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守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
一章.リヒトとエレノア

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19.頼れる人

「流石にこのまま王城には行けないわね。」


王都にたどり着いたエレノアはロレーヌ邸に立ち寄り、窓から侵入すると、自分で着替えられる簡単なドレスに着替えた。そしてまた、窓から飛び出す。

ちなみに、失踪中のエレノアが捕虜入りのシャボン玉を引き連れて空に浮いてると大騒ぎになるため、王都中に【催眠】をかけている。エレノアより魔力の高い人などそうそういないため、ほぼ全員効いているであろう。平常時であれば犯罪に当たるかもしれないが、今は国の一大事である。しかも夜なので、元々みんな寝ている。多分大丈夫だと思う。


「あっ、忘れてた。なんかドレスがブカブカだと思ったのよね。」


そう言うと、エレノアは魔法を唱える。


「【変化】」


夜空の中、エレノアの周りがキラキラと光り、少年の姿から銀色の髪が靡くラベンダーの瞳の女の子の姿に戻った。





コンコンコン。


「リヒト様。リヒト様。」


エレノアは窓を叩く。リヒトが眠る部屋の天窓を。


「ん…。んん。…え!えーーーレノア?」


天窓を除く怪しい女にいきなり攻撃魔法を喰らわせないリヒト様。流石です。めちゃくちゃ怖かったから【光の壁】張ってたけどいらなかったです。100%信じられなくてごめんなさい。


リヒトがベッドから立ち上がり、おいでと手招きしてくれたので、天窓をこじ開けて、部屋の中に飛び降りる。お姫様抱っこで受け止めてくれた。魔法で緩衝しているとは思うが、普通にカッコいい。【催眠】が効いていない時点でやはり魔力が高いのだろうし、惚れ直したいところだが、今はそれどころではない。


「リヒト様、私たちの婚約はまだ有効でしょうか?」

「ああ、公には何も変わってはいない。」

「よかった。では、私エレノアという婚約者同行で外交に向かいましょう。東の国のツォルグに。」

「え?」

「え。」

「何で?」

「そうですよね。そうなりますよね。申し訳ございません。忘れてください。」


エレノアが肩を落として出て行こうとすると、リヒトに腕を掴まれる。


「違う。断りたいわけではない。何をしにツォルグ行きたいのか尋ねただけだ。」


振り向いたエレノアの両手を取り、目を合わせて頷く。エレノアも同じように頷き、話し始める。


「助けてください。困っています。手に余る捕虜を捕まえてしまいました。」


頭に大きなハテナが浮かんだリヒトは、ゆっくりと首を傾げた。


「…ってなりますよね。ちょっと失礼します。」


そう言うとエレノアはリヒトを抱えてえて【上昇気流】で飛び上がり、天窓から外へ出る。


「な、何なのこれ…」


リヒトは目を丸くして呟く。寝てるところを叩き起こした上に、混乱させてばかりで申し訳ない気持ちになる。しかし、エレノアには時間がないため一気に説明する。


「彼らはツォルグ側から東の国境の街ラナスに侵攻してきました。咄嗟に【反射】で攻撃を返してしまったので、【回復の泡】に入れて【催眠】で眠らせています。」

「…この者たちをツォルグに返したいんだね。」

「はい。」


話が早くて助かる。


「分かった。これからツォルグに伝令を飛ばして、後を追いながらラナスに向かおう。流石にこの人数を、王城の真上に浮かべておくのは目立ちすぎる。」

「かしこまりました。ラナスに置いてくることも考えたのですが、流石にこの人数はあの子たちでは管理できず。」


魔法はある程度の距離を離れてしまうと無効になってしまう。いくらエレノアでも、王都からラナスにいる大量の捕虜の管理はできない。


「とりあえず、準備をしたいのだけど…」

「はい、いくらでもお待ちします!」

「いや、あの。私は別に構わないのだが、一応婚礼前なので一旦外で待ってもらえないかな?」

「も、も、も、申し訳ございません。【上昇気流】」


エレノアは慌てて天窓から退出したのだった。

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