気絶してる人の体は無闇に揺すらないようにしましょう。
前回のあらすじィ!
パチンコ屋の前でもめるクズメガネVSロリっ娘中二病!!
特人のパチンコ愛はナノハの静止を振り切る勢いであったが、ナノハの特能、『アイスウォール』によってパチンコ屋への出入り口は完全に断たれてしまう!!
諦めて大男の捜査に向かおうとした特人だったが、なんとそこで、何者かがアイスウォールを破壊したのであった!!
未来 パチ屋前の路上にて....
「スルメイカッ!!」
俺の真横にある氷の壁の奥、そこで誰かが叫んだ。
「す、スルメイカ....?」
俺はその声に反射して真横を向く。
すると一瞬、ありえない光景が目の前に広がった。
アイスウォールにヒビが入っているのだ。
そして次の瞬間、俺は更に信じられない光景を見ることになる。
ナノハのアイスウォールが、崩されたのだ。
そしてアイスウォールを吹き飛ばし出てきたのは身長2メートル以上ある大男。
大男は上裸であり、その黒光りする筋肉を纏い突撃する姿はまるで戦車のようであった。
「特人!危ない!!」
俺の耳にナノハの声が届く。
しかし、その時にはもうどうしようもなかった。
俺はその大男の突進を避けることなど到底できず、全身にその突撃を喰らった。
それはもう強烈なんて言葉じゃ言い表せない程の、途轍もない衝撃であった。
例えるなら、初めて下の毛が生え始めている事に気がついた、あの夏にも負けない衝撃。
「ブフォッ!!」
俺は飛んだ。
その大男に弾かれ、宙を舞ったのだ。
「ボフッ!」
そして直後に背中に伝わったのは柔らかい感触と空気の抜けるような音。
きっと吹き飛ばされた先にあった何かに当たったのだろう。
けれど今の俺にそれが何かを知る術はない。
俺は地面に転がり、薄れゆく意識の中空を眺めていた。
傍にはナノハが駆け寄り、心配そうな顔で俺を呼び続けている。
「おい特人!しっかりしろ!今居た...がわし達の...だ!だ...ら、......か........り.......特.....」
ナノハが何を言っているのかよくわからない。
空を眺めていると、こんな未来でも青空は拝めるんだということに気が付いた。きっとそれ所ではない状況だが、それくらいしか考えられなかった。
徐々にナノハの声も聞こえなくなり、俺はそこで、意識を失った。
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「___と_!特___!特人!起きろ特人!!」
ん?
女の人が俺の名前を呼んでいる....。
また講義中に寝ちゃったか?
けど俺に女の知り合いなんて....
俺はうっすらと目を開けた。
「うお!!」
そこには、息遣いが伝わるほどに顔を近づけたナノハが居た。
「ようやく起きたか!この寝坊助!」
「な、なのはか.....。そうだった、俺は未来に来てて、それで謎の大男を探してたんだ...。」
「その通り!って、なに寝ぼけてるんじゃ!もうあの大男も消えてしまったぞ!」
俺は寝そべっていた地面から体を起こし、辺りを見渡す。
パチンコ屋の中には砂埃が舞い、店内の様子はよく分からない。
「ナノハ、今は一体どういう状況だ?俺が気絶してる間に何があった?」
「あ、あぁ。特人が吹き飛ばされた後、あの大男はまたパチンコ屋さんの中に戻ったんじゃ。それからずっと中で暴れている様子じゃったが、ついさっき、突然物音がしなくなった。」
(店内に戻った?ナノハのアイスウォールを破壊したのは外に出る為じゃなかったのか?アイツの目的はパチンコ屋を荒らすことなのか...?)
俺は大男の不可解な行動に疑念を募らせた。
そして同時に、もっと重要なことに気が付いた。
「というかナノハ、それってもう大男はここに居ないんじゃないのか?どこかに逃げてたりしてないのか?」
「わしはずっとこの出入り口の前に居たが、あの男は店に戻った後、ここから出てはおらん。まぁわしのアイスウォールを壊せるくらいだから、どこかの壁をぶち破って逃走はできるかもしれんが。.....っていうか!わし守備力カンストじゃなかったの!?カンストってそれより上が居ないってことだよね!?なんでこんな早々に打ち破られちゃってんの!?」
「どーどー、落ち着くんだロリっ娘。俺も昔合コンで、自称『ガードが堅い女』に会ったことがあるが、女たらしで有名な高橋君にかかれば一瞬で陥落だったからね。そんなもんすよ、女の守備力なんて。」
「いやそれとこれとは違うじゃろ!!っていうか誰だ高橋君って!」
ともかく、あの大男がまだ店内に居る可能性が高いことは分かった。
となると、今の俺達の最優先事項は店内の捜索になるのか。
俺は上半身をひねり、背中についた汚れをはたいた。
まぁ未来の道路はアスファルトでもない謎の金属のようなものでできているので、そこまで汚れは無かったが。
......ここで俺は、自分の身に対する違和感に気がついた。
「あれ?全然体痛くない......」
そう、俺はあの男に突進されて吹き飛ばされた挙句、更に後ろの何かにぶつかったはずなのだが、ほぼ無傷。
強いて言うなら、あの大男とぶつかった右肩が少し痛むくらいか。
「ああ、特人は吹き飛ばされた後、後ろにあった車にぶつかりそうになったんじゃ。けど、未来の車は凄かったぞ!特人がぶつかる寸前で、空気袋のようなものが出てきて、お主を受け止めたんじゃ!」
なるほど、あの背中に感じた柔らかい感触の正体はそれだったのか。
俺が後ろを振り返ると、そこには俺を受け止めて萎んだであろう空気袋が地面に転がっていた。
それは自動車のドア部分から出ているようだった。
(未来の車ってすげぇな......タイヤもないし、エアバッグも外についてるし......)
「本当に運がよかったの特人。これも運カンストの恩恵か?」
「こんなとこで運使うんだったら、より一層パチンコ屋行っておくべきだった......。」
「お主!まだそんなことを抜かしておるのか!」
ナノハが失神明けである俺の頭をポカポカ叩いて来た。
俺の貴重な脳みそに後遺症でも残ったらどうすんだこの中二病は。
......ともかく、俺は奇跡的にほぼ無傷だった体を起こし、立ち上がった。
そしてナノハと共に、未だ粉塵舞い続けるパチンコ屋へと足を運ぶのであった。
続くッ!!!
評価、感想、ビシバシヨロシクゥ!




