やっと話が進みそうだ
そんな話しを萌花としていると教室の扉がバンっと開けられた。
「さきほどは失礼したっ! さっきのことは気にしないようにに!!」
何もなかったように堂々と入ってきた。てか何も無かったことにしたて入ってきた。
「おっ帰りー舞ちゃん、そしていざ抱っこ~!」
そんな舞へ満面の笑みを浮かべた萌花が抱き着こうと飛びかかった。
「話が進まないから邪魔すんな。やるなら場所とタイミングを見てしろクソKY」
舞の後ろから出てきた圭が片手でほ萌花の頭を鷲掴みむ。
そしてぽいっとゴミでも捨てるかのように舞から遠ざけた。
「ちょっと、邪魔よっ!」
「だから話が先に進まないから元の席に戻れ、ハウスだハウス!」
たくっと溢すと圭も自分の席に座る。
「ご苦労、副部長」
そんな圭を芹がおざなりに労った。
圭が揚々とゲームに興じている芹をジト目で見た。
「そう思うなら、萌花はお前がどうにかしてくれよ。二人分の対応は流石にキツイんだよ」
「ボクはほら、世界の危機を救うのに忙しいから」
芹は忙しなく指を動かし続けて会話している。
しかも画面から、まったく目を逸らさない。
周囲の事なんてほんとお構い無しに続けてやがる。
少し気になって、
「なぁなぁ、さっきからずっとどんなゲームしてるんだ?」
「ん? これですか? これは森を無計画に伐採する人間を滅亡させて森に平和をもたらすやつですよ。最近やっと国境線にセントリーガンと対物地雷を設置出来たので防衛戦が楽になってきたんですよ」
「絶対ロクなゲームじゃないよな!? そんなのご森の動物!? いったい何と戦ってるんだよ!?」
「面白いかどうかは個人の感想になりますね。森を伐採するのは人って言ったじゃ無いですか。キコリ相手には機動力の高い鷹が一番ですね。ダメージには気をつけなきゃいけませんけど」
「うん、ゴメン。聞いといてなんだけど頭痛くなってきた」
「そろそろいいか?」
脱線していた話を圭が引きもどす。
そもそも俺がここにいる理由が何の説明もされてない。
さっきから部員たちが濃いから空気になってたよ。
「で部長、何のために朝から召集かけたんだ? 幽霊部員まで呼び出してよ」
「そうでした。みんな注目してください」
前の席に座っていた舞は席を立って、ぱんぱんと手を二度叩いた。
ようやく朝からの奇行を説明してくれるようだ。
担任に詐欺のごとく名前を書いただけで部員と登録されていた部活。
そして先程までの濃い面子たちあれやこれや……不安しかない。
連絡の一つもなかったのに、急に幽霊部員の俺を無理やり連れてきたんだ。
さぞや特殊な理由がでもあるんだろうな。