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守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
一章.リヒトとエレノア

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13/32

13.エレノアカフェ、オープンです

「いらっしゃいませー!」


東の国境沿いの街、ラナス。さらに街の東の端にある小さな入り口の白いお店。店の中には、土人形たちの元気な声が響き渡り、シナモンの甘い香りが漂う。


「アップルティーとアップルパイをふたつずつ」

「かしこまりました。」


7人の小人の格好をした美しい少年少女達(ただし土人形)が給仕してくれる、アップルパイの美味しいカフェ。

この国の童話をコンセプトにした可愛らしい店内。りんごをモチーフにした小物と、小さな日用品を模した小物が飾られた小人の家エリア。薄暗い照明の中に宝石のイミテーションライトを飾った洞窟エリア。店内はそのふたつのエリアに分かれていて、椅子やテーブルなどもそれぞれのエリアに合わせた作りとなっている。

ちなみに、小人の家エリアは椅子とテーブルも小人サイズの小さめに作られた物だが、ニコイチで並べられ大人でも普通に座れるように調節されている。


ラナスの若者や女性達の間で瞬く間に話題となり、さらには周辺の街や国境を越えてやってくる客も日に日に増えている。オープンから1ヶ月経った頃には軽い観光名所化していた。


土地代は格安(街外れの森の近くだから)、建設費ゼロ(拾ってきたものを使って自分で作ったから)、減価償却はほぼ考えなくてよし。

人件費ゼロ(もちろん土人形だから)、原価も格安(香辛料と動物性の物以外は庭で自家栽培)、売り上げはほとんどそのまま利益。リスクなし。


「2店舗はどこにしようかしら?」


可愛らしい店内とは裏腹な、簡素なバックヤード。帳簿を見ながらニヤつく美少年、もといエレノア。既に次の店舗の構想を考え中であった。



それから3ヶ月も経たずに北の国境沿いに2店舗目をオープンした。2店舗目は馬車とガラスの靴をモチーフにしたパンプキンパイが名物のカフェ。城のそのまま小さくしたような建物で、店内もお城をイメージした作りで、内装はブルーで統一されている。ガラスの靴のイミテーションが部屋の中央に飾られていて、馬車を模した席3つある。馬車の席は半個室のようになっていて、この席が1番人気だ。ここに座るために何度も通う常連もいるほどだ。


その後すぐに3店舗目と4店舗目をオープンして、エレノアのカフェは国内初のチェーン店となった。(皆が気軽に国中を移動できるわけではないので、普通はそんな事しない)

南の国境沿いに建てた3店舗目は、人魚と海をモチーフにした浮き輪型のドーナツが名物のカフェ。西の国境沿いに建てた4店舗目は、白うさぎと猫をモチーフにしたトランプ型のケーキが自慢のカフェだ。全てのカフェで童話をモチーフにしつつも、別々のお話を元にしているため、建物の雰囲気も内装もレシピも全く違うものにしている。


「うんうん、これで同じオーナーのお店とは気づかれないわ。」


西の国との国境沿い、ウェスタリアという街に最後に建てたアリスカフェを前にご満悦のエレノア。


「転移陣をそれぞれのお店に設置したから、逃亡生活の隠れ蓑にピッタリだわ。」


これで東西南北の国境沿いにエレノアの隠れ家ができたのだ。見つかってどうしようもなくなったら、そのまま国外に逃亡してしまってもいい。

スキップしながら店の周りをぐるりと回り、また正面に戻ってきたところで、突然後ろからぼそっと声がした。


「【束…】」

「【束縛】」


エレノアは誰かがかけようとした捕縛魔法をかわしながら、同じ魔法をかけ返す。本来、一般人に使ってはいけない魔法だが、同じ魔法をかけ返したところで正当防衛だろう。まさか自分が捕まえられると思わなかった魔法の発動者は、驚いて失神してしまっている。


「さて、どうしたものかしら。」


ひとまず店内の土人形ちゃんたちを2人呼び出し、急いで森の中に失神したままのお兄さんを運んでもらった。

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