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第3話 やけになって

 気が付けば僕は眠っていたらしい。そして僕はいつも間にか装飾が施された高貴な服を脱ぎ棄て、貧しい民が着るような貧相なボロ着に着替えていた。所々ほつれていて、肌触りが悪いが、薄手で動きやすく、体が熱かった僕には過ごしやすい服だった。

 まだ頭が朦朧とする。

 すると急に馬車が止まった。外から男の声がする。


「おい、到着だ」


 錠が外される音が聞こえると。前の扉が開いた。男は僕を見ると鼻をつまんで、露骨に嫌な顔をした。


「うお、ドブみてぇな匂いだな。……こりゃ驚いた。まぁ、こんなに飲んで……」


 男は僕が飲み干した空の酒瓶を見て呆れていた。


「用なしのクズ野郎と聞いていたが、これならいいんだろうな」


 男は手で降りろと促した。

 僕はまだ頭が醒めてなかった。うつろな目でふらつきながら、馬車からお降りる。


「あばよ。俺はここまでだ。後は自分の足で行くんだな。逃げても無駄だぜ。もうここは魔王の領地だ。怪しい奴は、即、おじゃんさ」


 もう僕は男が何を言っても、無反応だった。思考は完全に停止していて廃人みたいになっていた。

 

 男が乗った馬車が方向を変えて去っていく。残された僕は取り合ず眼前にそびえたつ城に向かって、とぼとぼと歩いた。

 

 周りは広い平原だったが僕の歩いているところは一本道になっていて迷うことはなさそうだ。それでなくても、あのそびえ立つでかい城を見失うことはないだろう。


 陽は傾いて、夜までに時間がない。果たして僕は無事に辿り着けるだろうか。

 僕はしばらく歩いた。しばらく歩いてふと足を止めた。

 自分のしていることの意味のなさに呆れてしまった。

 なぜ自分から魔王の生贄になろうとしているのか。


「ちぇ、どうにでもなれ」


 僕は道を逸れて生い茂る草の上に寝転んだ。

 酒のせいで頭がガンガン痛い。

 気分は最悪だが、このまま寝ていればいい。そうすれば近くの野獣、それか魔王の仲間に襲われるだろう。できれば寝ているうちに殺してくれ。

 酔いが回ってきて意識を失うように僕は眠ってしまった。


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