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守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
一章.リヒトとエレノア

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22/25

22.恐怖の謁見

「ツォルグ皇帝陛下にご挨拶申し上げます。急な訪問で、無礼をお許しください。」


ツォルグ皇城謁見の間に通されたリヒトは、よそ行きの笑顔をツォルグ皇帝に向ける。


「挨拶はいい。条件は何だ?」

「条件と言いますのは?」


リヒトはコテリとわざとらしく首を傾げる。


「捕虜開放の条件は何だと聞いている!」


皇帝は自国内ということもあり、一旦強気で対応する。


「捕虜だなんて物騒ですね。貴国の騎士が我が国の領土内で迷子になっておられたので、保護しただけです。」

「は?」


リヒトはなおも笑顔で続け、皇帝の警戒が少し緩む。


「可哀想に、混乱して攻撃魔法を放ってしまった様なのですが、国境の街に備え付けているカウンターシステムが作動してしまった様で。害意を持って攻撃魔法が放たれた場合に、自動で攻撃を跳ね返すシステムでして…」(そんなもの実在しません、あるとしたらエレノアシステムです)


皇帝は無言であるが、驚きの表情を隠せない。


「幸い、我が婚約者が現場近くにいたので【回復の泡】で一命を取り留めましたが、そうでなければ危ないところでした。」(命が危なかったのも、命を取り留めたのもエレノアのお陰です)

「ご婚約殿、礼をいう。表を上げよ。」


それまで頭を下げていたエレノアが顔を上げて、ニコリと微笑む。


「初めまして、ツォルグ皇帝。お会いできて光栄です。僭越ながら、【回復の泡】での回復後も混乱が続き、攻撃が続いては貴国の騎士も我が国の国民も危険に晒されるため、やむなく【催眠】もかけさせていただいていること、ご容赦いただければと思います。」

「まずは我が国の騎士を保護、回復していただき感謝する。強制的に眠らせていることもやむない事である。気にされるな。」

「感謝いたします。」

「で?」

「「で?」」


リヒトとエレノアは首を傾げる。


「で?と言いますと?」

「要件は何だ!」


皇帝は自身がラナスへの奇襲をかけた事を丸っと棚に上げて、苛立ちを見せる。


「貴国の迷子の騎士と衛兵を保護して送って来た。それだけですよ。いえ、それだけにさせてもらえますね?」


リヒトは笑顔のままだが、声がワントーン低くなる。目の奥も笑っていない。


「奪い合いや諍いは何も生み出しません。残るのは無だけです。自身の国、国民の幸せを1番に考えるのが為政者の勤めですが、それは他国の国や国民の幸せを蔑ろにしたり、ましてや壊すこととは違います。」


リヒトはツォルグ王をまっすぐ見つめる。


「隣国にちょっかいかけてる暇があったら、自国の為に何をすべきなのか、自国にあるもので何が出来るのか、自国の強みは何なのか、他国と協力してさらにそれを伸ばせないか。考える事もやる事もたくさんあると思いますわ。他を排する事は1番安易に思えますが、いずれ報復を受けます。聡明なツォルグ皇帝であれば、もちろん大陸の歴史はご存知でしょう?」


エレノアは笑顔を崩さず、出来るだけ穏やかに伝えた。


「混乱していたとはいえ、攻撃は攻撃。反省して、2度とないようご指導よろしくお願いします。あ、個々に罰は必要ありませんので。貴国にも何も求めません。2度とないようにだけお願いします。次も彼女が近くにいるとは限りませんので。」


リヒトはまた、よそ行きの笑顔を作る。


「では、本日はこれで失礼致します。」


エレノアは手を天井にかざすと、王城の上に浮かんでいたシャボン玉が謁見の間一面に降りてくる。


「【解除】」


エレノアがパチンと指を鳴らすと、泡が割れて兵がドサリと床に並んだ。


「傷は回復していると思いますが、長距離移動でお疲れだと思うので、ゆっくりさせてあげてください。」

「急ぐので、空中で国境越えの許可を頂けますか?午後の会議に出ないと父上に怒られますので。」


リヒトは苦笑いを浮かべた。


「許可する。国境警備に連絡を。」

「ありがとうございます。では。」


リヒトとエレノアは短く礼をとり、足早に皇城を出ると、【上昇気流】で一瞬で飛び去ってしまった。

他に魔力を充てていないため、ふたりの全力の【上昇気流】は恐怖以外のなにものでもない。窓からその姿を見たツォルグ皇帝の顔は真っ青であった。


「国境越えの許可は間に合わんな。…まあ、あのスピードであれば誰も目視できまい。」


皇帝は首を横に振る。


「こちらに来る時は、わざわざ民に見せつけるためにゆっくり進んできたのか…。大国が大国たる所以を見せつけられたな。」


そして、ツォルグがアランデルに侵略する事は未来永劫なかったのであった。(なんといっても、恐怖のカウンターシステムが街を守っているのだから)

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