若く見られたいと思ったその時が大人。
前回のあらすじィ!!
初仕事は謎の大男の捜索!!
そして、ついでに明かされた及川エクストラデッキ梅子の実年齢!!
未来 オフィスにて
「「な、なんだってェーー!!」」
俺とナノハが素っ頓狂な声を上げる。
及川は俺らの反応に、満更でもないように笑顔を見せた。
俺の目の前にいるこの銀髪少女が、三十路。
正直、信じられない。
今まで女子高校生位の年齢だと思っていたのだから。
俺とナノハは、暫く空いた口が塞がらなかった。
しかし、及川はそんな俺達を無視して意気揚々と話し続ける。
「まぁウチが”チョベリグ”な美少女やから驚くのも無理ないけどな!」
「...おい、なんだチョベリグって。なに急に年代感じさせようとしてんの?ちょっと使い方違ぇし。」
及川は俺の指摘を一方的に無視して話を進めた。
「まぁウチが若々しいっちゅう話はまた後でってことで、」
「もうしねぇよ。」
「この課の課長を紹介する!!」
遂に今度は課長の紹介か。
でも確かに、元々俺達を未来に連れてきた及川がNo.2なら、この特課のトップ、つまり課長は一体誰なんだ?
俺はまだ見ぬ未来人が意気揚々とこの場に現れることを予想し、オフィスの狭い出入り口に視線を向けた。
しかし、及川が勢いよく指をさした場所は、オフィスの出入り口なんかではなかった。
その指が向けられた先は、狭いオフィスの敷地を存分に使って設置されているソファー。
そしてそのソファーに座っていたのは...
「我らが特課の課長はこの人!!『谷 紫咲』課長や!!」
サキちゃんが俺とナノハにニコッと笑顔を向けた。
「サキちゃんが課長ゥーーー!?」
俺は予想外すぎる課長の正体に、及川アラサー発覚事件以来の仰天をしてしまった。
まさか、俺達と同じ現代からタイムリープしてきたサキちゃんが、いつの間にか課長にまで出世していたとは...!!
俺とナノハはまだ下っ端なのにッ!!
「ごめんなさい2人共。別に隠していたわけじゃなかったんです。ただ、この間任命されちゃって...」
サキちゃんがはにかんで笑った。可愛い。
本当に彼女は真性のロリコンでさえなければ、完璧な美少女だったのに...。
と、サキちゃんの笑顔に釘付けになってしまった横で、ナノハが大きな声を出す。
「で、でも、なんでサキが課長なんじゃ!?サキはわしらと一緒で、まだ未来に来て間も無いハズじゃ!」
おお!よく聞いたナノハ!
正直ナノハが聞かなかったら俺から聞いていただろう。
そしてナノハの質問には、サキちゃんではなく、及川が返答する。
「サキがこの中で1番強いから。...まぁつまり、ようこそ!実力至上主義の警視庁へ!ってとこやな。」
「おいあんま他作品の名前出すな銀髪アラサー。」
いやマジか警視庁。
いくら特課が適当な課だからって、そんな単純な戦闘力で地位が決まるのか?
なんだここ、アメリカのストリートと変わんねぇな。
...しかし!実力主義であるなら、俺でもこの課で地位を築ける可能性がある訳だ!!
まぁ、素早さと特力カンストのサキちゃんに勝てるとは思わないけど...。
そんなことを息巻いている俺の横で、ナノハがわなわなと身を震わせていた。
「サ、サキが課長なら!わしも下っ端では無いはずじゃ!わしは守備力がカンストしてるし、氷の壁も作り出せるのじゃぞ!」
ナノハはこの待遇の違いに相当悔しがっているのか、対抗心をこれでもかと燃やしている。
しかし、その対抗心は及川には届いていなかったようだ。
「いや守備力高くても、ナノハちゃん他なんもできひんやん。」
「ひぐっ!」
(うわ、かわいそナノハ。)
案の定、ナノハは涙目で口をへの字に曲げていることしかできていなかった。
仕方ない、ここは1人の大学生として、このロリっ娘を励ましてやろう。
「まぁナノハ、そう落ち込むなよ。俺達はまだ下っ端かもしれねぇけどさ、これから、疾風伝入った後のナルトくらい成長して、2人で上り詰めようぜ。な?」
「...うるさい1番弱いやつ。」
「ちょ、テメ、おいクソガキ!今俺励ましてたよな!?なんで敵なの!?なんでチクチク言葉なの!?」
と、俺とナノハの喧嘩が勃発しそうになった所で、及川が口を開いた。
「...ま!ってことで今回の仕事は下っ端の特人とナノハに行ってもらう!ヨロシク!」
...はぁ、結局未来に来ても雑用か。
まぁそっちの方が俺らしいしな。
「はいはい分かったよ。じゃあ謎の大男探しに行くぞ、ナノハ。」
「わしに指図するな!」
「拗ねてんなよ...」
_____________
10分後...
未来 街中
「それで、外に出てきた訳じゃけど、どうやって大男とやらを探すんじゃ?」
「...知らん。」
「え!?し、知らんって、わしらは仕事として謎の大男を捜査しなければならないのだぞ!?」
「ナノハは意外と真面目ちゃんだなぁ〜。自称九尾の生まれ代わりがそんな仕事熱心とは、驚いたね。」
「う、うるさい!あと、『九尾の生まれ代わり』の前に『自称』をつけるな!」
俺とナノハは捜査をする為、初めて未来の街中に降り立った。
そして、流石未来。
タイヤのない車や、見たこともない構造の建物。
街中に多彩な髪色をした人間、中には明らかにヒト科ではない生命体も彷徨いている。
及川から聞いたが、宇宙人とのハーフは、銀髪の彼女のように髪色が凄いことになるらしい。
なんでもそのハーフ相手の宇宙人の種類によって髪色は変わるんだとか。そこら辺の詳しいことは分からないけど。
ちなみに、これも及川から聞いたのだが、なぜ未来人が現代から来た俺たちのように特力を使えないかと言うと、『宇宙人の血が混ざっているから。』らしい。
つまり、特力は純粋な地球人の血を持った人間でないと扱えないということなのだ。
そして今街中を見渡しても、黒髪の人間なんか一人もいない。
全員宇宙人とのハーフということなのだろうか?
もしかして純地球人ってこの未来の世界だと滅多に居ない存在なのでは...?
「まぁとりあえずさ、未来の街中を散策しようぜ、ナノハ。俺達まだ知らないことだらけだろ。」
「た、たしかに、それもそうじゃな。大男を探すがてら、未来の町というものも見てみるか...!」
ナノハも結局は、未来の世界に興味津々なのだろう。
なんだかんだ俺について来てくれた。
そして俺には、未来に来てから絶対に行きたい場所が一つだけあった。
そこに行けばきっと、色々な情報を掴むことができるだろう。
そんな確信を持ち、俺はその場所まで歩みを進めることにした。
「ようし!行くぞ、ナノハ!!」
「...ちょっと待て。」
「なんだよ、早くついてこいよ。」
ナノハが俺の目的地を前に立ち止まってしまった。
「お、お主、まさかとは思うが、目の前のあの店に行くつもりじゃないだろうな...?」
「?目の前のここに行くつもりだけど?」
ナノハは俺の腕を掴み、引っ張ってくる。
しかし、流石に女子中学生の力じゃあ俺は動かせない。
「おいおいナノハ。何をそんなに嫌がってるんだ?」
「だってだって...ここ、パチンコ屋じゃないかぁ〜!!」
続く!!
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