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守ってあげたい蠱惑姫と思いきや、1人で何でも出来る孤独姫でした〜捕まえておけないので自由にさせておきます〜  作者: 朔島 涼
一章.リヒトとエレノア

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11.突如現れたお店

「いやー、昨夜はすごい風だったな。」

「家が壊れやしないかと、一晩中ヒヤヒヤしたよ。」

「何も壊れた形跡はないし、一安心…ってなんじゃこりゃーーーー!」


その日の朝、ラナスの街の住人たちはもれなく驚愕した。前日まで森の中であった土地に、一晩のうちに建てられた白い可愛いお店を目にして。しかも台風並みの強風の中、施工された建物。


「ま、魔法か…」


正解であるが、この発言者の思考と実際の施工工程には大幅な違いがありそうだ。


「魔法で運んできたのか…。もしくは、取り出したのか…。」


通常はそう考えるであろう。しかし、ここの施工主は、大工さんが行う普通の建築方法を魔法を使って時短で行っただけである。何故ならば、知識の元手は書庫で見つけた『正しい建築・正しい施工 全13巻』である。「【いでよ、可愛いお店】!」ではいけなかったのだ。そして、街の人が嵐だと思っていた風の音は、エレノアが音のカモフラージュのために森の中と街の上空だけに起こした【突風】の連打であり、街に被害が出ない様に上手くコントロールされていた。




「さて、そろそろカタチになっているかしら。」


昼過ぎに宿のベッドから起き上がり、遅めのブランチをとってから現場へと向かった。

建物の割に少し小さめの店のドアを潜ると、そこには、やはり小さなテーブルとイスが並べられていた。調理用のカウンターとキッチンの枠組みも出来ている。レンガで作ったかまどや洗い場、木材と大理石で作られた調理台。主人不在でも土人形たちのその仕事ぶりは完璧だ。


次に裏口から住居部分に入り、中を見て回る。こちらのドアは通常サイズである。家具も普通サイズのベッドやテーブル・イス、備え付けのクローゼット、そして店のものよりもかなり簡易的なキッチンが設置されていた。


「うんうん、いい感じじゃない。初めてにしては上出来。さすが私の土人形ちゃんたち。」


エレノアが満足そうに頷くと、土人形たちはそれぞれに照れたような仕草をした。


「では、次のミッションに移ります。【合体】」


小さな100体ほどの土人形たちが次々と合体していき、エレノアの膝丈ほどの大きさだった土人形は7体の腰丈の土人形に姿を変えた。


「エレノア様、新しい姿を与えて頂きありがとうございます!」

「新生活楽しみですね!」

「今日からこちらで暮らしますか?」

「いつからお店を開きますか?」

「その前に生活用品を揃えないとですね。」

「お店の調理器具もないです。」

「ではまずお買い物に行きましょう!」


次々と7人の土人形たちが話しかけてくる。100体の土人形にお喋り機能をつけなかったのは収拾がつかなくなりそうだったからだが、7人でもなかなかのものだ。しかしながら、エレノアはもう限界であった。何がか…それは、独り言である。誰かと言葉のキャッチボールがしたかったのだ。


「ストーーープ!その前にあなたたちの服を買ってくるわ。いくら子どもの姿とは言え、そのまま街に出たら大騒ぎになるわよ。」


土人形、全裸であった。


「とりあえず服も着て落ち着いたところで、みんなの名前をつけましょうか?左からイッチ(男の子)、ニイ(女の子)、サン(男の子)、ヨン(女の子)、ゴウ(男の子)、ロック(男の子)、ナナ(女の子)でどうかしら?」

「「「「ありがとうございます!」」」」


土人形たちは皆満足そうであった。安易な命名であったが、土人形その1その2よりは百万倍愛着のある名前である。


「もうね、めちゃくちゃ寂しかったー。ずっと独り言で誰も返してくれないんだもの。必要以上に人と関わらない方がいいし。」

「これからは私たちがずっと一緒にいます。」

「ありがとうー。会話できるのってこんなに嬉しいことだったのね。」


エレノアは土人形たちと抱き合い、喜びを分かち合った。

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