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守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
一章.リヒトとエレノア

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14.貴族令息コレクション事件

「で、お兄さんはなんで僕を捕まえようとしたの?」


森の中で、目覚めたお兄さんへの尋問タイムが始まっている。ちなみに、普段のエレノアは平民の男の子を装っているため、街での会話はこのスタイルだ。


「…」

「誰かに頼まれたの?」

「…」

「もう一度だけ聞くよ。なんで僕を捕まえようとしたのかな?」

「…」

「…分かった。答える気がないならこのまま帰せないし、縛ったまま森の奥に置いてきてくれる?」

「かしこまりました!」


2人の土人形ちゃんたちは、お兄さんを軽々持ち上げて走り出そうとした時、ようやくお兄さんの声を聞く事ができた。


「待て!話す、話すから!」


いくら魔法が使えるとはいえ、魔法で捕縛された(上位の魔法使いに捕縛されれば解除できないし、魔法も使えない)まま魔獣のいる森の中に放置されれば、それは死刑と同意である。

まあ、本当に何も話さなければ街の自衛団に引き渡すだけなのだが、エレノアの正体を知られた人物だとまずいため、できるか限りの情報を引き出したい。


「じゃあ最後のチャンスね。誰に頼まれたの?」

「誰にも頼まれてない。本当だ。ただ、男の子なのにめちゃくちゃ可愛かったから、捕まえてコレクションとして飾っておきたかっただけだ!」

「…ほうほう、なるほどですね。僕、可愛いですもんね。(女の子だし)」

「そうだよ、それだけだ。答えたんだから離してくれよ!」

「分かった!ずいぶん遠くまで連れてきちゃったから、お兄さんのお家までみんなで送っていくよ。」


お兄さんは一緒驚いた顔をしたが、3人の顔を順番に眺めて、頷いた。それはそれは美男美女揃いでしょう。コレクション魂に火がつくほどに。




道中、自分たちでお店をオープンする事、トランプをモチーフにしたケーキが4種類ある事、紅茶もバラの香りがして美味しい事など、店の宣伝をしたり、お兄さんは普段何をしているのか、家族はいるのかと世間話したり、年齢は?名前は?と尋問の続きをこっそり挟んだりしながらお兄さんの家に到着した。彼の家は街の中でも5本の指に入る大きなお屋敷だった。


ガチャリと鍵を回し、お兄さんが扉を開ける。「どうぞ。」と笑顔でエレノアと土人形ちゃんを先に中へ通す。


「【催眠「【反射】」


背後から催眠魔法をかけてきたので跳ね返した。


「懲りないですね。」

「証拠品の元へ、案内ご苦労様です。」


エレノアたちが屋敷の中に入ると、広い廊下の両側に大きな人形がずらりと並んでいた。


「ひっ…」

「人ですね、マスター。」

「コレクションの名に恥じない数です。」


それは予想通り、本物の人間だった。お兄さんが『コレクション』と口を滑らせたため、すでに攫われた人がいるのだろうと確信を持って案内させたのだ。死んでいたり、石像にされているのではと危惧したが、【停止】魔法をかけられて、固定具で壁に固定しているようだ。まあ普通に人間に使ってはいけない魔法だ。見る限り美しい女性や子どもが多いが、平民とみられる人が多いので、魔法への耐性も低いのであろう。


一刻も早く助けたいが、この状態を自衛団に通報して現行犯逮捕してもらわなければならなと思い、急いで自衛団役場に走り込んで通報した。3人で命からがら逃げてきた設定で、なんの疑いもなく信じてもらえた。


お兄さんの名前は、…忘れたが、どこぞの貴族のご子息で、性格に難がある為、辺境の街の屋敷に軟禁されていたという。当初数人いたという使用人たちは、お兄さんの暴言、暴行に耐えきれず皆逃げ出し、自由に出歩けるようになってから美男美女コレクションを始めたらしい。その親にしてその子ありとはよく言ったものだ。


人は閉じ込めちゃダメ、絶対。


近頃ウェスタリア周辺では行方不明者が続出しており、状況証拠ではお兄さんがかなり怪しいと思われていたが、あれでも一応貴族の端くれのため、自衛団も無闇に手が出せず困っていたそうだ。大手柄のエレノアは、おかげでこの街の有名人となった。その後、ウェスタリアにオープンしたアリスカフェは、オープン直後にも関わらず大盛況が続くことになる。

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