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守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
一章.リヒトとエレノア

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7.リヒトの過去

リヒト・フォン・アランデルはアランデル王国の第一王子である。1ヶ月前の誕生日で15歳となり、立太子の礼を受けて王太子となった。その後、まもなくエレノアとの婚約を公に発表して、先日のケヴィンの事件に至る。


公表したのが最近であるだけで、エレノアとの婚約は4年前にすでに約束が交わされていた。4年前といえばそう、例のあのお茶会騒動である。


あの騒動により、エレノアの容姿の美しさ、『蠱惑』の問題はあるが稀に見る魔力の高さが露呈し、王城内でも話題になった。そこで、国王が興味を持ち、見合いの席が設けられたのだ。


見合いといっても、本人たちの意思の確認ではなく、親同士の取り決めと、婚約に必要な契約書の作成などが行われて、エレノアとリヒトは文字通り顔を『見合う』だけであった。


エレノアは『リヒト様には能力が効かないから気を張らなくても大丈夫なのね。この方が婚約者でよかった』。

リヒトは『世の中には可愛い人がいるんだ。まるで天使だ。いや、本当に人ではなく天使なのではないか?』と方向性の違いはあれど、お互いの第一印象は最高のものであった。

そして、エレノア10歳、リヒト11歳でふたりの婚約は確定した。




リヒトは頭がよく、魔力も高く、また第一王子として国王や王妃からも大切に育てられたため、性格も容姿も美しく、王太子候補No. 1であった。必然的にエレノアも王太子妃になる可能性が非常に高く、婚約と同時に王妃教育が始まった。


地獄の魔力コントロールレッスンに追加で様々なレッスンが組まれたが、エレノアが学園に入学しなかった事で時間に余裕があり、また侯爵令嬢として幼い頃からマナーや教養、ダンスなどの基礎は一通り叩き込まれていたため、大した苦労もせずに1年で王太子妃として恥ずかしくないレベルに達した。魔力コントロールのレッスンに全ての気力・体力をもぎ取られていたため、エレノアにとって王妃教育が休憩時間及び癒しの時間であったくらいだ。


さらにエレノアにとっての癒しは、リヒトとの交流にもあった。『蠱惑』を全く気にしなくて良い身内以外の唯一の存在。(魔力が高いリヒトには能力が効くはずもなく、また最悪効いてしまったとしても婚約者なので大きな問題ではない)

そして、彼は唯一の同級生であった。『同級生とのお茶会』、それは学園に通う事ができなかった彼女にとって憧れの響きであった。




そしてリヒトにとってもエレノアとの時間はとても大切なものであった。王妃教育よりもさらに多くのレッスンが必要であろう王太子教育。さらにリヒトは学園にも通っている。彼もまた血を吐くようなスケジュールをこなしながら、『このレッスンが終わればまたエレノアに会える』とそれを糧にモチベーションを維持していた。


「早くエレノアに会いたい。」


窓から中庭を見下ろしてボソリと呟く。エレノアとのお茶会でよく使っている場所だ。


「リヒト様!集中してくださいませ!」

「は、はい。」


と、たまにエレノアの事を考えて集中が切れながらも頑張り続けた4年間。


月に一度のお茶会と手紙の交換で交流を深め、リヒト15歳の誕生日の後に婚約を正式発表。そしてケヴィン事件以降『お忍びデート』も追加された。さらに9ヶ月後のエレノアの15歳の誕生日を待って婚約式を行う予定である。


毎週エレノアと会える『お忍びデート』、待ちに待ったエレノアとの婚約式。リヒトは浮き足立っていた。もちろん王太子教育を受けているため、自分の気持ちをコントロールするのは朝飯前で、周りの目にも、エレノアの目にさえもそうは映らないが。


1度目のデートが大騒ぎだったため、2度目は郊外の国立公園、2度目が少し退屈そうだったため、3度目は王都ではなく隣町の商店街に。それもやはり物足りなさそうだったため、次は王都で人通りの少なそうな時間で…とリヒトなりに試行錯誤を繰り返していたが、エレノアが求めるものとはズレがあるようで、初回デートほどの手応えはない。そしてリヒトは毎週エレノアとの約束の日の前には、決まって頭を抱えるのであった。

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