母親と税務署には嘘をつくな。
前回のあらすじィ!!
無事、謎の大男の正体であるドレッド男を確保した特人とナノハ!!
しかし、特人とナノハは自分の欲求に忠実に動き、ドレッド男に買収されてしまうのであった!
そしてドレッド男の目標は、自分の所属している暴力団の壊滅!!
三人は協力し、暴力団の壊滅を目指すことに!!
その為にも、特人達は上司である及川とサキに買収のことを隠し通さなくては行けないが....
西暦2324年 東京都
警視庁の特課オフィス内にて
「ほんで、肝心の大男は取り逃がしたってぇ?....かァ~!こんなんやから300年前の人類サンは困るわ~!」
俺とナノハは、特課のオフィスに帰還していた。
パチンコ屋から救助された俺達は、一旦ドレッド男と別れ、ひとまず及川に嘘の状況説明をすることにした。しかし、嘘の情報を伝えるということは、俺達が「大男の捕獲を逃した」と伝えなくてはいけないという事。
なので結果的に、俺は及川によるネチネチとした罵倒を一身に受ける羽目になってしまったのだが...
(落ち着けー俺!こんな銀髪女に何言われようが取り乱すな!これも全てエロほ....じゃなくて治安改善の為!!)
俺は何とか、インサイドヘッドの怒りを拘束し、このネチネチとした説教が終わるその時を待った。
しかし、及川の追い打ちは止まらない。
「っちゅうか、昔の人類の中でも、目の前の『石塚特人』って奴は特にダメそうやなぁ。こんな性欲に脊髄ぶっ刺して生まれたような生き物に、警察の捜査なんてできると思えんしなぁ!」
(...プッツーン!!)
今確かに、堪忍袋の緒が切れた.....いや、堪忍袋がミキサーにかけられたくらいの音がした。
説明しよう、俺は全体として叱られている時は我慢できるが、個人として指摘されると怒りが抑えられなくなるタイプの人間なのだ。
俺は体をわなわなと震わせながら、重く閉ざしていた口を開いた。
「ぐぬぬぬぬ...!下手に出ていれば良い気になりやがって...!俺はお前たち未来人の先祖様だろ!俺のこの、下半身に付いている袋の中身の成れの果ての姿が今のお前らなんだよ!敬いやがれッ!」
そう!
所詮こいつらは、俺たち現代人の子孫!俺達が子を産まなければ、今のコイツ等は居ないのだ!
...まぁ俺はまだ童貞だけどなッ!
すると、及川が半笑いしながら、俺の下半身を指さして口を開く。
「多分やけど、ジブン子孫残せなさそうやから、その袋要らんと思うでw」
(プッッツーーーン!!!)
「...テンメこのクソアマァ!言いすぎだろ!今すぐ謝れッ!俺と、俺の袋の中で未来を信じている数億の息子達に謝れッ!!」
警視庁の、隅の隅にある特課のオフィス内で、俺達は醜く言い争っている。
この言い争いの現場から少し離れたソファーでは、サキちゃんが優雅にアイスティーを飲み、俺の横では、ナノハが気まずそうに佇んでいる。
(...そうだ!ナノハも買収されているし、俺側に付いてくれるハズだ!ナノハにも加勢してもらって、どうにかこの関西弁宇宙人ハーフ女を黙らせるか!)
俺は横に居るナノハに目で合図を送り、俺の擁護をするように訴えかけた。
ナノハは難しそうな顔をしたが、何とか引き受けてくれたようだ。
彼女は俺と及川の間に割って入って、小さい声で及川に語り掛けた。
「あ、あのう...、及川よ。確かに特人は、及川から貰ったご飯代でパチンコをやろうとしたり、ワシが提案するまで応援を呼ぼうとすらしてなかったり、無能感が溢れる所は多々あった。しかし、特人も現場では頑張って人命救助に努めていたし、市民の為に動いていたのは事実じゃ。だからそんなに責めないでやってほしいというか、なんというか...」
うーん。前半部分の俺の悪評のせいで、逆効果だった気もするが、まぁ良いだろう。
おかげで及川のヘイトはナノハの方に向いたようだ。これで一安心だな。
及川はため息を吐くと、ナノハに向かってゆっくりと話し始めた。
「あのなぁ、ナノハぁ...。ジブンにも、言いたいことはあるんや。」
ナノハは俺を庇ったせいで今度は自分にヘイトが向いたと気づき、俺を睨みつけた。
しかし!俺は自分が不快な思いをしなければそれでいい!
悪いがこのロリッ娘には、俺の代わりに毒舌関西弁女の餌食となってもらおう...
「なぁナノハ。ジブンは、守備力カンストの『アイスウォール』が使えたやろ?なんでそれで、事件現場の周りを封鎖せぇへんかった?」
ナノハは、及川の珍しいガチトーンに少し怯んだ様子だったが、何とか背筋を伸ばして反論をする。
「ち、違うんじゃ及川!あの大男は、ワシのアイスウォールを破壊したんじゃ!」
「はぁ?守備力カンストのアイスウォールを、破壊ぃ?」
及川はナノハの言っていることが理解できないのか、眉を下げて口を曲げた。
彼女のリアクションも当然だ。
守備力カンストをしているアイスウォールが破壊されるという事は、カンストの更に上が存在してしまうということになる。
そんな及川をナノハが信じさせようと、俺にもこの話題を振ってきやがった。
「特人も見たじゃろ!?お主はアイスウォールを突き破って出てきた大男と、衝突しおったよな!?な!?」
「あ、あぁ、まあな。あんときは状況を良く理解できないまま気絶しちゃったけど、確かにあの大男はナノハのアイスウォールを突破してた。」
大男を取り逃がした。というのは嘘だが、あの大男がアイスウォールを壊したのは事実だ。
俺達二人の証言を聞き、及川は何やら考えこんで黙ってしまう。
この沈黙のうちに逃げ出してしまおうかと思っていたその時、後ろに座っていたサキちゃんが静寂を破った。
「...はーい!じゃあ今日のお話はここまでにしましょう!どちらにせよ、逃がしてしまったものは仕方ありませんし、また気を取り直して頑張ろう!ということで、どうですか?」
サキちゃんがそう言い放つと、及川も顔を上げて大きなため息を吐いた。
まさに鶴の一声だな。
「...んまぁ課長がそう言うんならしゃあないなぁ。」
及川は疲れたようにそう言い放ったが、すぐに俺達の方に目を向け、再び鋭い口調で語り掛けてきた。
「ほな最後の確認やけど、ジブンらは大男を最初の一回しか目撃してないし、直接的な接触はしてない。特人が気絶から目覚めた時には、一般市民の3人しか残ってなかった...。この情報に間違いはないな?」
及川はまだ何かを疑っているのか、俺とナノハに向かって最終確認を取る。
(この情報に間違いはないかって?そんなの....間違いだらけさ!!)
本当は大男の正体を何回も見てるし、直接的な接触もしてるし、残ってた3人の内の1人が犯人だったし、正しい情報なんて一つもない!!
だが、俺はドレッド男の側に付いた人間!
嘘を貫き通すまで!!
「ハーイ!間違いありません!サイゼの間違い探しくらい間違いありません!!な!?ナノハ!」
「そ、そうじゃ!間違いはないぞ!!」
「....そうか。ほな、もうジブンらは捜査に戻りィ。せやけど、次大男に会ったら、すぐに連絡すんねんで。」
俺とナノハの元気の良い返事を聞き、及川も何とか納得したようだ。
俺は正真正銘の誤情報を真実だと偽り、この危機的状況を打破することに成功したわけだが....
(一旦、ここは及川から離れて、少し安全な場所でナノハとこの先のことを相談するか。)
及川は普段大して頭を使ってないくせに、こういう時に限って妙に勘がよくなったりしやがる。
俺は勘のいいアラサーが好きではないので、ここは一秒でも早く及川の前から撤退しよう。
「じゃあナノハ!俺達は捜査に戻るか!この町の治安は俺らが守らなくてはな!」
「そ、そうじゃな!話が終わったのなら、ワシらは捜査に戻るとしよう!」
こうして俺とナノハはいそいそと歩き出し、特課のオフィスを後にした。
のだが...
「二人共、ちょっと待ってください!」
オフィスから出た直後の俺とナノハを、サキちゃんが呼び止めた。
「ギクゥ!」
その声はさっきまでのサキちゃんらしくない、少し思いつめたような声色だった。
そしてその瞬間、脳裏に浮かぶ一抹の不安...!!
(ま、まさか....!)
嘘が、バレた...!?
続くッ!!
評価、感想、ビシバシヨロシクゥ!
僕は母親にサッカーしてくると嘘ついてパチンコに行ってました。




