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世界は異能で溢れているが、それがどうした  作者: 猫も犬も猫目である
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人生にセーブはないぞ?

ふと、太陽たちのやり取りを眺めていた芹と舞の目が合ってしまった。

「ねぇねぇ芹もやりましょうよ」


「……ちょっと待ってください」


ものすごく真剣な表情で周囲をキョロキョロ。


「どうしたんだ?」

「いえちょっと、目の前に選択肢が出て来なくて、どうしたものかと」

「ゲームじゃないんだから」

ゴシゴシ目をこすり、どこかに何かあるはずと真剣な目で周囲をキョロキョロする。

「舞さんへの返答の前にセーブしておかないと……デッドエンドのときロードできないじゃないですか」

「だからゲームじゃないんだから」

「だから人生はクソゲーなんですよ…」


うずうずしながら舞が身を乗り出してきた。

「何やってるんですか、はやくしましょうよ、ほら芹も一緒にやりますよ」

「まだ選択肢も選んでないのに強制進行するなんてバグゲーじゃん…」


舞の圧力に押され不満ありげな顔をしていた。


「えー次からは質問の内容を変えます」

道徳はダメだったから、次は少し趣を変えよう。

「幸運の女神は前髪しかない。だからこそ逃すなと言われます。その意味はわかりますか?」

「逃がさないように、つまり殴ってでも女神を捕まえろってことですね!」

なんて罰当たりな回答だろう。

流石、魔王と言われるだけあって恐いものなしの答えだ。


「そして幸運を逃がさないように、座敷童のように陰湿に囲えってことですね!」


座敷童は家に福を招き、出ていくとその家は衰退すると言われる。

そこで座敷童を家の一室に監禁し家から出られないようにするという怖い話もある。


(……そんな話もあるんだけども、さも当たり前みたいに言われると怖いわっ!)

太陽はグッとツッコミを耐えた。


「女神……攻略できるゲームって何がありました?」

そして芹は質問の意図以前に思考がゲームへ直結していた。


「これの意味は、女神の後ろには毛がないから、そのときに掴まなくちゃチャンスを逃して後悔してしまうってことですよ」


「女神って後頭部ハゲなんですか? 人気出るようなキャラとは思えないんですが」

「大喜利やってんじゃねぇんだよ!」 


「太陽君、もうそういう質問とかはいいですから早くクラスメイトを食事に誘う方法を教えてくださいよ」

「そうですね。そもそもがそういう話でしたね」


「そうだ試しに、芹を誘ってみてください。何がダメなのか指摘しますよ」

普段喋らないクラスメイトよりは部員の芹の方が誘いやすいだろう。

芹も流れは理解してくれてるはずだし。

太陽が芹を見ると、芹は真剣な顔でこくりと頷いた。


「わかりました。芹、覚悟はいいですか?」

「何故現実にはセーブポイントがないんでしょうか」

普段は無表情な芹が悲壮感たっぷりに瞳を潤ませている。


「では部長、さっそくどうぞ」

「はい」と気合を入れ、舞は芹へと手を伸ばした。

「芹、一緒にご飯食べよう」

「今ダイエット中なので遠慮します」

そしてスッと手元にあった消しゴムを差し出した。

「代わりに、これでも噛んでてください」


差し出された消しゴムを持って、舞はトコトコと太陽の前に来た。

そして芹を指さし、

「これってイジメだよねぇ!」

「まぁ、今のは芹の対応が悪かったですよ」

「だよね私悪くないよね? ちゃんとしてくださいよ」


そんな舞の様子に芹は若干ビビっていた。

「まだやるの?」

「当然です。さぁ、もう一回ですよ」

しょうがないと呟く芹だが、まだ練習に付き合ってくれるようだ。

しかしさっきと同じように机に座っている。

今度はゲーム機を取り出して遊びながら、舞が声をかけるのを待つ。

「お弁当いつもより多くなっちゃって、よかったら一緒に食べませんか?」

「今いいところだから、そこに置いといてください」

そんな冷たい対応に、舞が涙目で太陽のほうへ来た。

「太陽くん~芹が意地悪だぁ~」

「相手が悪かったんですよ。芹の対応に問題があるんです。部長は頑張りました」

太陽は泣きついてきた舞の頭をよしよしと撫でた。


そんな太陽の行動に芹は目を見開いていた。


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