正直ゴキよりカメムシの方が嫌。
前回のあらすじィ!!
ヤクザ潰しの協力者、ブルーは、自身の特能について特人とナノハに説明を始める!
しかし、そこで明らかになる彼の特能が実はとんでもないモノで...?
西暦2324年
とある路地裏にて......
目の前に居るドレッド男こと、ブルーは、自分の特能、『狂犬』についてのデメリットを俺とナノハに説明してくれていた。
「この特能には、デメリットが二つ存在スル。まず一つは、攻撃力が上がる代わりに、知力が下がることダ。」
「どのくらいまで?」
「たしか、知力が4とかになル。」
「...........」
「ちなみに、カメムシの知力が10。」
「その補足によってお前への不安が3倍くらい大きくなったわ。」
俺とナノハは急いでブルーから顔を逸らし、彼に背を向けてヒソヒソと秘密の会議を始める。
「お、おいナノハ...!アイツの特能って滅茶苦茶じゃねぇか...!俺でも知力250あるのに、4って...!カメムシより知力低くなるって何事...!?逆にカメムシとアイツの間にある6の知力の差は何なんだよ...!」
「ほ、ほら、カメムシって身の危機を感じると臭いの出すし、そこが差なのではないか...?」
「いやそれ知力関係ねぇだろ...!それは『臭力』だよ臭力...!カメムシの臭力はそれはもうカンストレベルで.....って、臭力ってなんだよッ!!」
「あ~もう、一旦落ち着くんじゃ...!知力がカメムシ以下になる点を含めても、ブルーのチート攻撃力は大きな武器になる...!じゃから一旦ここは__」
と、俺達がブルーに聞こえないようにゴニョゴニョと会議をしていると、その様子を見ていたブルーが俺達を不審がりながら声をかけてきた。
「なぁオマエラ。」
俺とナノハはビクゥ!っと背筋を伸ばし、ゆっくりとブルーの方に振り返る。
流石に本人の目の前でコソコソと知力の事を不安がるのはマズかったかと思い、俺はブルーの顔色を伺いながら笑顔を作る。
「な、なんでしょブルーさん?あ、別に僕たちは、カメムシより知力が劣るブルーさんの陰口を言っていた訳じゃないですよ?そのー、アレですよアレ、....あ!そうそう!臭力についての話をしてただけで!いやぁ、最近暑くなってきたせいで汗で蒸れてねぇ、男性はデリケートゾーン周りの臭力が気になり始める季節だねぇ、なんて!あっはっはっは」
しかし、ブルーは俺の渾身の言い訳をシカトして、俺達の秘密の会議の議題を見透かしたように、自分の知力に関しての言及を始めた。
「まぁオレの知力が低くなって不安になるのは当然だと思うが、そこら辺はまだ安心していいゾ。特能を使ってカメムシより知力が低くはなっても、流石に仲間と敵の判別くらいつくサ。」
「ホントかの~...?まぁ今はお主の特能が頼りじゃから、それを信じるしかないが...」
俺とナノハは仕方がなくブルーの言葉を信用し、話を進めた。
ブルーは仕切り直すように咳払いすると、再び自身の特能、『狂犬』についての説明を始めた。
「今度は、狂犬のデメリット、二つ目について説明スル。二つ目のデメリットは、狂犬の発動中、俺とはコミュニケーションが取れなくなることだ。」
「それは知力が4になっちゃうから、言葉が話せなくなるって意味?」
俺はブルーの語る二個目のデメリットに対して、誰もが想像できる安直な予想を尋ねてみる。
そりゃあカメムシより知能が低くなったら、人語も話せなくなって当然だ。
しかし、ブルーは早々に俺の質問を否定してきた。
「イヤ、言葉は話せるんだ。ただ、話せる言葉と言うのがダナ...」
ブルーは一瞬目線を逸らすと、決まりが悪そうに説明を続けた。
「まず、オレの狂犬が発動するトリガーから説明スル。発動条件、それはオレが、動物の名前を叫ぶことなんだ。」
「.....はい。続けてもらって。」
恐らく、一時間前の俺ならこの時点で一心不乱にツッコんでいただろう。
しかし、今の俺はこの程度でやすやすとツッコんだりしない。
コイツの名前にツッコみ、コイツの粗暴な作戦にツッコみ、コイツのカメムシ以下になる知力にツッコみ、俺はもうツッコむことに疲労困憊だ。
だから俺は大人しく、ブルーのふざけた特能の発動条件を飲み込んだ。
依然、目の前のブルーは気まずそうに説明を続ける。
「それでダナ、さっき説明した通り、オレは特能を発動すると知力が4になるダロ?その結果、狂犬モードの時のオレは、あらゆる動物の標準和名しか言葉を発せなくなるンダ。....まぁ不便ではあるが、呪術の狗巻先輩的な立場だと思えば悪くないし、ソノー、...よろしくナ!」
ブルーは誤魔化すような笑顔を浮かべ、俺達に親指を立てた。
しかし、残念なことに俺達はドレッド野郎の笑顔で誤魔化されない。
「......よし、ナノハ、集合。秘密会議だ。」
「うむ。」
俺とナノハは再びブルーに背を向けると、彼についての二人だけの秘密会議を始めた。
「ねぇナノハちゃん。あのドレッド野郎、完全にふざけてるよね?なぁに?動物の標準和名しか言葉を話せなくなるって。どんなに質の悪い魔法使いでも、そんな呪いはかけないよ。」
「全くの同感じゃ。知力が著しく低くなるのはまだ理解してやれるが、その結果動物の標準和名しか話せなくなるとか有り得んじゃろ。キャラ作り下手かアイツ。」
「な!ってか、狗巻先輩を引き合いに出してきたことも今になってムカついて来たわ。狗巻先輩はあの爽やかなビジュアルでおにぎりの具しか話せないのがギャップでカワイイのに、ドレッドの黒人が動物の標準和名しか話さなくても可愛くねぇし、普通に怖いだろ。」
「動物好きのレゲエラッパーとかには刺さるんじゃないか?」
「動物好きなレゲエラッパーなんて居ねぇよ。」
という事で、俺達の秘密会議は一段落し、俺とナノハは再びブルーの方に顔を向ける。
ブルーは緊張したような面持ちで、恐る恐る俺達に尋ねてくる。
「今二人で何の話をしていたんだ?もし、俺の特能のことなら___」
「えーその話は結構です。俺とナノハは話し合った結果、私達は貴方のその杜撰なキャラ付けを信じないことにしました。」
俺とナノハは、頑として揺るがない岩の如き顔で、ブルーの二つ目のデメリットを信じないという議決を彼に突きつけた。
ブルーはショックを受けたような顔で、大袈裟に口をOの形に大きく開けた。
「ソンナ!?...ま、まぁ別に信じなくてもいいんだけど、オレは本当のことしか言ってないからナ...?」
「はいはい。みんな自分のキャラ付けには必死になるものだから、そんなに恥ずかしがることないよ。ホラ、ここに居る宇野なのはさんなんて、未だにこんな必死に中二病キャラで頑張ってんだから。」
「ワシはキャラ付けで中二病をやってるわけではない!て、っていうか!中二病じゃなくて本当に九尾の狐の生まれ変わりだって言ってんだろうが!!」
俺はプリプリと怒る九尾の生まれ変わり(笑)を片手で抑えながら、ブルーの方に今度こその真面目な目線を送る。
俺の本気の視線に気づいたのか、ブルーもさっきまでの気の抜けた感じを改めて、顔を引き締め俺の眼を見つめ返した。
「まぁどっちにしろ、ブルーの言うデメリットが本当かどうかなんて本番で明らかになる。...けど、その本番を無事に迎えられるかは、お前の作戦にかかってるわけだ。......今度こそ、作戦の全てを聞かせてもらうぞ、ブルー。」
「あぁ、そうだナ。...デハ、今度こそ作戦の詳細を伝えル!!」
続く!!
最後まで読んでくれてありがとう!
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カメムシの姿は見えないのに臭いだけするアレ、マジで無理ゲー。




