間隔があり、能力うんぬんの前にガラの悪い連中に絡まれず、のんびりと食事を摂るためだ。絡まれて被害が出るのはエレノアではないが、自由を手に入れて初めての食事である。誰にも邪魔されず堪能したい。


今日は空の旅であったため、パンツスタイルでも違和感のない男装スタイルである。エレノアに成人男性の振りは無理があるため、成人前の少年の仮装となった。少年とはいえ、身につけているものは洗練されており、どう見ても良いとこの坊ちゃんである。平民向けの高級レストラン程度であれば上手く馴染めていた。




今回の逃亡劇は一朝一夕で思い立ったものではない。リヒトとの最初のデートであんなに多くの人を巻き込んだため(大惨事にはならなかったが)、社交界や外交で様々な人と交流するに妃としてやっていけるのかを疑い始めた。それ以降のお忍びデートはエレノアの『蠱惑』を考慮した場所・時間・行動計画が綿密に練られている事に気がつき、『わたし、足手纏いでしかないわ』と理解した。そして、『わたしが妃になるくらいなら、いない方がマシよね。』と、とんでもない結論に至ってしまったのだ。


幼い頃から淑女教育並びに妃教育をしっかり叩き込まれたうえ、屋敷を抜け出して平民街をウロウロしていたため、市井の情報にも詳しいエレノア。さらに魔法も使える。


「うん、何かどこでも生きていける気がする。」


そこから今回の逃亡計画が企てられていく。


「逃亡用のデイドレスに大きめの内ポケットを縫いつけて…。」


淑女教育の一環として、刺繍を習っていたためポケットをつけるくらいの裁縫ならお手のものだ。


「中に着込む服は…多分空の旅になるからズボンの方がいいかしら。そうなると、ドロワーズはなし。ズボンのポケットにへそくりと、売れそうな宝石を詰め込んで、ドレスの隠しポケットには 変装用の男物の靴と、着替えの平民服を入れておきましょう。」


短時間で、着々と準備を進めるエレノア。


「楽しみだわ。」


ラベンダー色の美しい瞳をキラキラと輝かせて呟いた。




心の片隅でずっと憧れていた自由な生活。これを『わたくしは王太子妃に相応しくない』という大義名分を得て実行に移し、今に至る。

『リヒト様にとっては、わたくしがいなくなった方が平和に公務を行えるし、次の妃候補をまた選べばいいだけだから問題ないわね。お父様にとっても長年の頭痛の種がいなくなれば、領地経営に集中できていい事づくしだわ。』自分を厄介者と信じて疑わないエレノアにとって、もう彼女の思考を止められる足枷は何もなかった。


「これでリヒト様にはより相応しい妃殿下が添えられるでしょうし、お父様の頭痛も治り、私は自由を手に入れられる。まさにWin-Win-Win。」


ふふふ…と笑いながらぶつぶつ呟くやたらマナーのいい少年は、気味悪がられ、レストランの従業員にすら遠巻きにされていた。(とっても都合がいい。)

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