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守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
二章.ヘレンツェの王太子

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26.エレノアはボディガード?!

「国境を越えたね。もうすぐ迎えと合流できるはずだよ。」


朝早くにマーメイドカフェまで迎えの馬車が来て、午前中には国境を越えた。ふたりを乗せた馬車は、大きくて頑丈で乗り心地もいい。流石王族専用馬車なのだが、隣国へ魔物退治に行くというのに、お供には馬車の御者と、馬に乗った数名の騎士だけ。


「魔物退治なのに王太子と侯爵令嬢ふたりに行かせるなんてどういう事かしら?お父様とお兄様はきちんと仕事をして欲しいわ。」


侯爵令嬢の仕事をすっぽかしているエレノアだけには言われたくないが、父ロレーヌ侯爵は国王の側近、兄たちは王太子、第二王子の補佐をそれぞれ務めている。


「誰よ、ふたりで行くのを許可したのは…」

「まあそう怒らないで、エレノア。許可したのはもちろんロレーヌ侯爵だよ。初めは僕ひとりで行くつもりだったんだけど、反対されて。エレノアが一緒ならいいよと言われたので慌ててお願いしに行ったんだ。僕が守る立場でなくてカッコ悪いんだけど。」


リヒトは苦笑いを浮かべる。


「そうではありませんよ。我が道をゆく父ですが、流石に私をリヒト様のボディーガードにはしないと思います。そうじゃなくて、ふたりで力を合わせたら無敵だと思ったんじゃないでしょうか?それはそう…だけど、でも…。」


プンスカと怒っていたエレノアであったが、自分の言ったことの中に答えがきちんとあり、怒りの勢いが落ち着く。


「では、そういう事にしてもらおうか。」


そんな様子を見て、リヒトはまた目を細めて笑った。


国境の検問を通過し、整備されていない道を少し走ると、馬車が止まった。


「リヒト様、ヘレンツェの王太子様がお見えです。」

「そうか、今出る。」

「私もご挨拶を。」

「ありがとう、エレノア。」


リヒトのエスコートを受けて、エレノアが馬車を降りると、目の前には数人の騎士の中に、一際目立つ褐色の肌にシルバーアッシュの髪のイケメンが立っていた。


「リヒト!」

「レオ、久しぶりだな。」


ふたりは走り寄って抱擁を交わす。慌ててふたりに駆け寄るエレノア。


「レオナルド王太子殿下、お初にお目にかかります。エレノアと申します。」


エレノアは騎士服を着ているため、カテーシーではなく騎士の礼をとる。


「エレノア様、こんな所までご足労いただき感謝いたします。こんなにも美しい婚約者だから、リヒトも君に会える日はとても上機嫌だったんだね。」


レオナルドはエレノアの方に向き直り、人懐っこい笑顔で手を差し出した。


「まあ、お上手ですわ。でもありがとうございます。」


濃いブルーの瞳に吸い込まれそうだわ、と思いながらエレノアは微笑み握手を交わす。


「レオ、余計な事は言わなくていいから。」


あまり見たことがないリヒトのフランクな姿に、ふたりの仲の良さが伺える。


「早速だけど、現場に連れて行ってもらえる?時間もないし、先に片付けてしまおう。」

「城で歓迎の準備をしているけど、休んで行かなくて平気かい?」

「ああ、城を出てからそんなに時間は経っていない。それに魔物が気になって休んでなんていられないよ。」

「ありがとう。では、我々が先導するから、馬車で後からついてきてくれるかい?」


リヒトとエレノアは再び馬車に乗り込み、先を急いだ。

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