自己紹介でウケを狙う奴は他人の自己紹介で笑わない。
前回のあらすじィ!
パチンコタコ負け眼鏡大学生、石塚特人はハガレンの名言を呟いていたところを偶然通りかかった謎の銀髪少女に目撃されてしまう!!
そしてなんやかんやあって今にも電車にひかれそうになった特人!!
特人は死にたくない一心でプライドも何もかも捨てて銀髪少女に助けを乞う!!
そして気がつくと、そこは青い謎の空間...
なんと特人と少女はタイムリープをしていた!!
未来と現在の狭間にて
現在タイムリープ中....
「ほな、このまま未来いくで~。」
真横から声がした。
振り返ると、案の定そこにはさっきの銀髪少女が居る。
少女はその銀色の髪を風に靡かせながら、まるでスカイダイビングのように俺と一緒に落ちている。
「ちょ、ちょっとまって!これってホントに未来行ってんの!?なんかずっと落ちてんだけど!?」
「ん?あぁ、初めは慣れへんかもだけど、そのうち勝手に着くし、景色でも見とき。」
彼女はまるで人ごとかのように呟く。
(景色って言ったて、周りはどこ見ても意味わかんねェ数字しか書いてねぇじゃねぇか!!)
俺は恐怖のあまり、涙を上に流しながら落下している。
「めちゃ怖いんですけどォ!!ってか、....ゥオ”エ”ッ!!ぎもじわるいィィ!」
俺はこの慣れない感覚に、タマひゅんを超えてサオひゅんしそうな勢いだ。
そして何より.....気持ち悪い!!
この浮遊感が俺の内臓を満遍なく刺激し、今にも胃の中のカップヌードル シーフード味が出てきそうだ!!
「おいィ!こんなとこで吐いたらあかん!!今落ちとるんやから、吐いたの全部顔にかかんで!」
彼女は、口では気を使っているような事を言っている。
しかし、実際は既に俺を見捨てていて、空中を平泳ぎをしながら俺から遠ざかっていやがる。
「お、おい、俺から距離とんじゃねぇ__!あ、これヤバいヤツだ....は、はkブゥオ”エッ!!」
遂に、口という名の函谷関は突破され、俺の胃から出てきたキラキラは上空に飛び散っていく....
そしてその様子を見ていた銀髪娘は目を見開くと、腹を抱えて笑い始めた。
「うわぁ!ホンマに吐きよった!キッショ!!ww」
(母さん。俺は今、顔面ゲロまみれになりながらJKに気持ち悪がられて、タイムリープしています。
とても辛いでゥウ”ボェッ!!)
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__どれくらい、経っただろう....
30秒と言われればそうな気もするし、3カ月と言われればそうな気もする。
今俺が座り込んでいるのは....
建物の中?
どこかのオフィスの一角の様だ。
辺りを見渡すと、幾つかのデスクと比較的新しいホワイトボードがあった。
そして特に目を引くのは、奥に設置されている大きな白色のソファーだ。
「うおっ!ゲロくさ!」
と、この現状に戸惑っている俺に向かい、人の心を抉るような台詞が聞こえてきた。
声の方を振り返ると、例の銀髪少女が鼻をつまんでわざとらしく距離を取っていた。
「ここは、一体....」
俺は彼女に聞いたが、彼女は口を開くことなく窓を指さした。
(窓の外を見ろという事か....?)
俺は立ち上がるのも一苦労な疲労困憊の中、よちよちと窓に近づく。
そして窓を覗き込んだ。
そこから見下ろした景色は......
「ォ、ォォォォ....!グオオォォォ....!」
俺は驚愕のあまり、とても人の言葉が出せなかった。
車輪のない車、見たことのないような構造の建物....
(お、俺.....、未来キチャッ↓タァ↑!)
そこには紛れもない、未来都市が広がっていた....!!
「よーこほ!へいえきにへんはんびゃくにじゅう|よねんのみあいへ!!」
銀髪が鼻をつまみながら、俺を歓迎をしてくれた....
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俺は5分程、状況が理解できずに窓際で立ち尽くしていた。
そして必死に、我がFラン大学が誇るこの頭脳を動かしていた。
「あ、あぁ...!本当に未来キチャッタんだけど...!ありえないありえないありえない!....あ!これあれだろ!モニタリングだろ!カメラどこだ!?おいTBS!!おいブラマヨ!!ネタバラシにこーいッ!!」
俺は目の焦点が合わないまま慌てふためく。
そんな俺を見かねた銀髪が、ドロップキックを繰り出してきた。
「ブバッ!!__いってぇなぁ!!何すんだよ!!」
「なんか慌てふためいとるお前が目障りだったから、つい。」
コイツ.....!
(あー本当にもう滅茶苦茶だよ....!俺はこの世界でどう生きていけばいいんだ...!)
そんな不安に苛まれながら、地面のシミを数えていた俺に向かって、少女が質問をした。
「なぁ、そういえばジブン、名前聞いてへんかったな。名前は?」
(今になって名前かよ...!)
俺は彼女の質問に嫌気がさしながら、仕方なく口を開いた。
「...俺の名前は、石塚 特人。特別な人って書いて、トクトっす....」
すると、俺の名前を聞いた銀髪女は、驚きながらも嬉しそうな声を出した。
「おお!ここにピッタリな名前やな!」
ここにピッタリってなんだよ、訳が分かんねぇよ....!
....そう言えば、俺もこの少女の名前を聞いてなかったな。
もはや何でもいいけど、聞くだけ聞いといてやるか。
「....じゃあ、あなたの名前は?」
彼女は待ってましたと言わんばかりに、大きく口を開いた。
「一回で覚えろよ~!ウチの名前は、及川__」
と、自分の名前を名乗ろうとした彼女が一呼吸置き、続けるように自分のフルネームを口にする。
「『及川・エクストラデッキ・梅子』や!!」
....俺は耳を疑った。
「は?....エクス...なんて?」
そう。俺の脳が、コイツの言い放った意味不明な固有名詞を、人名だと認識できないのだ。
そして直後に、彼女に対する苛立ちを覚える。
(コイツ....ふざけてやがる....!エクストラデッキ梅子ってなんだよ!!エクストラデッキってアレだろ!?遊戯王とかで融合モンスターとか入れるデッキの名前だろ!?)
俺は若干イラつきながら、彼女に聞き返す。
「あ、あのぉ、ふざけてます?なんすかエクストラデッキ梅子って。人名の間に、普通エクストラって文字もデッキって文字も付かないんすよ。真面目にやってもらえます?」
すると、俺の言葉を受けた及川?が不機嫌そうな表情になった。
「なんやと!?ふざけてへんわ!!父ちゃんと母ちゃんがつけてくれた大切な名前やで!!」
彼女はここまで来ても、「ふざけてない」の一点張りだ。
あーもうめんどくさい。
なんか全てがめんどくさい。
俺は自分の中の、混乱と怒りと呆れをギャル曽根バリのスピードで咀嚼し、彼女に真顔で質問をする。
「....もうじゃあエクストラデッキでいいっす。どっかのハーフの方ですか?」
すると、間髪入れずにエクストラデッキ野郎は返事をした。
「おう!大阪人とペイパン星人のハーフや!!」
(...は?)
「....なんとか星人ってそれ、宇宙人とかっすか?」
「せや!」
「あ、そうですか。」
__フゥ~。
もう俺は反応しない!
リアクションもしない!!
これ以上何も受け付けない!!!
(....落ち着け落ち着け俺、暴れ出すな。ここは未来なんだ!!宇宙人のハーフなんてそこら辺に転がっているだろインヤ転がってねぇだろォ!!)
いかん!唐突な展開の連続で、この異様な空気に飲まれてきている!!
こんな時はラマーズ法で心を落ち着かせるんだ....!
「ひっひっふ~、ひっひっふ~、ひっひ__」
俺が妊婦顔負けのラマーズ法をし始めた、まさにその時!
???「あら?EXデッキさん、ここに居たんですか。」
「ひっひッブフォッ!!」
俺はその唐突なパワーワードに、勢いよく吹き出してしまう!
俺が本物の妊婦だったら大惨事だったぞ!!
いや、そうじゃなくて!今、後ろの方で及川のことをエクストラデッキ、いや、EXデッキと省略して呼んだ人物がいた....!
まさか、未来人の仲間か!?
俺は慌てて後ろを振り向いた!
そして、俺の眼球がその人物を視認する!!
「あ、初めまして!こんにち.....なんかゲロくさいですねここ。」
俺が認識したその人物は、鼻をつまみながら笑っていた。
そしてその時、俺の脳に稲妻が走った。
「か、かかかか...」
可愛いぃ__!!
俺が振り返ったその先に居たのは、俺の性癖ドSTRIKE!!!な黒髪ポニテの美少女であったのだ!
そして内心叫ぶ!!
(ヒロインキターーー!!)
「初めまして!!俺の名前は石塚特人!小学校の時はイッシー、またはゲスメガネって呼ばれてました!好きなように呼んでください!!」
「え、えぇ、特人さんですね、初めまして。私の名前は『谷 紫咲』って言います。気軽に『サキ』って呼んでくださいあとそれ以上近寄らないでくださいゲロくさいです。」
彼女は俺に対して、笑顔で自己紹介してくれる。そして流れるように俺の握手と接近を拒絶した。
あぁ!なんていい子なんだ!!
未来にはこんな清楚系な子もいるのか!!
あれ?でも名前が随分普通だな。この子はエクストラデッキが付いていないのか。
「なんか、凄いちゃんと日本人の名前ですね!貴女はパイパン星人とのハーフじゃないんですか?」
「ペイパン星人や!!」
「あ、はい。私も過去....、というより、あなたと同じ、現代から来た人間ですから。」
俺と同じ....過去...!?
「え...そ、それって....」
(....ンマジでーー!!?!?)
続くゥ!
好評価、感想、その他諸々よろしくぅっ。
美少女に笑顔で挨拶されたら、それだけでお腹いっぱいなんだよね。