第二章 カフェオープン!
「お嬢様、本当にこの通りに店を? 泥だらけの馬車が通るような場所ですよ……」
執事のガストンが青い顔をしている。
目の前は王都・アルテミアの外れ。
石畳もボロボロで洗濯物が風に揺れる路地裏。
でも──ここが私の夢の場所。
「ガストン、ここは人通りが多いわ。平民も商人も通る。差別のない本当の意味での“交流の場”になるわ」
「ですが……お嬢様がこのような場所で商売など令嬢の体面が……」
「体面なんて王太子にフラれるよりマシよ」
私はニヤリと笑う。
前世の知識をフル活用し、レシピはすべて記憶の中から絞り出した。
小麦粉、バター、卵、砂糖の調達は大変だったが、父の商会の力を借りて何とか調達した。
魔法で冷蔵庫を再現し(実際は氷魔法の応用)、コーヒー豆は東方貿易で手に入れた。
そして──
「Café Sweet Rebellion、本日オープンいたします!」
看板を掲げて、ドアを開ける。
店内は白を基調にしたナチュラルな内装。
木のテーブル、布のソファ、窓辺には観葉植物(魔法で育てた)。
最初のお客様は路地で働く新聞配達の少年だった。
「な、何だよこれ……!? 変な形のパン? それと……茶色い汁?」
「これはクロワッサンとカフェオレです。食べてみてください。きっと人生が変わるわ」
半信半疑で口にした少年の目が、キラリと輝く。
「……う、うめぇええ……!!」
その日からカフェの噂は広がった。
「外れの路地に神の味の店がある!」
「甘くてふわふわのパンに、香り高い黒い飲み物!」
「店の子、めっちゃ美人で貴族の令嬢なのに笑顔で接してくれる!」




