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特来  作者: 今木照
レッツゴー反社潰し
36/46

罪と罰、戦争と平和、林家ぺーとパー子

前回のあらすじィ!


江口の活躍により窮地を脱することに成功した特人とナノハ!

しかし後日、二人は直属の上司、及川からの説教により更なる地獄を見る羽目に...

二人は生きて帰る事はできるのか...!?

西暦2324年

警視庁 特課オフィス内にて...




「ほなら、ジブンらのしでかした事、挙げてこか?」


及川の、殺気とも取れる怒りの瞳の奥には、しっかりと俺とナノハが映しだされていた。

彼女は疲れたように「ふぅ...」とため息を溢したかと思えば、再び目をジトっとこちらに向けて睨みつけてきた。

俺とナノハは及川の一挙手一投足に怯えながら、彼女が口にする単語一つ一つに耳を傾ける。


「まず最初に、宇野なのは。」


及川の口から最初に飛び出してきた名前は、意外にも俺ではなく、横に座っていたナノハの名前であった。

一方、名前を呼ばれたナノハは俺の真横でビクリと背筋を伸ばす。


「ジブンは現場報告の際、ウチに指名手配犯...つまり、今回の騒動の発端、『堀内・ブルーアイズ・純』との接触の事実を隠しとった。更にあろうことかその指名手配犯と手を結び、奴が所属しているっちゅう指定暴力団、『和田組』に殴り込みに行ったな。命令無視に、身勝手すぎる行動、ウチらへの迷惑だけやのうて、一歩間違えとったら自分自身ポックリ逝ってたかも知れへんのやで?」


「...は、はい、仰る通りでございます...」


いつも「ワシは!」とか「~じゃ!!」とかやかましいナノハが、今は(しぼ)んだオジギソウの様にシュンと小さく丸まっている。

普段の俺ならば今の彼女の姿を嘲笑し、半年はこのネタで馬鹿にするだろう。

しかし、恐らく五分後には俺も彼女と同様、(しぼ)んだチ〇ポの様に丸くなっていると予想されるので、彼女のことは馬鹿にできない。


そして及川は委縮するナノハに向けて指をさし、冷徹に口を開く。


「今回の件の処分として、宇野ナノハの今後3カ月分の給与を減額することとする!」


「そ、そんなぁ...!ワシはまだ初任給すら貰ってないのにぃ...」


及川は、げんなりと落ち込むナノハを放置して、今度は俺に目を向けてきた。


「...次は石川特人、ジブンの番や。」


(いよいよ来るか...)


思わず、及川の輝くような銀色の瞳に吸い込まれそうになる。

彼女の銀色の瞳に捉えられると、まるで断頭台に立たされた罪人にでもなったように錯覚してしまう。

俺がゴクリと唾を飲み込むと、及川は俺の目から視線を逸らさないまま淡々と言葉を並べ始めた。


「ジブンはまず、経費としてウチが渡した通貨を、業務そっちのけでパチンコに使おうとしたらしいな?予想外の指名手配犯の出現によって未遂に終わったが、これは立派な業務上横領罪や。ほんで次に、取り押さえた指名手配犯に軽々と買収され、挙句の果てにその場に居合わせた同僚の宇野ナノハも、特人が金をチラつかせて(そそのか)し、今回の騒動に加担させた。そんで、ウチに現場報告の場で嘘をついた事は最早言うまでもなく、途中で踏み止まろうとしたナノハを引き留めてまで、危険な『反社潰し作戦』とやらに参加させた。...ホンマ、ウチらに迷惑かけた上に人間性にも問題アリとか、あの現場で一歩間違えてポックリ逝っとた方が世の為やったんちゃうんか?」


(アレ...?なんかこの人、俺に対して当たり強くない?)


彼女の個人的な感想も含まれていそうな物言いに少しだけイラっときたが、生憎俺はこの場で反論する権利も度胸も持ち合わせていなかった。


そしていよいよ、及川の口から俺への処分が言い渡される。

まぁナノハは3ヵ月減給だったので、恐らく俺も同じような感じにはなると思うが。


「それで、及川...さん、俺の処分は一体...?」


俺は息を飲み、彼女が次に口にする言葉に全力で耳を傾ける。

あわよくば一発芸とかであってくれ...!



「それでは石塚特人の処分として、今後一年間の月給を、951円に固定することとする!...あと一発芸もすることとする!」



「...は?」


理解が、できない。


今この時も、俺の頭の中にはハテナマークが溢れんばかりに沸き上がっている。

目の前のこの女は、一体何を言っているんだ?

俺の月給が、951円?


まるで意味の分からないその処分に思わず、俺は聞き返してしまう。


「いやいやいやちょっと待て。え、俺の聞き間違いか?月給が、951円?時給じゃなくて?」


「聞き間違いじゃないなぁ。()()やのうて、()()や。」


俺は唖然とした。

この女はマジのマジで俺の月給を、労基もビックリの超薄給にしようとしてやがるのだ。


俺は暫く唖然としていたが、一秒、また一秒と時計の針が進むにつれ、心の内に怒りが込み上げてくるのを感じていた。

普通の思考回路をしている人間なら、こんな単純かつ理不尽極まりない処分に「ハイ分かりました」なんて納得できないだろう。無論、それは俺もだ。

俺は何とかこのふざけた決定を覆そうと、勢いよく立ち上がって及川に怒鳴りつける。


「おぉい及川ァ!!テンメッ...それは横暴が過ぎるだろッ!なんでナノハの『三ヶ月減給』に対して俺は『一年間月給951円固定』なんだッ!釣り合ってなさすぎる!!林家ぺーとパー子のボキャブラリーくらい釣り合ってねぇよ!...ってかシレっと一発芸も付け加えてたよね?絶対今思いついたよね!?一発芸は上からの指示じゃないよね!?」


「...一発芸も上からの指示や。林家ペーパースタイルでもええぞ。」


「林家ペーパースタイルの一発芸って存在しねぇだろ。」



続くッ!!

最後まで読んでくれてありがとうゥ!評価、感想、ビシバシよろしくゥ!!

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