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202x年2月17日バルト海中心部からの発信記録映像



________ガタッ





...仕事終わりの平日。


疲れて汗をかいた体をシャワーで洗い流し、あなたはPCの前の椅子に座った。


今日も日課の小説サイト"なろう"に潜り、異世界へ続く電波の海へと飛び込んでいく。


こころゆくまで堪能したあなたは、日課のうちに入ってるこの小説を読むために、最後にこのページへとたどり着いた。






カチッ カチカチッ






画面が読み込みを拒む。


フリーズしている。






ザザッ______ザッ________






________ブチュンッ"_"_________






『________』


『_____あ"____あ______もしも"__し___も"し_もーし』


『んー?繋がったかにゃ?どうも昔のビデオカメラだと画質も音質も荒くて最悪だにゃあ』


『どうも、この小説に辿り着いた"あなた"へ。私の名は...そう、猫って覚えるといいにゃ。見た目通りで覚えやすくていいにゃ』





目の前がブラウン管のような荒い画質の映像が流れ込む。


カーキのトレンチコートを着た茶髪の短髪の女が緑色の小汚いソファーに座っている映像だ。


あなたは少し恐怖を覚え、PCの主電源へ手を伸ばしたが、言うことが聞かないのか電源は落ちない。


何度も、何度も何度も、長押しして試してみようが結果は変わらなかった。


よって、あなたはこの"現象"が貴重だと判断し少しその映像を眺めてみることにした。






『ちなみに電源は落とせないにゃ。そのための古いビデオカメラなんにゃけど...ま、こっちの話にゃ。気にするにゃ』


『いやぁそれにしても、君はこの物語の世界観を感じてどう思ったかにゃ?B旧映画みたいなシナリオで面白い?それともひたすら過激を求めてるユーザー?』


『どちらにしても、読んでくれることこの上ないにゃ。ただ、そんな君に知って欲しいことがあるんだにゃ。それは...』






『___この物語に登場する全ては実在する事柄なんだにゃ_____』







『...ぶっ、にゃはは!そんな怯えなくてもいいにゃ。特に遠くから見てる君になんかは一切関係のない話にゃんだからね』


『ただね。"君の隣でこの物語みたいな出来事が起こっているなんてことはない"なんて、私は一言も言ってないにゃ』


『現に今、君に話しかけてるんだからね』






額に変な脂汗を感じ、気づいた時にはあなたは玄関の扉の鍵を閉めに行った。


その間にも猫はハッキリとした声で話を続ける。






『一見奇妙に聞こえるが、それは全くおかしくは無い。裸の人間を叩けば無限のホコリが出てくるもんだにゃ』


『奴隷、強姦、自殺、リンチ、拷問、イデオロギーの誘導、洗脳、人体実験、カニバリズム、贄』


『これも含めて人類の歴史にゃ。負の遺産とかそんな綺麗事じゃなくて、それが"裸のままの人間"なんだにゃ』


『じゃー今の自分は本当の意味での人間じゃにゃいって?確かにそうかもにゃ』


『ただ、みんながみんな本当の意味での人間、同じく裸のままの人間としていきていたら人間社会は混沌と化すにゃ』


『腹減ったけど近くに仲間しか居ないからあいつ食べよ。なんかあいつの顔ムカつくからボコボコにしたら死んじゃった、食べよ、とか』


『まぁそんな"共食い"を回避するために人類は理性というものを手にしたんだにゃ。そしてそれを元に法律というものが作られた』


『でもにゃ...今話したこんなクソ長い歴史の中でもその理性を遺伝子的に拒み続けてきた奴がいるにゃ』


『それが現在における犯罪者、または指名手配犯』


『その中で狡猾で、かつ頭のキレる奴らが形成しているのが犯罪組織、または反社会的勢力』


『そしてそして、その犯罪組織や反社会的勢力が自分らに都合のいい掟で作った環境を裏社会って言うんだにゃ』


『いやでも...こうして見ると、同じ人間なのに人間社会から追放された人間を見ると人の形をした化け物のように見えるのはなんでなのかにゃ?これも私らに組み込まれた防衛本能の一部なのかにゃ?』


『ま...っんなこと知らないにゃ。つまり何が言いたいかって言うと』


『君の隣に住んでいるおばさんはゴミから生えたキノコをカレーに入れる奴かもしれないし、そのまた隣のお兄さんは自分を殴って興奮する理性を拒み続けた遺伝子なのかもしれないってことにゃ』


『まぁそれは、"みんな違ってみんないい"ってことなんにゃろね。にゃははははっ!!』






「...」






『はーあ...大阪府梶〇市塁〇区2条13丁目周辺。あと5分で着くにゃ』


『丁度射撃用の生きた人間を注文されたんだにゃ。注文主は日本人をご希望にゃ』


『あぁ、別に君に恨みはないにゃ。宝くじに当選したと思っとけばいいにゃ。どうせ海外に売り飛ばされれば今までの人生なんてないも同然だから』


『ん?いつ私が無害なんて言ったかにゃ?これでも私も裏社会の人間にゃ』





外の階段から誰かが登ってくる音が聞こえる。


錆び付いた甲高い音だった。


1人...いや複数人。






『じゃ...話は終わりにゃ。ばいにゃ〜』






________ブチュ'ンッ__________







やがて静寂があなたを包み込み、階段を登る足音も消えた。


ただ、何か玄関の前で布を()るような音が微かに聞こえる。





...コンコンコンッ





「こんばんはぁ、宅急便でーす」








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