3.21話「暗紅の部屋」
待て、待て、待てよ。
赤い部屋に、子供のあかね。この全体の景色・・・どこかで・・・・・・。
僕が昔描いた絵。
でも、今度はキャンバスの中じゃない。これは、紛れもない現実なんだ。
訳がわからない。あおいといい、あかねといい絵の中にいる。
僕の描いた絵には何か不思議な力でもあるのか?いや、そんなはずはない。
考察してみるか、絵なのだから、僕が書き加えてしまえば、変えられるのでは?
やってみるしかないよね。
「あかねちゃん。ここに筆や絵の具はある?」
「あ、あるよ…。はい…。」
準備のいいあかねちゃんは、僕にそれを渡してくれた。
「扉だ、壁に扉を描く。」
「どういうこと…?」
「見ててね。やってみるよ。」
僕は、早乙女家なのであとで、叱られるかとは思ったけれど、不本意ながら、壁に扉を描いた。
「これで・・・」
「なにしてるの…?あおぞらおにいちゃん…?絵は紙に描くんだよ…?」
「ちょっと見ててね。あかねちゃん。」
僕はその、簡易な扉を押した。すると、その扉は外へと、繋がった。
「よし、上手くいった!外に行こうあかねちゃん。」
「うん…。」
僕達は、外に出ると目を疑った。空を見上げると、てっきり赤い空が広がってるのかと思えば、空には街が広がっていた。
「え、僕は、僕は、こんな絵描いてない。一体誰が。」
「あなた、青空君?」
僕の後ろには、人影がいた。年齢は、おそらく30代?低身長だったけれど物凄く美人だった。
「あなたは?」
僕が訊ねると、その女性は答える。
「あたしは、我孫子紅音。そうね、敢えて言うなら、大地君のお母さんって言った方がいいかしら。うふふ。」
「大地の、お母さん・・・。失礼ですけど、なんか似てないですね。あ、すいません。綺麗な方なんですね。」
「うふふ。まあ、褒め上手ね。あの子は、旦那に似たからね。そう、世界に。あなたは、知らないかもしれないけど、そっちでは、上手くやってる?大地は。」
大地のお母さんなの?殴られたけれど、そんなこと言えない。
「ええ、まあ。」
「そう。良かったわ。その子は?」
「うぅ…。」
「あ、あぁ、この子は、あかねちゃん。僕のお友達です。」
「そうれす…。あおぞらくん…。あれなに…?」
茜は、空を指さした。そこには、赤い街が広がっている。鏡のように反転し、まるで、天井から、生える水晶のように、美しくも儚げに街は、こちらを覗いていた・・・。
「行きたい?青空君だったかしら。あたしは、行く方法知ってるけど。どうするの?」
ここで言わなければ、僕はまた後悔することになる・・・。言わなくちゃ。
「僕は、元の世界に帰りたいです。この記憶から、抜け出して、やらなきゃいけないことがあるんです!」
「ふ~ん。いい子ね。上に言ってからでもいいかしら。帰る方法教えてあげる。その代わりに、なにか、なにか、くれない?」
「わかりました。これでどうですか。」
僕は、空中に林檎を描いた。そして、それを紅音さんに手渡した。
「まあ、おいしそうね。ありがとう。うふふ。」
紅音さんは、齧った。目を見開いて、口角をあげた。よほど、美味しかったのかもしれない。もう一つおねだりされて、全部で、3つの林檎を描いた。食べ終えると、紅音さんは、微笑み、僕に問いかける。
「青空君。何か隠してるわよね?」
「いえ、なにも。」
紅音さんは、僕の絵の事について驚かなった。ここでは、当たり前の事なのかな。
「行くわよ。世界の所へ。いえ、新家へ。」
「え、あ。は、はい!行きましょう。」「あかねちゃん、行こう。」
「うん…。」
紅音さんは、僕らの手を握り、床を蹴った。すると体がふわりと浮かんだ。浮遊した。
浮かんでいると、視線の先に一軒の家があり、玄関前から男性が僕を見ていた。
あの人は、大地?いや違う。あの人が、新さん・・・?
次回まで、どうぞよしなに!




